第98話≡俺の最終兵器、弱そう
長らくお待たせしました。
D×Dは…訳あってもう少し待ってください。
桜が階段を下りた後、そこには俺と額の汗を拭うインフェルノが残っていた。
「ふぅ、あいつは行ったみたいだな…」
「お前、本格的に桜がトラウマになってるんだな」
インフェルノは顔面蒼白だったが桜の姿が見えなくなると顔には血が巡り、すぐに態度を急変させた。
「さて、あいつが消えたことによりお前の死は確定したわけだが、言い残した事はあるか?」
「お前、急に手のひらを返してくるなよ」
それにしてもさっきからのこいつの無駄にドヤッとしてる部分が地味にイラつく。
よく他の英雄は平然と付き合っていられるよな。
「くふふ、お前をどう殺してやろうかな。
手足を削ってからペット共の餌にしてやるのもいけど、ナイフで地道に臓器を抉るのもいいよな。
あ、こいつをゾンビにして爆弾くっつけて敵地に入れさせるのも有りか」
…こういうやつって映画やアニメだと絶対いい最後を迎えないってセオリーがあるけど現実だとどうなんだろ?
「なあ、お前はどんな死に方がいい?」
「残念ながら俺には死に方を選ばないといけない理由がないんだよな」
「くふふ、安心しろってすぐに泣いて自分の死にかたを懇願するように成るからさ」
インフェルノはそういうととても愉快そうに高笑いを始めた。
うわぁ…
完全に悪党の笑いかただよ。
こんなやつがヒーローとか、この組織大丈夫なのかよ…
「しかし、君も災難だよね。僕みたいな最強の英雄と戦うなんてさ」
あ、こいつらテロ組織だから大丈夫じゃなかったわ。
しかし、テロ組織か…
ペロリストとかが入ったらペロ組織とかになるのかな?
「まあ、君も僕のようにパーフェクトで美s」
そしたら何をペロペロするんだろう…
女の子とかだと色々問題だから…練乳とか?
いや、でもそしたら血糖値が…
「だから君も安心して…ってお前!!僕の話を聞いているのか!!」
「ん?ああ、あれだろ?血糖値が大切って話だろ?」
その瞬間、インフェルノの額に青い血管の筋が何本も浮き出し始めた。
「くふふふ、君はそんなに早く死にたいみたいだね。
いいだろう。君の処刑方は僕のペットの餌に決定した!!」
え?なんでこいつキレてんの?
最近の若者って本当にキレやすくて怖いよな?
「まあ、何はともあれ。
お前がやっと戦闘をしてくれるようになってくれて嬉しいよ」
ぶっちゃけあいつの話なんてどうでもよかったし。
「リッチ!!」
「はい。お任せください」
インフェルノが腕を広げるとなぜか背後が暗くなっていきついには奥の壁が見えなくなった。
それと同時に暗闇からいくつもの目のようなものが光だし同時に殺気が膨れ上がった。
さて、こうなったら俺も準備を進めないとな。
「皆、頼んだ!!」
萩が『死者の書』を広げると足が拘束され、周りにゾンビとゾンビ犬が何体も現れ始めた。
「ご主人様、ここは狭いのでいつもの数で圧す戦術が上手く使えないかもしれないです。
ですから、出すアンデットはよく考えて使ってください」
…あれ?狭い空間だからこそ数で圧す戦術の方がいいんじゃないのか?
「ゾンビちゃん、狭いからこそ数じゃないのか?」
「相手がもし、広範囲を焼くような魔術を使うとなればただ駒を失うだけですから」
…あー、うん。納得。そうなると色々と考えないとダメなのか。
「くふふ、では早速だけどこいつらの相手でもしてもらおうかな?」
奥の暗闇から出てきたのは鼻から炎を四本の牙を生やした猪のような生き物と全身に電気を帯電させたワニのような生き物を出してきた。
どちらも大きく動くだけでこの部屋を崩しそうだった。
うわぁ…早速、炎を使うようなやつが出てきたか。
だけど、あいつさえ倒せれば後は…って、まだ出てくるし
更に、残りの空間を埋めるように小さな鬼――ゴブリンゾンビもこん棒を握りしめて現れてきた。
さて、問題はやっぱりあの豚だな。
あのちっこいのは、たぶんうちの犬がなんとかしてくれるから…
「行け!!あいつを喰らい尽くしてやれ!!」
「ゾンビ達はあの豚を。
わんこ達はちっこいのの相手をしてくれ」
『ヴァァァ…!!』
ゾンビやゴブリンが動くよりも早くゾンビ犬達が動きゴブリンの頭に食らいついていく。
ゴブリン達もこん棒を振り回して対抗するも犬達の方が素早く、当たる気配すらなかった。
この状況では確かに萩の方が有利だった。
「鬱陶しいなぁ。
おい!!こいつらを焼き尽くせ」
ブォォォォォ!!
猪から放たれた炎はゴブリンもろともゾンビ犬や猪に近づこうとしたゾンビを焼き、フィールドが一旦綺麗に片付かれた。
「…火力が予想以上ですね。
ご主人様、あいつを止める術はないんですか?
たぶんですが少しの間だけでも止められれば状況は変わるんではないのかな?と」
足止めか…ああ、こいつらなら大丈夫じゃないかな?
萩がページを捲ると黒い小鳥達が天井を埋めた。
「君たちの魔術であの豚の動きを止めてくれ」
小鳥達は黒い線のように素早く動き、猪の足にたどり着くと啄み始めた。
「君が使うやつらは本当に鬱陶しいな!!
だが、雑魚にはかわりない。その小賢しいのを蹴散らせ!!」
猪は足を上げて暴れようとした。
「…?どうした?」
だが、猪は暴れられずに体を必死に動かそうとするばかりだった。
「ど、どうなって」
『ヴァァァ…!!』
こうして、意識を小鳥に向かわせてる間にゾンビ達は猪にたどり着き、凍ってる猪の足から登り始めた。
「いつの間に!?
くそ、あの鳥どもか!!」
まあ、正解だな。
大量の鳥達が萩の元へ帰るなか4匹だけ戻らずに足に留まっていた。
そして、体を光らせると次の瞬間には猪の四肢は氷の槍で地面に縫われていた。
…そこまでしなくても大丈夫だったんだが。
まあ、ありがたい。
しかし、猪も登られているだけでなく身を奮わせてなんとか振り落とそうとしてた。
「い、いいぞ!!そんなやつら振り落とせ!!」
猪は足が固定されてるなか頑張って振り落とそうとしているとゾンビの一人が遠くに――ワニのほうに飛ばされた。
バチバチバチ!!ジュゥゥゥ!!
…えー、あのワニそんなに高電圧なのかよ。
そこまでとは思ってないから大変なんだが。
そんな事を思ってるとバクバクと猪を食べていき、ついに猪は動かなくなってしまった。
「く、くそが!!
おい、ワニ!!何とかしろ!!」
さて、対策としてはこれしかないよな…
「皆、一回戻って。
頼んだよ、剣士、魔術師!!」
出てきたのは肩とヘルム、洋刀を持った骸骨と全身をローブが包み込んでいる何かだが、白骨化している足がチラ見えしていた。
その骸骨がさっきまで暴れていたゾンビ達同様の数現れた。
「ジャングラーは土系統の魔術であの電気をできるだけ消してくれ。
フェンサーは電気がある程度なくなったら斬りかかってくれ」
すると、ジャングラー達はローブの中から小さい杖を持ち出して頭上に掲げた。
瞬間、ワニの頭上に大量の土が出現しワニは土の中に埋もれた。
その時、ローブの中の骨のような(というよりも骨そのもの)真っ白な体が見えた。
「くくく、そんなことでやられるものか。
ワニ、全てを煤に変えろ!!」
土が光り出すと同時にジャングラーの何人かが杖を掲げて魔術を唱えた。
「え?宝石魔術?
俺そんなの頼んでな」
ジャングラーは宝石で小さな塔を造るとそこにワニの発した雷が集中した。
あー、避雷針。
こいつら、実はものすごいAIを積んでるんじゃないのか?
ワニの周りにフェンサーが集まり土の中をザックザックと刺すと土はすぐに静かになった。
「…ジャングラーの宝石班。念のためよろしく」
ワニの周りにいくつもの宝石の破片が浮かび出しワニに刺さり、一度ビクンと跳ねると動かなくなった。
「お、おいおいおい!!
ふざけんなよ!!なんでこんなやつなんかに俺のペットがやられなきゃならねぇんだ!!
………決めた。
リッチ!!あいつを使うぞ」
「……まさかと思いますがキメラのことでしょうか?」
ん?どうしたんだ?明らかにリッチが動揺してるんだが?
「ですが、あれは我々にも影響が」
「ふん。あれを出し次第、ゲートを閉じればいい。
そうすれば僕達への影響は0だ」
「…かしこまりましだが、何とぞご注意を」
…一体何をする気なんだ。
てか、ラスボス的なのは出さないでくれると本当に助かるのにな…
「さて、出てこい!!キメラ!!
こいつらを徹底的にぶっ潰せ!!」
インフェルノがそう言うと出てきたのは尾が蛇、2つの頭を持ち片方がライオン、もう片方が羊。
そして、虎の体を持つ怪物が姿を現した。
「…伝説上の生物がここに来るか」
「…ご主人様、あいつは嫌な感じがします。
本当に気を付けてください」
嫌な感じか。
ゾンビちゃんが言うんだから受注八区間違いはないんだろうが、あいつから動いてくれないとな…
すると、フェンサーの何人かが先手必勝とばかりに動き始めた。
「おい、相手の出方もわかんないのに動くなんて」
蛇がそのフェンサーの動きを捕らえた途端、口を開き光を溜め始めた。
そして、レーザーをフェンサー達にぶつけた。
「…なんだよ、あれ」
「………」
レーザーに当たったフェンサー、さらに後ろにいたジャングラー達も灰になった。
その威力はかすったレベルですら灰にするほどの威力だった。
「くははは、やっぱり初めからこいつを出してればよかったんだ!!
こいつはな、相手がアンデットなら無敵のペットなんだよ!!」
アンデットなら無敵?
どういう事なんだ?
「ご主人様、私たちゾンビ達の根本的な弱点って教えていませんでしたよね」
「え?そんなのあるの?」
「はい。桜様以外は使えるものではなかったのでお話ししなかったのですが…」
桜なら使える?
武器か…いや、魔術となると。
「…光魔術。とか?」
「当たりです。
でも、あのキメラからも同属匂いがするのに光魔術なんて…」
そんな事を話している間にフェンサーがレーザーを掻い潜りキメラに斬りかかった。
ザクッ
キメラの足には見た目よりもあっさりと剣が食い込み血を流させたが爪に切り裂かれ灰となった。
キメラ自体は以外と柔らかいんだな。
でも、あいつの爪にも光魔術が加わってるのはちょっとな…
そんな事を思ってると羊の頭の上に風のボールが作り上げられそこから風のカッターのようなものが骸骨を切り裂いていき灰へと還していく。
「ご、ご主人様!!
どうしましょう、あれを何とかしないと」
「な、何とかって言われても…
あ、なんか硬めの魔術をぶつけてみれば」
氷を使うのジャングラーは杖を掲げて氷の刃をぶつけるもその体に当たる前になぜか魔術は無効化されて刃は弾かれてしまった。
「くはは、無駄だ!!
魔術なんてこいつには通用しないんだよ!!」
うわ、魔術無効化着きとか、もう勝てる見込みがないぞ。
はぁ、どうしよう
「…ご主人様、見た限りですが骸骨の数はすでに1/4。
策がないのなら他に変えるのも手では?」
「って、言われてもな」
ゾンビに変えても遅いからダメだし。
ゾンビ犬は早いけど攻撃力がない上に元々の数が少ないしな…
鳥は…物理の攻撃が残念過ぎる。
あれ?この状況詰んでね?
ゾンビちゃんにはあんまり動いてほしくないしな…
萩は何か手はないかと体を漁ると足が固定されていたため後ろにバランスを崩した。
「いって」
「ご主人様、落ち着いてください。
…あ、これって」
ん?なんか落としたのか?
「ご主人様!!これがあれば!!」
「よっこいせ。
ん?ああ!!それがあったな!!」
後ろにいたゾンビちゃんが持っていたのは桜からもらっていた魔法石を立ち上がった萩に見せた。
「…って言ってもあれには魔術は通じないんですよね」
「…いや、これならできる可能性が」
ゾンビちゃんから魔法石を受け取ろうとした瞬間ゾンビちゃんは萩に抱きついて前に倒した。
「ちょっ、ゾンビちゃん今はふざけてる場合じゃ」
「…えへへ、頑張って下さいね」
その途端、ゾンビちゃんは灰になって消えた。
「え?ゾンビちゃん?」
後ろを見ると風の刃が後ろの骸骨を灰にしていた。
…やべ。魔法石に集中しすぎてた。
なんで前見てないんだよ、俺。
「ちっ、外したか。
だが、君の奴隷は倒せたみたいだね。
あはは、ざまぁ、見やがれ」
…よし、落ち着け。
まだ、チャンスはあるんだ。慌てるな、そして、イラつくな…
「すぅ…はぁ…
よし、頼んだぞ、『死者の書』!!」
立ち上がった萩は魔法石を『死者の書』に押し付けた。
すると、死者の書はいきなり光を放ち始めそして、収まった。
「な、なんだ、ただの子供だましじゃないか。
キメラ、あいつを」
ドコ!!…パラパラ
しかし、インフェルノは最後まで言えずにキメラの蛇にものすごい勢いで飛ばされて壁にめり込んだ。
「えーと、何が変わったんだ?
ん?これか?」
『死者の書』には魔石傀儡Lv.1と新しく加わっていた。
「これしかないよな。
頼んだ、ボーンジュエル!!」
…魔力が一気になくなったよ。
だるい…
出てきたのは硝子のように半透明で虹色に光る体の骸骨だったが、明らかに足りないものがあった。
「…こいつ、フェンサーよりも弱そうなんだが」
そう、ただのスケルトンなのだ。
武器も防具も無し。
凄く綺麗な骸骨だった。
い、いやでもSランクの魔法石を使ったんだからそれなりの効力がだな。
羊の頭の上に今まで溜められてきた巨大な風の玉をそのまま萩に向けて放った。
あー、これは死んだな…
萩は目を瞑ってその時を待った。
…来ないな。ってことは相当遅いんだから逃げればよかった。
っていうよりも今からでも間に合うんじゃね?
「あれ?あの魔術ドコにいった?」
目の前には威嚇しているキメラとボーンジュエルが立っているだけだった。
その時、一人のフェンサーがキメラに向かって斬りかかりにいった。
「おま、待てって」
すると、ボーンジュエルが光を放ち、バラバラになり宙に浮き始めた。
そのうち頭、肩、足、腕の部位が走ってるスケルトンに近づきまた光だした。
え?なにこれ?どうなってんの?
光が収まるとフェンサーの頭、肩、腰の防具、それと持っている剣が半透明な虹色に変わっていた。
「あ。戦闘用じゃなくて装備するほうだったんだ」
キメラの蛇が瞬時に危険性を感じて光属性の光線を出すもフェンサーは動く気配がなかった。
あれ?どうして動かないんだ?
すると、光は目の前で消えて無傷のままでそこに立っていた。
「おお、こいつ魔術を消せるんだ」
ボーンジュエルが装備されているフェンサーが剣を掲げると他のフェンサーも掲げて皆一斉に駆け出した。
うわ、すごいな。
あいつのお陰で指揮が一気に上がったよ。
キメラもジュエル装備のフェンサーを諦めて普通のフェンサーを狙ってレーザーを放ち始めた。
「あ、だからそこだけ残ってたのか」
装備されていない部位が宙に浮き、それぞれがシールドを張りレーザーを全て無効化して、フェンサー達を守っていく。
なるほど、こいつのお陰で防御面は結構強くなるじゃん。
それからは、キメラの攻撃は全部ボーンジュエルが防ぎ、ほとんど一方的にキメラへ攻撃を仕掛けることができた。
そんなキメラが倒されるには数分もかからず、萩はインフェルノに勝つことができた。
「お、終わった。
あー、キメラと交渉しないと」
キメラに近づいて『死者の書』にキメラを取り込んだ瞬間
「え?」
自分の足元が崩れ、萩は下の階へ落ちていってしまった。
スマフォを新しくしたら使い方がわからなくなったので短めの話を2つ投稿します。
と思ったらできたので上のやつはなかった事に…
どうして、投稿して2、3分後にわかるのかね…