第105話≡俺の立場って・・・
だいぶ遅くなりました。
本来はもうちょっと話が進むはずだったんですが思いのほか話をつなげるのが難しくこんな感じに・・・
次くらいから話が進むかと思われます
「さて、近くで村らしき集落を見つけたから行ってみるか。
みんな、これから人前に出るんだからちゃんとしろよ」
結局あの後、何とかみんなを鎮めて上空に上がって小さな村を見つけれた。
さすがに大衆の前では簡便だしな。
「クー君、さすがに人間の国や村に入るのであれば私たちは影に隠れてる方がいいと思うんですが」
「え?なんでまた?」
「この世界ではお兄ちゃんが思ってる以上に魔物に対する反感が酷いんだよ」
…ここでも魔物たちの扱いは酷いのね。
こう、何とも言えない気持ちになるよな。
「そっか。でも、いくら影の中だからって息苦しいだろ?」
「それはそうだけど」
「俺個人の意見だけど、やっぱりみんなには我慢はして欲しくないかな」
そんなこと言ってると鳴が抱き着いてきた。
「…にぃと一緒がいい」
クリティカルヒット!!
桜は瀕死寸前だ!!
「よし、決めた。みんなは俺と一緒に行動な!!」
あの可愛さはやばい…
破壊力が凄まじい。
「・・・流石、にぃ。話がわかる」
「でも、クー君が皆に責められるのは」
「まぁ、俺は大丈夫かな。そこまでの豆腐メンタルはしてないし。
でも、そんなこと言ったらみんなも他の人たちに酷いこと言われるんじゃない?」
俺としてはそっちの方が気になるんだけども。
「わらわたちは大丈夫じゃろ。
周りの罵倒よりも兄上が言われる方がきついんじゃが」
「・・・つまりあれだな。皆おんなじような事考えてるんだし、なんとかなるんじゃないか?」
「そうですね。この話をしても平行線な気がしますし」
だよな。会話が無限ループする気がするもん。
「さてと、異世界に来て初めての村にでも行ってみるか」
・・・あれ?俺ってどうしてこの世界に飛んだんだっけ?
ま、いっか。いざ、異世界観光!!
「で、ここがその村か・・・」
「街からも遠いので賑わいにかけますね」
なんというか、ド田舎って言葉をそのまま村にしました。みたいなところだな。
「・・・あぁ。流石にこっちの言語の翻訳まではされないのね」
「え?そうなんですか?」
「うん。全然読めない」
てかそうだよな。よくよく考えたら地球で作られた魔術なんだから、こっちの方まで翻訳されてたら逆にびっくりだわ。
「となると、どちらにしても私たちの誰かはクー君と行動を共にしないといけなかったんですね」
「そしてわらわ達は血を血で洗うような戦闘を繰り広げるんじゃな」
「ははは、そんな大げさな」
・・・おかしくね。空気がマジなんだけど。
「さて、とりあえず。水奈」
「はい?」
「俺はこれからどうすればいいの?」
うん、今どうしたらいいかわからん。
「とりあえず、宿を・・・あ」
「ん?」
「・・・酒場に行きましょうか」
・・・え?なんで酒場?
昼間から飲むの?
「・・・お金」
『あ』
「そういうことです」
俺が今持ってるのって日本円だし。
ここじゃ使えるわけもないよね。
「・・・しかしなんで酒場」
「あそこにはお金を稼ぐための“依頼書”というものがあると聞きました」
「なるほど、それで稼ごうと」
「そういうことです。金額はあまり期待できるものでありませんが1日くらいなら宿屋を借りることもできるでしょう」
一日でどれくらい稼げれるかだけど最終手段としては・・・
「・・・みんな影に隠れて1人分に浮かす」
「というよりも、流石に1日で5人分は無理じゃからな」
「ですよねー」
となるとなんとかして1人分のお金だけでも稼がないとな。
「となるとまずはお金稼ぎから始めるのか。
はぁ・・・だる」
「そんなこと言わないで頑張ってください。
怪しまれずにお金を稼ぐにはクー君が頑張るしかないんですよ」
異世界に来てまで働くとか・・・
はぁ、ニートになりたい。
「いいから来ますよ」
「はいはい。
頑張ってみるよ」
さて、一体どんな仕事があるのかな・・・
「てか、どこが酒場なんだ?」
「こっちですね」
酒場か。
てか、歩いててわかったんだけどこの村に若者はいないのか?
「おやおや、見ない顔だね。
獣人なんて連れてるって事はあんたら冒険者かい?」
なんて思って酒場を目指してるとおじいちゃんに声かけられた。
パッと見、人あたりは良さそうだ。
それに、獣人?
耳が生えてる朱音の事をいってるのかな?
「冒険者?」
「あはは、そうですよ」
水奈がウインクしてきた・・・
・・・・・・あ。(察し)
「べっぴんさんばっかりで羨ましいね」
「そうですね。俺に似合わないくらいのいい子達ですね」
「ははは、そうかい。
ところであんたら一つ頼まれごとをされないか?」
・・・あれ、酒場行かなくてよくね?
「なんですか?」
「いやなにこの前腰をやっちまってな。
家の前までこの野菜を運んでくれると助かるんだが・・・」
「おkです」
よいしょっと。
なかなかこの野菜(?)って重いな。
てか、これって野菜なのか?なんか色合いが基本3色なんだが・・・
「ちょっとクー君!?」
「ん?どした?」
「どした?じゃありませんよ!!
私たちはお金を稼がないと・・・」
なんでだろうな。水奈が変に興奮してるな。
「まぁ、落ち着こう。
お金は大切だけど困ってるおじいちゃんをほっとくのはあれじゃん」
「それはそうですが」
「ほら、早く行かないとおじいちゃん待ってるぞ」
てか、早く行かないと俺の腕がもたない可能性が微レ存。
「こっちに来てくれ」
「はい。
よいしょっと。いやー、これ重いですね」
「ははは、冒険者がなにいっとるかね。
こんな野菜比べ物にならないくらいのもの振り回しとるじゃないか」
・・・今、冒険者って設定だったの忘れてた。
「あはは、そうですね。
ほかに何か手伝いますか?」
「いや大丈夫。
流石にこれ以上は頼めんだろ」
「いやいや、気にしないでくださいよ。
別にこの後は、酒屋に行ってあるクエストこなすだけですから」
そうなんだよな。この後働いて金を稼ぐんだよな・・・
はぁ、ひきこもりたい。
「そういえばなんでまたこんな辺境の村に来てまでクエストをするんだ?」
・・・おふ。なんとも言えないような質問がきたな。
「あ、あそこに用事があって」
俺はとっさに黒い雲の方を指差した。
まぁ、いちよは目的地らしいし・・・
「・・・一応言っとくけど、命は大切にしないとダメだ」
「ははは、肝に銘じときます。
・・・それでまぁ、行こうとしてるんですが丁度お金の方が尽きてしまって」
「あぁ、その人数だと金がなくなりそうだ」
現状、俺を含めて5人だもんな。
そりゃ、金がかかると思われるわけだ。
「全くです。お札に羽がついてるんですかね・・・」
「お札?」
「あーっと、気にしないでください。
それで他になにか手伝えることはありますか?」
「特にはないが、ちょっと待ってくれ」
・・・そういえばこの家とかもだけど基本的にレンガなんだな。
コンクリートのマンションとかだったら世界観ぶち壊しだもんな。
「ほれ、今回の報酬だ」
と言われて10円を大きくしたような物を数枚渡された。
これがこの世界の通貨と見ていいのかな?
「流石にこれで5人泊まるのは無理だが、少しでも足しにしてくれ」
「いいんですか?俺は貰う気はなかったんですが・・・」
「手伝わせといて何も無しじゃあれだし、ただの気持ちだ受けっとっといてくれ」
「分かりました、ありがとうございます」
さて、今度こそ酒場に向かうとするか。
「では、また縁があれば」
「おう。怪我には気をつけろよ」
さて、今度こそ酒場に向かうとするかな。
「クー君、さっきの人にこの村の宿屋の価格を教えてもらえば良かったのでは?」
「・・・つ、次があるから」
カランコロン
「ん?こんな昼間に来るなんて、誰だ?」
「あ、どうも」
カウンターにはあご髭を生やした体格の大きな男の人がだるそうにこっちを見ていた。
「この村のやつじゃねぇとなると、冒険者だな」
「まぁ、そうですね」
「クエストボードはあっちだ。
っても貼られてるクエストは
『獣狩り』
『薬草採取』
『大木の片付け』
の3つしかないけどな」
うーむ、こんなかで一番楽そうなのは・・・
「妥当に『大木の片付け』かな」
「兄上。兄上ほどの力があるなら『獣狩り』の方が」
「動物を殺すのはこう、決意が必要というかなんというか・・・」
「はっ。冒険者のくせになに変なこと言ってんだ?」
・・・うん。ミスったのは認める。
だから、みんなしてそんなジト目で見ないでくれないかな?
「まぁ、いいや。
ほれ、これが『大木の片付け』のクエスト書だ。
場所はカッレの・・・道具屋だっけな?
あー、そうだそうだ。道具屋のとこまで行ってくれ」
そうして渡されたのは茶色い丸まった紙だった。
内容は・・・うん、読めないね。
「分かりました。ありがとうございます」
「クエスト後は是非この店を皆で利用してくれよー」
適当だけど、店の宣伝はしっかりとするんだな。
カランコロン
「さて、皆。
俺は場所がわからないからお願いしてもいい?」
「・・・お兄ちゃんを一瞬頼れると思ったけどいつも通りで安心したよ」
「Hahaha、朱音。それだといつもは頼れないみたいじゃないか」
「・・・・・・・・・」
あれおかしいな?
朱音が視線を合わせてくれない。
朱音だけじゃない。鳴以外視線を合わせてくれないし、鳴も何がなんだかわかってないな。
「あのー、皆?」
「・・・あ、クー君あっちの方に道具屋がありますよ」
「本当だね。早く行こうよ、お兄ちゃん」
「そうじゃな兄上。稼がないと今日は野宿じゃぞ」
・・・あるぇ?なんで無視されてるんだろうな。
「ちょ、ちょっと待てぇい!!なんか色々とおかしい気がするぞ。
もう一度俺の立場をだな・・・ってもう皆いない!?」
「・・・にぃ、行こう?」
鳴、お前もなのか・・・