第103話≡思ったら行動あるのみ!!
「ってなわけで俺は魔界に飛びたいわけです」
「いきなり部屋に入ってきて何を言っておるんじゃ?」
俺はマスターの部屋に入って単刀直入に要件を言ったらポカーンとされてしまった。
一体俺が何をしたっていったんだ?
「なんでお主がポカーンとしとるんじゃ?
時間が無いと言っておるじゃろ」
「だと思って単刀直入に言ったのに…」
「クー君、それでは私たちですらわかりません」
えー、確かに事情は説明してないけどさ…
「話が長くなるんですが…」
「……はぁ。仕方ないの。
少し待て。デビル、この書類を片付けてくれ。
それと茶を人数分頼む」
「かしこまりました」
…流石にふざけて遅らせることはできないな。
「さて、どういう事か話してもらえるかの?」
「おkです。このことはまだ彼女たちにも話していないので同席でもおkですか?」
「なんじゃ、お主らも内容をしらんかったのか」
「はい。退院するなりここに向かったので何も聞かされていません」
みんなしてジト目をこっちに向けるなよ。
話すならこっちで話したほうが二度手間じゃないと思ったんだよ。
「さて、これはちょっとめんどくさい話になるんで質問は話を全部聞いてからお願いします」
「話していては喉が渇くのでこちらをお飲みになりながらお話ください」
「あ。ありがとうございます」
お願いだから気配を消しながら給仕をするのをやめてほしい。
てか、何?メイドとか執事になると気配がなくなるように教育が入るの?
「では、桜。今度は何があったんじゃ?」
「あ、はい。実は………」
俺は自分の身にあったことを全て皆に話した。
正直、俺もこれを話しながら自分にあったことをまとめていた。
――――説明中―――
「なんていうことが」
「…なるほどの。
いくつか質問があるんじゃが」
「はい。俺に答えれる限りなら」
「私も質問があります」
「おk。でも、まずはマスターからな」
質問がかぶって減ってくれることを願うかな。
「龍のパーツは全部でいくつあるんじゃ?」
「うーん、わからないですけど、全部体のパーツでないかなとは思っています」
「確かにの。
今集まってるのは『眼』と『血液』か。
先が遠いの」
そうなんだよな。
小指とかあったら俺の心は砕け散るぞ。
「次の質問じゃ。今はお主自身に異常はないのか?」
「はい。そこは大丈夫ですね。
変にマナが暴走とかもありませんね」
「そうか…」
マスターはそうつぶやき何かを考えるように顎に手を置いた。
「なるほど。
しかし前提条件としてどうやって魔界に飛ぶつもりじゃ?
まさか、空間魔法が使えるなんて…」
「え?」
「え?」
…あるぇ。報告してなかったけ?
これは違う意味で怒られるぞ…
「…お主」
「なんというか…こう、言ってませんでしたっけ?」
「言っておらんわ!!なんでそんな魔術まで使えるようになってるんじゃ!?
いつじゃ!!いつ覚えておったんじゃ!?」
「あれです。水奈が来た次のミッションで」
「なんで報告しないんじゃ!!」
「いや、ほら。いろいろと忙しかったじゃないですか。
それですっかり」
…俺は言ってるもんだと思ってたし。
「はぁ、わかった。
あ、折角魔界に行くんじゃから他の奴らも誘ってはどうじゃ?」
「あー…うん。声だけでもかけてみます」
あいつらなら行きたいなんてすぐに言うと思うけどな。
「わしからの質問は終わりじゃ」
「了解です」
「では、私から質問いいでしょうか?」
「おk」
とりあえず紅茶をだな。
…これマジでうまいよな。
どうやったらこんなに旨い紅茶をいれれるんだろう?
「クー君、その暴走の頻度はどれくらいですか?」
「うーん、それはわからないかな…
俺もそこは聞いてないんだよね。悪い」
次に会えたら聞いてみるか。
「…いえ、大丈夫です。
では、次の質問です。次、クー君が暴走したら私たちはどうすればいいですか?」
…本心を言えば俺の影に避難してほしいところだが。
うん。なんか皆の見てるとな。
「俺の影に逃げてほしい」
「クー君」
「はいはい、流石に皆を見てればいくら俺でも気づくって。
どうか俺を止めてくれないか?」
俺があっちの立場ならこの回答が正解かな…
うん、だよね?なんかすごく不安になってきた…
「はぁ。私たちのご主人様は仕方ないですね」
「本当だね」
「でも、逃げてなんていったら…どうなっていたかの?」
「…一日立場逆転?」
鳴、何気に怖いことを言うな。
そこ、ちょっと残念そうな顔をしない。
「あ、私からは最後の質問なんですが、いつ魔界にいくつもりですか?」
「うーん、遅くて…明後日?」
『あ、明後日!?』
その場に居た皆が声をそろえて驚いた。
あれ?そんなに急だったかな?
「なんてことを今日話していたんだ」
『うわぁ』
俺はその日の内に皆を自宅に招待して今日あったことを説明した。
あ、シオンは来れないとのことだ。流石にね…
「はい。質問は?」
「え、えーと。俺らが行くとして戻れる保証は」
「絶対に戻れる。なんて無責任なんてことを言うつもりはないよ」
何かしらのミスで戻れなくなる可能性はあるし。
「…ま、俺は行くけどさ」
「同じく。こんな楽しそうなことに参加しない手はないからね」
「俺も行きたいな。魔界に行けるとかどんなラノベだよwww」
うし、三人の言質は取れた。
で、あと一人か。
てか、こいつら自分の奴隷には何も言わなくていいのか?
近くで遊んでるぞ?
「で、お前さんはどないする?」
「うーん。魔界にも行きたいけどメタルが来たしな…」
「あっちに行けば合成できるアイテムとか技術が学べるぜ」
ま、最終選択するのは本人だからあれだけど。
「…ついでに聞くけどこっちに戻ってこれる日時とかは」
「あっちの時間軸とか知らんし、戻ってこれる保証もないって言ってるしな」
「……おk。わかった。行ってみるか」
よし、これで四人確保だな。
あ、ちょっと場をかき乱すかな。
自分の首?知らんがな。
「あ、行くのは明日の夜に行くから準備よろ」
『あいよー』
「あと、日本には結婚する時その人の実家に行くという風習があってだな」
ガタッ!!
『てめぇ!!なんてことを!!』
「ざまぁ、ねぇぜ!!」
女子の奴隷達は主人の所に行き何やら話している。
ま、それは俺も例外じゃないんだけどさ。
「お兄ちゃん!!」「ク、クー君!!」「兄者!!」
うん、わかったから、俺の首を絞めつけるのはやめてくれー!!
酸素が、気管ががががが…
「てなわけで早々に行けそうですよ」
「…決断が早すぎやしないか?」
俺は寝るついでにヴァレリさんのところに行き近況報告をした。
「ま、わしとしては丁度いいんじゃが」
「で、俺からの質問。
いつ理性が暴走するかわかりますか?」
ま、これを質問するためにここに来たようなもんだしな。
「すまん。それはわしにもわからん」
「あら、そうですか」
「なんじゃ、ずいぶんあっさりしとるの。
まぁ、多少暴れるくらいならわしが何とかできるが本格的になったらお主を呼ぶぞ」
あ、この人でも相手ができるんだ。
なら多少は安心できるな。
「おkです。
では、今日はもう寝ますね」
「なんじゃ、今日は早いの」
「明日は色々と準備で忙しいんですよ。
ではでは~」
さて、寝れるかな?
こんな時間に…
「で、お前さんは当たり前のように寝てるのね」
「………zzz」
俺の布団には鳴が俺を抱き枕にしながら寝ていた。
「ま、いいか。お休み」
てか、2時で寝れるかが俺としては不安なんだけどさ。
荷物は…大体は影の中だな。
こういうときに影魔術は本当に楽だな。
「お前ら、忘れもんはねぇかー」
『おぉー』
…皆手ぶらだけど。
ま、いっか。
現在時刻23時、俺の家のベランダには主メンバーの俺を含めて5人集めっていた。
「そんじゃ、この石の輪の中に入って。
それで飛ぶ準備はできるから」
「てか、なんで魔法陣作ってるんだ?」
・・・こいつは俺のことを過大評価しすぎじゃないか?
「お前ら全員を安全に運びたいんだ。
多少大げさにやるくらいが丁度いいだろ」
「なるほどな。
魔法陣を石ころで創るってのがあれだけどな」
「気にすんな」
さてさて、夢にまで見た異世界旅行に行きますか。
「そろそろ飛ぶかい?」
『おっけー』
「んじゃ、飛ぶぞ」
俺は魔法陣を起動して異世界に飛んだ。
・・・うわぁ、マナがごっそりと持ってかれる。
次の瞬間には全員地面に吸い込まれ消えた。
そして、目がチカチカしそうな空間に投げ出された。
「おお・・・」
「綺麗だな」
「なんか、四次元を飛んでるみたいだな」
・・・なんかおかしいんだよな。
こう、なんとも・・・
「な、桜」
「あ、うん。せやな」
なんだろう、変な感じが抜けないんだよな・・・
「お?
なんか、草原が見えてきたぞ」
その時俺の視界の半分が歪んだ。
「ぐ、お?」
俺の体に異常が起きると同時にその通路も歪んだ。
「おい、桜どうし」
「くっそ、制御が・・・」
「お前、顔半分が・・・」
てか若干意識すら失いそうなんですが・・・
「おい、桜!!さく・・・」
「なんでこんなこ…」
「なにやって…」
悪い皆。なんか無理ぽ。
そして俺は、柔らかく草の匂いが香る草原に落ちた。