第109話≡一般人(男)なら即死だった
「早くいくぞー」
「ちょっと待ってよー」
あー、子供たちがボールみたいなのを持って走り回ってるな…
俺にもあったなあんな時代。
俺は結局アリがわっさわっさと襲ってくるため木の枝に逃げましたよ。
「シャァァァ!!」
「ははは、ごめんね」
っていってもここは風通しもいいし日の当たり方も丁度いいんだよな。
「悪いけど俺もここで寝かせてくれないか?」
「フー!!」
俺よりも先に先客がいたからな。
しかし、猫なら話は別だ。見事にもふってやんよ。
「ほれ」
「……スンスン」
確か猫は上から来るものに手を出す習性がある的な事を聞いた希ガス。
「撫でてもよか?」
「…フン」
「ありがと、よしよし」
隣にもふもふ。
そして、この適温…
もぅ、マジ無理。ひるねしょ。
「にゃ?」
「……zzz」
「…ふご」
ペシペシ
「んの?」
「………」
「どしたにゃんこ」
寝言とかか?
俺は寝相の良さは自信があったんだけどな。
「クー君、どこですか?」
「兄上ー。ここにおるんじゃろうか?」
そういうことか。
ちょうど二人が俺が寝ていた木の下で探してたみたいだ。
「あんがとな、にゃんこ」
「フン」
俺は猫を撫で回してから二人のところに向かった。
「終わった?」
「きゃ!?
…もう、なんで驚かせるんですか?」
「うお!?
兄上、いつのまにそこにいたのじゃ」
「あはは、この木の上に寝てたからね。
猫さんと一緒に寝れて良かったよ」
半ば無理やり奪ったようなものだけど。
明日には煮干しとかあげようかな。
「それよりも、収穫は?」
「そこそこじゃな。
兄上は?」
「欲しい情報はあらかた貰ったかな。
でも、遅くても明後日にはこの村を出るよ」
「やはり、早めに出るんですね」
そこは仕方ないしな。
落ち着いた村をわざわざ騒がせる訳にはいかないし。
「さて、朱音たちと合流するか」
「はい」「うむ」
………
「クー君?どうしたんですか?」
「あいつらどこでウサギ狩りしてるの?」
「…わからんの」
あー、これを探すのはダルいな。
「でもクー君、石を使えば追えるのでは?」
そういえばそんな石を渡してたな。
すっかりと忘れてた。
「……忘れてないよ。
オボエテタヨ。」
「なぜ片言なんですか…
ほら、遊んでないで早く合流しますよ」
「はいよー」
石は…こっちの方か。
「こっち…みたいなんだが…」
俺が指差したのは村長の家の裏。
つまりは…
「森の中ですね」
「ウサギじゃしな」
「なんで二人とも平気なの?」
森の中とか虫とかわっさわっさいて残念な感じになるじゃん。
「森育ちですから」
「わらわは蛇じゃし」
「…そうでしたね。
そんじゃ、行きますか」
とりあえず風を体の周りに纏わせとくか。
朱音とも合流し、ウサギの精算も終えた俺達は宿屋で体を洗っていた。
「とりあえずは明日の資金も稼げたな。
無茶苦茶ビックリしたけど」
「あはは、あの時には5匹は狩ってたからね」
合流したときには二人とも返り血を浴びており、俺を見たとたん凄くいい笑顔をしていた。
うん。むっちゃ怖かった。
それからその場ですぐに清浄して二人とも綺麗にしてあげた。
それでも汗とかじっとり感は消えないもので。
「お兄ちゃん、タオル貸してー」
「ん、ちょっと待たれい」
風と水で繊維を組んで、花の香りも一緒に織り込んでっと。
「ほい、これ使って」
「ありがとう。んー、いい香りだね」
「フローラルなかほりにしてみますた」
女の子だしそういうのも気になるだろうしな。
「しかも、このタオル拭いたらすぐに水を吸いとってくれるから助かるよ」
「これも頑張って作ったからね」
俺は…軽くでいいか。
俺は自分に清浄の魔法を少し強めに使って軽くさっぱりとした。
「えー、お兄ちゃんもちゃんと水浴びなよ」
「そうですよ。魔法だけじゃ落ちないものもありますから」
いや、浴びたいのはあるんだが…
「皆、よだれ。
鳴は鼻血でてるぞ」
『はっ』
この状況で脱げるほど勇気はないです。
「ほれ、明日は準備とかあるんだ。とっとと寝るぞい」
で、皆して俺の方を見ると。
「どした?」
「早く横になってくれないと私たちが寝れませんよ」
…そういえば俺は皆の枕でしたね。
「ほい、これでいいか?」
「私はこーこ」
皆が自分の場所に落ち着いたところで水奈が電気を落としてくれた。
「ふふふ、楽しいですね」
「俺は大変なんだけどな」
「それは男として我慢してもらわないと」
「ははは、そうだな」
…左右から女の子の香りと暖かい感じががが。
「…にぃは水を浴びなくても大丈夫」
「確かにの。水浴びは少なくても大丈夫じゃ」
「脇腹でフガフガしながら言うことじゃないぞ」
くすぐったいし、恥ずかしいしでやめて欲しいわ。
「ほら、ふざけてると明日起きれないぞ」
『はーい』
さて、俺も寝るとするか。
~30分後~
…どうしよう、寝れない。
昼寝したからかな?目が冴えてしまう。
周りは…
『………』
うん、爆睡してるね。
皆、寝相がいいけど俺から手を放してはくれないしな…
「はぁ、盛大なブーメランだな。
明日起きれなくなるのは俺じゃん」
…しかし、このままじゃ眠れないしな。
とりあえず外に出て適度に動くか。
俺は俺と全く同じデコイを風魔法で創って時を止めてその場を抜け出した。
「さてさて、後は起こさないように抜け出ますか」
音魔法を使って完全防音にして、闇魔法で影を伝って宿屋を脱出。
「完璧じゃまいか」
今の俺はきっとシャダイみたくなってる。
ま、お遊びはここまでにして森の方とかを駆け巡れば眠くなるかな?
村は…うん、灯りなんてあっても1つだね。
やっぱり皆寝るの早いんだな。
「とりま、村の観察よりも森を調べた方が面白いだろ」
…夜の森とか結構怖いんだな。
幽霊とかこられたら即効で落ちる自信がある。
「でも、周りに目を向けてれば」
そして、盛大に転んだ。
くっそ、木の根っこめ…
俺に何の恨みが。
「って…なんかおるやん」
俺の魔力センサーになんか人みたいなのが動いてるのを感じたぞ。
「こんな夜中に?
うーむ…よし尾行してみよう」
とりあえず木の影に隠れながらその謎の人物を追うと影が見える程度には追い付いてきた。
「えーと、こっち」
背丈はパッとみ子供。
声は女の子…子供がこんな夜中に森の中?
なんでまた…
「着いた」
女の子が目指していたのは月の光がよく当たる木の開けたところだった。
ってこの子昼間に男の子たちとボール遊びしてた子じゃん。
夜遊びとかお兄さん、感心しません。
「だ、誰もいないよね」
女の子は瓶を懐からだしてそこに生えている植物にかけていた。
「元気に育ってね」
…はぁ、無垢で可愛いのぉ。
俺にもあったんだろうな、あんな時代。
ペキッ
「誰!?」
私じゃないですよー。
…あれ俺じゃないとしたら。
あ、センサー他の反応が。
そいつはしっかりと二足歩行で影から出てきた。
狼のように大きな口に毛深い全身。
「どうしよう。迷子になってしまった…」
「ひっ…きゃぁぁぁぁ!!」
見事な狼男だこれ!!
って迷子!?なんでまた…
女の子は狼男にむかって空になった瓶や近くにあった石などとにかく投げた。
パリンッ!!
「な、なんだ!?」
まずは空中を舞っていた瓶を石が砕いた。
「い、いやぁぁ!!」
「うわっ目に砂が…」
次に瓶に気をとられていた狼男の目に砂を混入。
「来ないでよ!!」
「ぐお!?そ、そこは…」
追い討ちに、狼男の股間に綺麗なストレート。
「な、何が」
最後に硝子の雨が彼を襲った。
「………」
「あ、あれ?動かない?」
うわぁ…痛そう。
頭とか手とかにザクザクとガラスが刺さって見てて痛々しい。
「グォォォ!!いってぇぇぇぇぇ!!」
「きゃぁ!?」
あのフルコンボだもんな。
凄いダメージを与えたんじゃないか?
「お前、俺が何したって言うんだ!!」
「ひっ。た、食べられる…」
…なんか不思議に思ったんだけどもしかして。
「グォォ!ガァァァオ!!」
「ゞ§¶ÅЁЦ」
あ、そういう。
ためにし翻訳切ってみたら片方は叫び声。片方は何かの言葉。
そりゃわからないわけだ。
「さて、そろそろいきますか」
女の子のほうなんて怖さでおねしょしちゃってるみたいだし。