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第102話≡目覚めて見るものは天井とは限らない



 なんだろう。

すごく寝た気がする。

てかこの展開だと俺が目覚めた時は見知らぬ天井があるってのが定石だよな。


 そんなことを考えながらいざ目を開けてみよう。


「むちゅー」

「………」


 なんと目を開けたら鳴がタコのような口で迫っているではないか。

見知らぬ天井よりもある意味怖いよね。


 俺は鳴の顔を掴んでゆっくりと起き上がろうとした。

そう、しようとしたのだが。


「って、うお!?

体が変に動かない!?」

「…目が覚めた」


 俺が声を上げたからか鳴は目を開いて起きたのを確認してからまた目を閉じた。


「ちゅー」

「なんで!?

俺が起きたのわかんーーーー!!」


 目覚めたとたんに何故か濃厚なのをくらってしまった。


 朱音たちが来たのはそれからすぐのことだった。





「さて、なんで俺が支部のベットに寝てるのか説明をプリーズ」


 てか、さっきから全身が痛くて身動きができないんだけど。

そう、この痛みは筋肉痛に似ている。

動こうとするとつりそうになるから動きたくても動けない。


「はい。説明したいのですが…少々お待ちください」


 水奈達は俺の布団に潜り込んだり膝枕何かを始めた。


「あのー、水奈?

なぜに膝枕?」

「クー君は2日は起きずにいたんです。

私たちは2日もクー君と触れ合えずにいたんですよ?

これくらいは許容していただかないと」


 それに、と。朱音が言葉を続けた。


「お兄ちゃんは今動けないからね。

今のうちに充電しないと」

「………はぁ。わかった、諦める。

このままでもいいから話を進めてくれ」


 とりあず、こうでもしないと話が進まないだろうしな。

おふ、問題が一つ発生したぞ。


「話を聞くのはいいが、頼むからズボンとかシャツに手を突っ込むのはやめてくれ!!」





「お兄ちゃん!!お兄ちゃん!!」


 “龍”が“クー君”に戻るとクー君は全身から血を吹き出して朱音の上に倒れてしまいました。


「水奈!!お兄ちゃんが」

「わかっています」


 私のアイテム(オールキュア)を使って傷口は治しましたが危険な状態は変わっていないようですね。


「ククク、暴走を止めてくれてご苦労。

後は我々に任せてもらおうか」


 この人はこんな状況になってもまだそんなことを。

しかし、現状私たちもピンチな事には変わりませんね。


「うちの新人に手出しはさせないがね」


 その声とともにギターを構えた女の子―――アヌビスと支部の人達が目の前に立っていた。


「変なことしないでもらおうか。ここはもう東北支部の皆で固められてるんでね」


 フルプレートをつけた女性が剣を向けながら博士に言い放った。


「…流石に分が悪いようだな。

ここは逃がさせてもらう」


 博士が地面に手を着くと影が盛りだした。


「では、さらばだ。人間諸君」

「逃がすな!!」


 魔術師の一人が放った鎖が博士を束縛すると同時に博士は霧散しそこには羊の人形が置かれていた。


「っち。

各班に通達!!博士を取り逃がした。近隣を洗いざらい探せ!!

それと、救護班だ!!重傷者が少なくとも1人はいる!!」

「はっ!!」


 その場に居た人達が動き出すと同時に私は皆に指示を出してクー君の影に隠れさせました。

ここで複数の奴隷を持っていることがわかられると後々クー君も大変でしょうし。


「…この件は」

「とりあえず、この子はこっち(岩手)の人だから事情徴収とかはこっちでやらせてもらう。

もちろん報告とかは済ませる」

「しかし」

「最悪、地域会議として東北もマスターたちを集めて会議を開くとのことだ。任せてもらえるな?」

「……やむを得ない」


 どうやら話が纏まったようですね。

私としてはいち早くクー君をベットの上で休ませてあげたいんですが…


「よく頑張ったね。

後は僕達に任せるといい」






「そして、クー君は特別救護室と呼ばれるこの部屋で寝ていたわけです」

「なるほど。そんで、この部屋で2日間寝ていたわけか」

「そういうわけです。

あ、今さっきギルドマスターに連絡を入れたのでもう少しでつくかと」


 うぇ、そうだった。

話をしないとな。…めんどくせぇ。

てか、俺2日も眠ってたのか…

ん?となると俺の世話は…


「もしかして、皆で寝てた俺を看病してたのか?」

「はい。交代で看病してました」

「そうか…ありがとな」

「いえ。クー君のお世話をするのは私たちの当然の務めですから」

「…そう、お世話をするのは当然」


 …なんで今2回も言ったんだ?


 全員を見渡したが何故か皆、顔が真っ赤っかだった。

俺はナニをされたんだ…


「一体……いや、やめとくよ。なんか怖い」


 現状で赤面しそうな事してるしな…


 コンコン…


「空いてます。

ほら皆、影の中に入って」

「はーい」


 皆が影の中に入ると同時にマスターが入室し、ベット横の椅子に座った。


「…お主が来てから問題しか起きんの」

「そこに関してはすいません」


 水奈がマスターにお茶を出し小さな机の上にコップを置いて話が始まった。


「で、お主の身に何があったんじゃ」

「まぁ、そうなりますよね。

この話はうちの家族を出しても?」

「ああ、かまわんぞ」

「ありがとうございます。

皆、説明始めるから出てきて」


 4人が俺の影から出てきたのを確認し、頭の中で話の筋道を考えていた。


「あ。朱音そこにある鏡をとってもらえる?」

「ん?はい、どうぞ」

「ありがと」


 …よかった。何にも変わってない。

下手したら無くなってる。なんて事態にならなくてよかった。


「どうかしたのか?」

「それは説明しながら話します」


 俺は自分の目と血が変な共鳴を始めてどんなことがあったのかを説明した。


「なるほどの。お主もお主で大変な目にあっておったんじゃな」

「ええ、まぁ。

それでマスター。マスターはどうしてあの場に?」


 俺としてはそこがずっと気になっていた。

こう、タイミングがいいと少し不思議に思うよね。


「それはの、英雄(ヒーローズ)のアジトをわしが秘密裏に特定し奇襲をかけようと計画していたからじゃ。

まさか、お主らに先を越されるとは思ってもみなかったがの」

「あー、なんかすいません。

あ、そういえばシオンと他の英雄(ヒーローズ)はどうなりましたか?」


 やっぱり刑務所とかあるものなのかな…


「あのお嬢ちゃんは今、家でこってりと怒られているはずじゃ。

まぁ、お主から連絡の一つでもいれてやるといい」


 …ついに怒られたか。

まぁ、後で電話でもしてやるか。


英雄(ヒーローズ)はバラバラにしておるの。

大多数が監獄で暮らして居るが比較的安全な奴はこっちにいてもらっとるぞ」

「あー、そういう処置にしたんですね」

「うむ。

一人は生産系ギルドで活動しておるし。

一人は採掘の手伝いをしてもらっておるの」


 へぇ、全員が全員罪に問われるわけじゃないのか。


「まぁ、お主のおかげでテロリストは壊滅。

主犯者は逃したが当分は活動できんじゃろうし大丈夫じゃろう」


 あ、博士逃がしちゃったのか。

まぁ、あの人は文字道理死んでも死なない人だからまた変なの創るんだろうな。


「これくらいかの。わしが聞きたいことは以上じゃ。

お主は他にあるか?」

「…特にはないですね」

「そうか。まぁ、お主は今はわしに任せてゆっくりと体を治せ。

それが今のお主の仕事じゃ」


 マスターはそれだけ言うと部屋を出て帰って行った。


「…今はお言葉に甘えようかな」

「さて、クー君どうしますか?」

「とりあえずテレビでも見ながらまったりと考えよう」


 その1日は本当にほのぼのと過ごしその日はゆっくりと過ごした。





「過ごしたかったんだよな…」

「まぁ、そういうな」


 …いざ寝てみたら何故かこの部屋だよ。

夢を見させてくれよ…


「それでどうしたんですか?」

「いやなに、お主に頼みたいことと忠告を一つ」


 …どっちから聞いてもめんどくさそうなんだよな。


「話の繋がりではまず忠告からじゃな。

…お主、今割とすぐ死ぬ状況じゃぞ」

「…はい?」


 それって忠告ってより殺人予告じゃ…


「なんでまた」

「手っ取り早く言えば血液の問題じゃな」

「血液?」


 A型にB型がまじりあうと死んじゃうとか?

これもテレビの情報だから詳しくは知らないけど。


「今、お主の体に何種類の血液が混じっとるかわかるか?」

「えーっと……2種類?」


 俺と朱音の血が混じってるはず。


「残念じゃが、3種類じゃ」


 …俺、朱音、龍か。


「元々わし等の血は毒性が強くての。

他の血を武器にして戦うところもあり他の血と混じり合うと固まりやすくなってるんじゃ」

「えーっとつまりは」

「うむ。対処せんと死んでしまうの」


 あらら、それは大変。

てか、そこに関してはもう手はないんじゃないかな…


「さて、次に頼みに移るが」

「ちょ、ちょっと待ってください。

俺はもう死ぬのを待つしかないんですか?」

「早まるでない。わしとてちゃんと考えがある」


 命がかかわってるものをもったいぶられるとイライラするね。


「わしの知り合いの治療者(ヒーラー)にあえればお主の体の血液を一種類にすることは可能じゃ」

「つまりそのヒーラーに会えれば俺は助かるんですね」


 そうなんじゃが…と話を続けるヴァレリさん。

なんかすごく言いづらそうだな。


「まず1つ。これは大丈夫だと思うんじゃが、理性はまだ暴走しとるから創造の使いタイミングで暴走するじゃろ。

もう1つはその知人がいる場所じゃ」

「…まさか、またバラバラになんて」

「それはないから安心するとええ。

ただし、とても厄介なところにおっての」


 …厄介なとこ?


「わしの生まれた地。

…つまりは魔界じゃ」

「…えー」


 確かにあっちに行く魔術は知ってるけど。

…あっちに行くのかぁ。


「はぁ、わかりました。

いけるようにはします。」

「おお!!流石じゃ」


 てか、あいつら(ガーゴイル)がいなかったら俺はここで死んでたんだなぁ…

ある意味すごい巡りあわせだよな…


「…そしてそこから頼みに繋がるんじゃが」

「…なんですか?」

「わしのパーツを集めて欲しいんじゃ」


 これまためんどくさそうなものがキター。

え、パーツさがしって…


「今のわしだけじゃ理性を抑えることは不可能じゃ。

このままではいつまでも暴走してしまう。

そこでお主にはパーツを集めてもらい、わしを完成させてほしいんじゃ」


 …いや確かにいつまでも暴走させるのはつらいけどさ。


「全てのパーツが揃ったら晴れてわしも自由の身になれるんじゃ。

頼む。お主にしか頼めんのじゃ」


 って、なんで土下座してるんですか!?


「頭を上げてください!!

あー、もうわかりましたよ。

集めるのに協力しますから」

「本当か!?」

「ただし。俺が集めきれなくても恨まないで下さいよ。

あくまでできたら集めるの方向でお願いします」

「ああ。ああそれでかまわん!!

よろしく頼むぞ!!」


 はぁ。

なんかまためんどくさそうな事になってきたな。


「あ。1つ言ってなかったが、残りのパーツは全部魔界じゃぞ。

この世界にはもう同じ流れは感じられぬ」


 …はぁ。

どちらにしても俺の魔界デビューは決まってしまったようです。


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