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Brave spirits  作者: あらと
7/12

突入

カズキ、レン、オスム、アスタ、マイトの5人は塔に向かう。

塔の外壁まで100メートルぐらいまで近づくと、悪寒というか血の気が引くような感覚に襲われた。

これが、マナを吸われる感覚か。

内門をくぐって塔の中に入ると、その感覚はますます強くなる。

だか、まだ動きに支障が出るほどではない。

先頭を歩くオスムが言う。

「アスタ、マイト。呪符をしっかり着けていろよ。俺たちは、これが無くなると動けなくなるぞ」

「わかりました」

アスタとマイトが答える。

「レンさんは大丈夫ですか?」

一応、カズキが声をかける。

「ええ、この程度でしたら、まだまだ問題ありません」

レンの答えに巫女の修練も、たいしたものだなとカズキは思った。


塔の内部は、およそ50メートル四方ぐらいの広さに天井の高さは10メートルほどで、円柱が何本か立っている造りだ。

第1層は、情報通りモンスターの気配は無い。

「死体とか無いんだな」

床に血のような跡を見つけてカズキは呟く。

「おそらくは、第4層のスケルトンを召還する際に、媒介に使われたのではないのかと思われます」

レンの答えに、嫌な話しだとカズキは思った。


慎重に進む一行の前に階段が現れた。

「こちらから上層に進めます」

オスムがそう言って、慎重に登りだす。

それにつづいて4人も、第2層に登った。

第2層に着いても、まだモンスターの気配は無い。

「ここも、大丈夫そうですな」

オスムはそう言って進みだす。

第1層との違いは、少し瓦礫が多いぐらいだ。

過去の戦闘での爪痕が見れるが、特に問題なく第3層に登る階段に着いた。


第3層に着いた一行は、いままでの層との違いに気づく。

まだ、血なまぐさが残っているのだ。

「そうとうな激戦があったんだな」

カズキは呟く。

「そうです。多くの兵が犠牲になり、ここまでの来れたのですがら……」

オスムはそう呟いて、黙祷をささげている。

アスタとマイトも、それにつづいて黙祷をした。

レンは死者への祈りをささげていた。


黙祷を終えるとオスムが言う。

「さて、いよいよ第4層です。どのような作戦で行きますか?」

カズキは一同の顔を見回して考える。

レンは風の巫女だし、それなりに戦えるのだろう。

オスム、アスタ、マイトは、騎士団の中でも選りすぐりだろうから、それなりに期待してもいいだろう。

「スケルトンオーガは自分が引き受けます。レンさんとオスムさんは、自分の後ろにスケルトンを近づけないように援護をして下さい。アスタさんとマイトさんは、退路をふさがれないように後方で支援して下さい」

「了解しました」

「わかりました」

「では、自分が先頭で突っ込みますので、皆さんよろしくお願いします」

カズキはそう言うと、第4層への階段を登った。


第4層に登ると、20体ほどのスケルトンが見える。

そして例のスケルトンオーガは、第5層への階段付近に居た。

カズキに気づいたスケルトンが、何匹か襲いかかってくる。

カズキは右手に片手剣、左手に小型剣を抜く。

「バーニングブレード!!」

カズキが魔法を唱えると、片手剣は炎に包まれる。

斬りかかってきたスケルトンの剣を、カズキは小型剣でいなすと片手剣で斬りつける。

するとスケルトンは炎に包まれ倒れた。

さらにカズキは、連続でスケルトンを3匹切り倒してスケルトンオーガへ向かって走り出す。

「すごい。これが冒険者の力」

レンはカズキを見つめながら呟いた。

そんなレンにも、スケルトンは向かってくる。

「風の精霊、シルフのご加護よ!!」

レンがそう魔法を唱えると、持っていた杖が光りスケルトンを飲み込む。

すると、スケルトンは砂のように崩れていく。

オスムは、レンの後ろに回り込もうとするスケルトンの剣を盾で防ぐと同時に、片手剣で首をなぎ払った。

アスタとマイトは、その二人の後ろに回り込まれないようにスケルトンの攻撃を防いでいた。


カズキは立ちふさがるスケルトン2匹を連続で切り倒し、スケルトンオーガの前に立った。

「近くで見ると、やはり大きいな」

カズキは呟く。

スケルトンオーガは3メートルはあるだろうか。

カズキに気づくと、スケルトンオーガはその巨体で力任せに斬りかかってくる。

右に飛んでかわしたカズキは、そのまま斬りつけるがスケルトンオーガの盾で防がれる。

「やっぱり、他の雑魚のようにはいかないか」

2連撃、3連撃とカズキは二刀流で繰り出すが、スケルトンオーガは盾と剣でうまく防ぐ。

「それならば!!」

カズキは後ろに飛んで魔法を唱える。

「ファイアエクスプローション!!」

カズキの左手から爆裂の魔法が飛び出し、スケルトンオーガに炸裂した。

スケルトンオーガは炎に包まれるが、まだ倒れない。

それどころか、急に間合いをつめ斬りかかってくる。

「ぐっ」

カズキは両手に持った剣を使い十字受けで、何とか受けきる。

「うおおおおっ!!」

カズキは声を上げ、スケルトンオーガの剣を跳ね上げる。

バランスを崩したスケルトンオーガの盾に小型剣をたたき込み、強引に隙を作る。

「ウエポンバッシュ!!」

カズキはスケルトンオーガに飛びかかり、その頭蓋骨を叩き割るとスケルトンオーガは崩れ落ちた。

「残りは」

辺りを見回すと、レンがスケルトン2匹を相手に何とか立ち回っている。

カズキはすぐさま駆け寄り、その2匹を薙ぎ払った。

「ありがとうございます」

レンがそう言うのとほぼ同時に、オスム、アスタ、マイトがそれぞれスケルトンを1匹ずつ倒すと戦闘は終わった。


「癒しを行いますので」

レンがそう言って杖を掲げると、全員が青色の光に包まれる。

体の内側から力が湧いてくるのがわかる。

回復の魔法だ。

「さて、問題はここからだね」

「ですな」

カズキの一言にオスムが相づちを打つ。

「隊長、それはどういう事でしょう」

マイトが問いかける。

「それはな、ここから先のモンスターは巨体だと言う事だ。剣の間合いでは、反撃された時の被害が大きくなる。前回の時は召還士と火の精霊使いが居たので何とかなったが……」

オスムは間をおいてカズキに問いかける。

「今回はいかがすべきか……」


そう、剣の間合いより相手のリーチが長いのだ。

だが、このメンバーならやれる事はそうそう無い。

カズキが盾役になり、側面から足下を狙って削るしかない。

問題は、範囲魔法やブレスをどうにかする事だが、これもカズキの魔法で何とかしなければならないだろう。


「次の階層からは、自分が囮役になってモンスターに正面からぶつかります。なるべく注意を引きつけますので、皆さんが側面より足下を狙って削って下さい」

「それではカズキ様が、無事ではすまないのでは」

カズキの提案にレンが口を挟む。

「心配ないよ。魔法で何とかするから。それより固まって行動して、全員ブレスで丸焦げなんて事が、一番リスクが高いしね」

「わかりました」

レンはうなずくしか無かった。

確かにカズキの作戦が、一番生存率が高いのがわかるからだ。

「こちらも了解しました」

オスムの声に、アスタとマイトもうなずく。

「それでは、体力も結構回復したみたいだし、次の層に行きますか」

カズキを先頭に、一行は第5層への階段を登った。


第5層に登ると、ちょうど反対側に第6層への階段が見え、その手前にスケルトンドラゴンが見えた。

体長は5メートルって所か。

「さてと、行って見ますか」

カズキはそう言うと、スケルトンドラゴンに向け走りだす。

「バーニングブレード!!」

カズキは片手剣を抜くのと同時に魔法を唱え、スケルトンドラゴンに向けジャンプし斬りつける。

片手剣はスケルトンドラゴンの顎に当たったが、スケルトンドラゴンは少しよろめくだけだった。

「少し浅かったか」

カズキは呟き、着地と同時にまた魔法を唱える。

「ファイアエクスプローション!!」

爆裂の魔法がスケルトンドラゴンに炸裂するが、その炎はすぐに消えてしまう。

「弱点の属性魔法なのに、この耐性は少しやっかいだな」

呟くのと同時にスケルトンドラゴンの右手がカズキに振り下ろされる。

「くっ」

カズキは小型剣を抜いて十字受けで攻撃に耐えた。

「今だ!!」

カズキが叫ぶと、左右からレン達がスケルトンドラゴンの足下に攻撃を加える。

これで少しでも動きを鈍らせられれば楽になるんだがな、とカズキは思いスケルトンドラゴンの右手をはじき返して後ろに飛んで間合いを取った。


両側から攻撃を受け、動きが止まったスケルトンドラゴンが翼を広げ両腕を掲げる。

「まずい、みんな離れて!!」

カズキが叫ぶと同時に、スケルトンドラゴンが光り出す。

「サンダーボルト!!」

カズキが雷撃の魔法を唱えると同時に、スケルトンドラゴンからも雷撃が放たれた。

空中で衝突した雷撃は爆音と共に相殺されたが、衝撃波でカズキ達は吹き飛ばされる。

カズキ達はすぐさま立ち上がるが、今度はスケルトンドラゴンがカズキに向けブレスを吹き出す。

「シールドウインド!!」

カズキは魔法を唱え、なんとかブレスをそらした。

やはり長期戦になると分が悪い。

手持ちのスキルが使えるうちに、何とか決定打を与えないとじり貧だ。

カズキはそう思い、スケルトンドラゴンに向け走りだす。

「うおおおおっ!!」

近づくカズキに、また右手を振り下ろすスケルトンドラゴン。

「ウエポンバッシュ!!」

今度は剣スキルを使いスケルトンドラゴンの右手をはじき返して懐に飛び込んだ。

2連撃、3連撃と胴体に打ち込んで動きを止める。

「いくぞ!!」

カズキは小型剣をすて片手剣を両手に持ちスケルトンドラゴンに飛びかかる。

「ブレイカーブレイド!!」

スケルトンドラゴンの首筋に、両手剣スキルを打ち込むカズキ。

するとスケルトンドラゴンは首を切り落とされ、崩れさった。


「とりあえず、何とかなったな」

膝をつき肩で息を切るカズキ。

「大丈夫ですか」

レンが駆け寄ってくる。

「しばらくは動けそうもないけど大丈夫だよ」

カズキは笑顔で答えた。

「カズキ殿の力、これほどとは。お見事です」

オスム達もカズキに駆け寄ってきた。


とりあえず第5層までの調査は終了した。


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