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第108話≡俺たちが嫌われる理由


 チュンチュン…チュパ…チュンチュン…


「んは……さま」


 ん?なんか聞こえてくるんだけど?


「これ…んい……すね」

「…っとく…ない」


 水奈と鳴の声?

なんか言ってるけど…眠い…


「…の…ばん…れな…よ」

「……いま…が…あか…は…らしいの」

「…へへ……ねぇ」


 とりあえずまだ寝てよう。

学校まではまだ早いはずだし。


「…ちゅ」

「あ…かね…るいです」


 ん?なんだ?

なんか口の中にあるみたいな…


「ん?んぐ?」

「ぷはっ。

よ……ちゃん…さだよ」


 なんか皆の声が近くから聞こえるな。

おかしいよな、皆部屋で寝てるはずなのに。


「…きない…ちなこ…する」


 ちなこ?きなこの親戚?


 がし!!


 ん?なんか顔に違和感と口になんか。

流石にこれは夢とは言えないだろ。


「ん?んにょ!?」

「ん?ちゅぱ…おはようにぃ」


 俺が目を開けると鳴が口の中に舌を入れていた。


「おはようじゃないが!?

俺の部屋!!朝チュウ!?ナンデ!?」

「クー君、落ち着いてください」


 えー、だって。

ここは俺のへ…や…じゃないね。

あーうん。思い出してきた。


「そういえばそうだったね。

おはよう皆。

それはそうと鳴なんで朝から舌を入れてんの!?」

「…朝じゃなったらいいの?」

「ダメです!!

お兄さんは色々とうぶなんでダメです!!」


 …はぁ、なんで朝から疲れてんだろう。


「お兄ちゃんおはよう」

「あ、うん。皆おはよう」

「おはようございます」「おはようじゃ」


…おかしい。

なんでいつもなら色々と騒ぐはずなのに…


「いい朝だね」

「ふふふ、そうね」

「気持ちのいい朝じゃな」

「…気分爽快」


 …なんなんだよこの違和感!!


「あ、お兄ちゃん。下からいい匂いがするよ。

朝ご飯ができたんじゃないかな?」

「そうですか。

では、食べに行きましょう」


 色々と聞きたいことはあるんだが…


「…にぃ行く?」

「それよりも、水奈。聞きたいことが」

「後悔、しませんか?」


 水奈は無茶苦茶いい笑顔でそんなことを聞いてきた。

…うん、世界には知らなくてもいいことだってあるもんな!!


「うし、朝ご飯でも食べに行こうか」


 男って意外と臆病な生き物だよな?







俺たちは朝食を食べたあと中々大きな家の前にいた。


「ここが村長の家か」

「早めに調べて朱音たちと合流しましょう」

「ま、早く終わればだけど」


 扉についているノッカーを使ってコンコンと2回ほどノックした。


「はーい。ちょっと待ってねー」


 お?なんか声は若いぞ?


「はいはい。お待たせしました。

えーっと、どなたかしら?」


 出てきたのは体のラインが細いおばさんが出てきた。


「えーっと、昨日この街にやってきた冒険者なんですが、少し村長お伺がいしたいことがありまして」

「あらあら、そんな丁寧に。

ちょっと待っててね。今、話を通してくるから」


 とりあえず第一印象は大丈夫かな?

後は俺の聞きたい情報が聞ければ大満足だな。


「どうなるかな…」

「この村ではあまり歓迎されていないみたいですね」

「もうちょっと歓迎してくれてもいいのにの。

兄上が本気をだせばこの村など」

「そんなことしてもいいことないだろ。

俺だって色々と困るし」


 一応ベットで寝ることにはできたわけだし、不便なことはないし。


「…あなたが話を聞きたいという冒険者か?」

「あっと、失礼しました。

はい、少し伺いたいことがあって…

時間は大丈夫ですか?」

「………」


 話していて目の前に腰の曲がったおじいさんいるのに気づけなかった。

…なんか黙ったままだな。何かミスったか?


「…ずいぶんと礼儀正しい冒険者だな。

君たちが話にあった勇者か?」

「あーはい、そう言われるみたいですね」


 勇者って言われるとラノベとかゲームとかの勇者思い出すんだよな。

俺、ああいうのってあんまり好きくない。


「それで聞きたいことは?

ここで答えれるなら答えたいが」

「質問したいのはこの世界の常識や、勇者の話とか聞きたいですね」

「はぁ、俺も忙しいんだがな…

わかった。長くなりそうだから家の中に入ってくれ」

「それと、村長さんは本をいっぱい持ってると聞きました。

それをよかったら見せて欲しいのですが」


 てかこうしないと水奈と神楽がすることがなくなるし。


「それくらいならいいが字は読めるのか」

「はい。この娘達なら大丈夫です」

「そうか。ならそこは別に案内しよう。

まずは全員ついてこい」


 おじさんに案内された部屋は木の机と木の椅子、生活感がある部屋だった。


「オリアーヌ、この人達を書庫に案内しろ」

「わかりました。

書庫に行く方はこっちに」


 水奈と神楽が部屋を出て行ってしまった。

…どうしよう。なんというか気まずい。


「それで。何を聞きたいんだ?」

「えーと、勇者って何ですか?」


 村長は俺の質問に眉間にシワを作った。


 うん。答えづらいのはよくわかる。

でもこれが一番聞きたい質問なんだよな。


「ずいぶんと漠然とした質問だな。

まぁ、いいか」

「答えづらいのはわかりますが俺もこれくらいしか質問ないんですよ」

「…はぁ、どうして真っ先にこの村に着いたんだろうか」


 本当、サーセン。

一番近かったんです。


「まず前提だが、お前はこの世界以外から来たんだな」

「はい、間違いないですね」

「うむ。それではどうして君が勇者といわれるかを話そう」


 よし、少しずつ理解していく努力をしよう。

(理解するとは言ってない)


「勇者というのはこの世界ではない者たちにつけられてる名称のようなものだ。

勇者は共通して何かしらの強力な能力を持っている」


 うわっほい。なんだろうすごくテンプレ。


「王都では勇者を召還して戦争に備えたり魔物を駆逐したりしてるそうだ。

まぁ、中にはその力を使って地図を変えたり、王都を自分の物にしたりするやつもいるみたいだが」

「あー、そんなやつもいるのに勇者って呼ぶんですね」

「なんでも大賢者様が過去の文献で“勇気を持たざるべきして持たなければいけない者”なんて事を書いてたみたいでな。

そこから共通して勇者って呼ばれる様になったわけだ」


 なるほど。いきなり世界を救うのじゃ的な事を言われなくてお兄さん安心したよ。

…ってちょっとまてい。


「つまり勇者って結構な数居るんですか?」

「1つの王都に1人は確実にいるな。

複数人抱えてる国もあるようだ」

「うわー、かわいそ」

「お前も勇者だろうに」


 そういえばそうだった。

勇者の召還ってたちの悪い誘拐みたいで好きくないんだよな。


「その勇者って見分ける方法ってあるんですか?」

「王都だったらものすごくわかりやすいが一般人に紛れていたら戦う以外に確かめる方法はないな」

「戦えばわかるんですか?」

「言っただろ。勇者は共通して何かしらの能力を持ってる。

戦えば強さが明らかにわかるだろう」


 なんでここまできて肉体言語をしなきゃあかんねん。

かったるすぐる…


「なんでそんなに脳筋設定なんだよ」

「のうきん?」

「戦闘民族みたいな感じです」

「ああ、そういうことか。」


 脳筋は通じないのに戦闘民族は通じるのね。


「はぁ、なんでそんな能力持ってるん…」

「なんでも、勇者の能力の高さについては色々言われているが世界での基準が違うと言われているな」

「基準?」


 なんかそういう事情みたいなのもあるんだな。


「勇者がもともといた世界では常識でも、この世界に当てはめるとものすごい修行だったりするらしい」

「あーなるほど」

「逆にこちらの世界の常識が勇者にとって修行になることもあるそうだが」


 …インドアな俺はついていけるだろうかこの世界のスピードに。


「うん、なんか元気が出てきた」

「どうかしたのか?」

「いえ、特には」


 ちょっとオサレが入ってた。

さて、あと聞くことは…あ。


「そういうえばこの世界にはどんな人種がいるんですか?」

「人種?…ああ、種族のことか」

「あ、たぶんそれです」


 町にきてから朱音がずっと犬耳モードだったが誰も深くは追及しなかったからな。


「この世界には、我々“人”、“エルフ”、“獣人”、“魔族”に分けられているな。

この中でも魔族は凶暴ですぐに襲ってくる。気を付けてくれ」

「…わかりました」


 魔族ってのが人類からしたら思いっきり敵なわけね。


「もうひとつ言わせてもらうとここから近くの城には絶命の魔王と呼ばれる魔王が住んでいる。

城ができてから動きを見せていないが近づかないことをおすすめする」

「ははは、あんな見るからに危なそうなところには行きませんよ」


 行かないといけないんだよな…

なんだよ、絶命の魔王って即死もってそうで恐ろしいんだが…


「それともう一つだが、お前がこの村に来てからやけに嫌悪されていなかったか?」

「…確かにされてましたね」

「勇者はいい意味でも悪い意味でも問題を運びやすい。

私たちは今の生活で満足しているんだ問題を持ち込む前にこの村から出て行ってくれ」


 あー、うん。

村長の言う事もわかるな。


「わかりました。近いうちに、遅くても明後日にはこの村を発ちたいと思います」

「すまない。私たちも今があるんだ」

「変に気負いしないでください。こっちまでなんとも言えない気持ちになります」


 出てけー!!と言われた方が出て行くのは楽だし。


「さて、後聞きたいことは?」

「あー、ここから一番近い大きな町はどこですか?」

「ここからなら、馬車で3日。歩いて一週間弱で着く“セレン”という王都があるな。

方角は…太陽が上ってくる方に歩いていけばつくだろう」

「わかりました。ありがとうございます」


 徒歩で一週間弱とか筋肉痛不可避なんですが…

それに太陽の上る方って、アバウトすぎやしませんか?


「地図とかは…」

「ここで売ってはいないな」

「おっふ…」


 歩いて探してくれってことですねわかりたくないです。


「とりあえず聞きたいことは終わりですかね」

「そうか。書庫の方はどうする?」

「この家の近くでのんびりしてるんで彼女たちが来たら声をかけてください」

「それくらいはしてやろう」

「たすかります」


 と言っても日光浴しながら昼寝でもしてようと思っただけだけど。


「そういえばもうすぐ昼だな」

「そう…なんですか?」


 窓の方に目を向けると太陽は天辺を少し超えていた。


「少し待て」


 村長は棚を漁ると紙に包まれた物を差し出してきた。


「これは?」

「ちょっとしたサンドイッチだ。

これでも食べるといい」

「ありがとうございます」

「一人分しかないがな」


 やっぱ、この人は根は優しい人なんだな。

俺はそんなことを思いながら家の近くの木に寄りかかってサンドイッチをかじった。


「ってここアリの巣の近くかよ!?

うっは、アリが手にいっぱい!!」

キャラがぼけてきた。


近々、女の子たちの性格が変わるかもしれません。

キャラの性格がうまく書けてない気がするんですよね…

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