第107話≡幸せの対価的な?
すごくまったりしながら進みます。
ただのイチャイチャ回です。
「・・・いらっしゃい」
扉を開けるとポチャっとしたおばさんがカウンターの前にいた。
・・・多少睨みつける感じで。
あれ?おれなんかしたかな?
「えーっと、ここに泊まりたいんですが」
「何人だい?」
「5人ですね。
ここにいる全員です」
「なら大部屋一つに中部屋が一つだね」
となるとやっぱり2人と3人のグループに別れないとだな・・・
「部屋は大部屋の一つでいいですよ」
「へ?」
「・・・うちの部屋を汚くされるのは簡便なんだがね」
うちの水奈さんは一体何をおっしゃてるんでしょう?
「い、いやね。流石に5人ってのは無理が・・・」
「うん、お兄ちゃんが皆の枕になれば大丈夫だね」
「うむ、全てが丸く収まるの」
「・・・にぃ枕。久しぶり」
どうしよう、なにもだいじょばない。
「それにクー君があれな時は近くにいたほうが色々と都合がいいですし」
「あー、うん。それは一理あるかもな」
「はぁ、まぁいいけど。
部屋は1部屋。人数は5人。ご飯はどうするんだい?」
こっちの食事はわからんしな。
ここでお世話になってご飯関係はどうなってるか調べるのもいいかもな。
「一回の食事にに50エル。朝と夜しか出さないから2つとも出すなら10エル追加だよ」
・・・エル?なんぞエルって?この世界の通貨の単位?
「で?どうするんだい?」
「あ、朝と夜の分お願いします」
「・・・わかったよ。今からでも食べれるようにしとくから食堂によりな」
おばさんが指差した方には木製の扉があった。
どうやら1階に食堂はあるみたいだな。
「それじゃ、全部合わせて140エルだよ」
「・・・えーっと、ちょっと待ってくださいね」
水奈たちに向けるが顔を横に振られてしまった。
どうやら人間の国の通貨に関してはわかんないようだ。
「・・・これで」
俺はカウンターの前に銀貨を5枚出しておいた。
いちよ、この世界の人間じゃないってばれて面倒になるのはきついし薬屋さんを信じて安牌でも切っとくか。
「はぁ。今ので確信したよ」
「な、何をですか?」
「あんた・・・勇者だね」
「勇者・・・ですか?」
なんぞ?
俺全然ついていけてないんですが・・・
「クー君。勇者ってのは・・・
この世界の人間じゃないほかの世界から来た人達の事を指すんです」
「うぇ!?」
皆の顔には若干の諦めが含まれていた。
・・・今更つくろっても遅い気がするな。
素直に諦めよう。
「ど、どこで気づいたんです?」
「1食が50エルなんて破格だからね。
そんなことしたら誰も寄り付かないよ」
・・・そこからなのか。
俺はそこから騙されてたのか。
「それにこれじゃ50エルじゃないか。
どうやっても足らないよ」
おっふ。
黙って金貨でも切ってれば良かったかな。
「あんたが勇者だって言うんなら早くこの村を出て行っておくれ」
「・・・またなんで」
「あんたらは問題しか運ばないからね。
うちらとしてもここの安全な暮らしで満足してるんだよ」
うん、アニメやラノベのように歓迎されたりはしないんだね。
確かに俺はよそ者だしな。
「私たちに面倒事はいらないんだよ。
もしこの世界の事を知りたいなら村長の家に行くといい。
あの人の家にはいろんな本があるからね」
そもそもとして俺は本が読めないんだけどな。
「伝えることは伝えたからね。
それと」
机の上の上の銀貨5枚が取られた。
そして代わりに木製の鍵が置かれていた。
「うちに泊まるのはこれで勘弁しておくれ」
おばさんはそういうと店の奥に下がってしまった
・・・俺なんでこんな嫌われとるん?
まぁ、明日とりあえず村長のとこに行くし大丈夫か。
「と、とりあえず部屋に行ってから考えませんか?」
「せ、せやな」
俺たちはとりあえず2階の部屋に向かった。
「ここですね」
「意外と広いんだな」
部屋は綺麗に整頓されており炎の明かりがぽわっと明るくしていた。
ベットは3つあり三人部屋であることがわかる。
「やっぱり5人ってのは無理がある」
「クー君、ベットを繋げるのを手伝ってください」
「早く早くー」
・・・この子達は本当にこれでねる気のようです。
「これをつなげたらご飯にしましょう」
「はぁ、俺に拒否権がないことははっきりとわかったよ」
俺はベットをくっつけるとそそくさと下の階に向かった。
そして下の階には筋骨隆々で背の高いエプロンをしてる人が立っていた。
ビクッ
「ちょ、みんな。俺の後ろに」
「お前が勇者か」
「はい!?なんかそう言われてるみたいです!!」
怖いよ!!怖すぎるよ!!
俺じゃ刃向かえないよ!!
「うちの家内が失礼した」
「・・・え?かな、い?」
「うちもうちで大変なんだ。
分かってくれとまでは言わないが恨まないでやってくれ」
マッチョさんはそう言うと厨房に下がって行った。
「そうだ、お前たち。
肉と魚、どっちだ?」
「「「肉」」」「「魚」」
・・・そういうところはちゃんというのな。
そして出されたご飯、無茶苦茶美味しかったです。
俺たちは夕飯を食べたあと部屋に戻ってベット上に寝転んだ。
「うーむ、さてさてこれからどうしようかね」
「とりあえずわしらを撫でながら考えるんじゃな」
「うふ、わかったからお腹の上に乗らんといて」
俺があぐらをかくと足の上に神楽が座ってきたので頭の上に手を乗せて撫で始めてあげた。
この子たちの髪の毛サラサラだしいい匂いするんだよな。
やっぱ手入れとか大変なのか?
「・・・神楽、半分こ」
「うむ。ではこっちをもらおうかの」
「・・・ん」
二人は体が小さいからか俺の足の中にすっぽりと収まってしまった。
「あー、二人共ずるいよ!!」
「こういうのは早いものガチじゃろ?」
「まぁ、ある程度したら変わってもらいますからね」
水奈と朱音は俺の後ろに回って来た。
朱音は首筋に顔をつけてすんすんと鼻を鳴らしている。
水奈は俺の頭に胸を乗せて抱きついてきた。
・・・よし、素数を数えて落ち着こう。
2、4、6、8、10
「クー君これからどうするんですか?」
「え?次は12だよ?」
「一体何を考えていたんですか?」
いやだって、今はこう俺の前には二人の幼女がいるわけで、いろいろまずいわけで…
「…変な事考えるのやめよう。
これからだけど明日村長のとこに行って明後日にはこの村を出ようかなって思ってるんだが」
「結構早めに出るんですね」
「まぁ、俺たちはよくは思われてないみたいだしね」
長々と居続けても迷惑かけるだし金銭的にも辛いし。
「まさか、あそこまで嫌われてるとは思わなかったもんね。はむ」
「ちょ、耳を噛むな。
俺達がそこまで問題視されてる思ってなかったしな」
もしかしてこの世界を滅ぼしかけたとかあんのかな?
「皆、勇者だっけ?それ関係の話ってなんか聞いたことある?」
「童話などで世界を救った話などは有名ですよね」
「あ、そういうのはあるんだ」
そういうのがあるんであれば変な敵視はないと思ったんだけどな…
「…一日でおっきな街を亡くしたとか聞いたことある」
「土地を一つ、地図から無くしたとかも聞いたことがあるの」
…なるほど。
先人たちが良くも悪くもバカをやってたから警戒されてるわけか。
はぁ、なんじゃこのとばっちり。
「さぁ、二人ともそろそろ変わってください」
「仕方ないの」
「…仕方ない」
二人が退くと水奈が座ってきた
「あー、私もー」
「あっと、朱音はもうちょい待ってくれな」
「えー、私だって撫でられたいよ」
朱音から生えてる尻尾がしゅんとなってしまった。
「まぁまぁ、ちょっとだけ待ってくれよ」
「ぶー、わかったよ」
なんて言いながら首筋を噛んだりなめたりを始めてしまった。
「ちょ、まだ体あらってないから汚いだろ」
「それがいいんだもーん」
…なんでだろう。俺の近くにいる女の子は色々と危ない子ばっかな希ガス。
神楽と鳴は俺の後ろに回って抱き付いてきている。
「あ、それと明日なんだけど字を読める水奈と神楽を村長のとこで資料探しとかしてもらいたいんだ」
「それはいいんですが残りの子達は?」
「朱音と鳴はクエストにあったウサギ狩りをしてほしいんだ。
俺は俺で村長から色々と話を聞いてみるよ。
んで、ある程度聞き終わったらウサギ狩りに合流って感じかな」
水奈の頭を撫でながらもう一方で髪の毛を解いた。
「あ、何か文字を学べそうな物があったら言ってくれないか?
流石にずっと文字を知らないままってのは不便じゃん」
「確かにそうですね。たぶん絵本とかはあると思いますから大丈夫です」
やっぱりこういうのに使えるのって絵本がいいんだな。
だが語学な苦手な俺には死角しかないぜ。
「さて、水奈そろそろいいか?」
「あ、ちょっと待ってくださいね」
ん?なんだ?
水奈は体を反転させて正面からぎゅーっと抱きしめてきた。
…お兄さんには少々刺激が強すぎるけど。
「ふぅ…満足しました」
「そ、そう?」
「はい、1日1回はして欲しいです。
あ、でも欲を言えばクー君からもして欲しいです」
「…それは難易度が高すぎるかな」
そして横に視線を移してみるとはちきれんばかりに尻尾を振っている朱音がいた。
「朱音、おいで」
「うん!!」
朱音はニコニコ顔で俺の前に座ってきた。
さて、俺も楽しみますか。
「ふにゃ!?お兄ちゃん!?」
「やっぱりすごい触り心地だよな」
朱音の犬耳はすごくモフモフだな。
これは若干の中毒になりそうだ。
「次は尻尾だな」
「ら、らめらってぇ…」
なんか変な気分になりそうだけど気にしない。
俺は朱音の事を気にしないで尻尾に手ぐしをかけてもふもふ感を味わった。
「うーん、やっぱりくしが欲しいところだな。
しかし、この指の間を抜ける感じも気持ちいいな」
「お兄ちゃん…そこ…!?」
「ん?ここか?」
朱音の反応が良かったところを重点的にせめ…撫でてあげて朱音の声と尻尾の感触を味わった。
「ふぅ、満足」
「…もうお兄ちゃんのいじわる」
…涙目で頬染めて上目ずかい。
やばい、俺の中の何かが崩壊しそう。
「あんな激しくされたの初めて…
お兄ちゃん!!責任取って私と結婚ね!!」
「責任の方向性がおかしくないかな!?」
「そうですよ、朱音」
お?珍しく水奈が同意してくれた。
やっぱり水奈は常識じ
「それで結婚ができるなら私は今頃お風呂に突撃しています」
あるぇ?
常識人だと思ったんだが…
「わ、わらわだって何度一緒に寝たことか…」
…なぜ暴露大会みたくなってるのかな?
お兄さん恥ずかしいよ?
「…にぃが寝てる間に奪う」
「何を!?」
鳴は俺から何を奪う気なの!?
「鳴、いっつも思うのですがもう少し言動を抑えましょう」
おや?なんか鳴がちょっといじけたぞ?
「…水奈はお兄ちゃんの服でお「わーーーーーー!!」」
ん?水奈のやつ一体どうしたんだ?
いきなり大声出したけど?
「鳴、それはだめです!!
それはダメなやつなんです!!」
「…にぃが寝てるとき神楽がにぃの手で「にょわーーーーー!!」」
こ、今度は神楽が…
鳴ってどんな秘密を知ってるんだろう?
「くぅ、鳴に弱みを見せるでなかったわ」
「…朱音はお布団の中で毛を「ダメーーーーー!!」」
…今度は朱音まで。
「うぅ、なんで私まで…」
「…後は」
「明日も早くなりそうですから寝ましょう。
皆もそれでいいですよね」
鳴以外の皆がタイミングも同じに頷いた。
何だろう、眠いというより鳴に暴露されたくない方が強い気が…
まぁ、藪蛇だし気にしないでおこう。
「あっと、ちょっと待ってね」
いちよこういう時のために作っておいた魔法があるんだよな。
俺たちを風が包み皆の体を緑色が包んだ。
「今のは?」
「浄化魔法っていうのかな?
いろんな魔術合わせたらできたんだよね。
汗やら汚れやらを取る魔術って感じかな?」
学校とかで体育の後とか重宝しますた。
「またすごい魔法を使いますね。
それとクー君、ここでは魔法と言わないとまたばれてしまいますよ」
「あ、そうだったね。気を付けるよ
さて、寝ようか」
「ではクー君真ん中に寝てください」
俺は水奈に言われた通りベットの真ん中に寝転がった。
川の字で寝るのか?
でも5人だしきついか。
「では各々寝ましょうか。
クー君腕を伸ばしてください」
「あ、両腕ね」
えーと、まさか。
俺の腕を枕代わりに朱音と水奈。
そして神楽、鳴が抱き枕の如く腹に抱き付いてくる。
周りから香ってくる女の子なかほり。
うん、眠れないよね。
それともう一つ難点があるけど…
「おやすみー」
「おやすみなさい」
「お休みじゃ」
「…おやすみ」
…といえども今更言える空気でもないし。
「おやすみ、みんな」
まぁ、はい。
その後頑張って眠りましたよ。魔法を使って。
そして、朝になりました。案の定ですよ。
「…皆おはようだな。
俺はもう少し時間がかかるかな」
「どうかしたんですか?」
「うん、腕が痺れて動きたくない」
1日腕枕してればそうなりますよねー