プロローグ
主人公は、人類を守るために戦う変身ヒーロー。
敵は、人間に擬態し社会へ溶け込む怪人――ヴェイル。
誰がヴェイルなのか判別する術はなく、彼らは普通の会社員や学生、警察官として暮らしている。
主人公は日々戦い続けていた。
そんな彼には、一つだけ心が安らぐ場所があった。
路地裏にある小さなカフェ。
店主は物静かな女性。
どこか儚げで、それでいて誰よりも人の心を見透かしているような瞳をしていた。
彼は最初、自分でも理由は分からなかった。
笑顔なのか。
淹れてくれるコーヒーなのか。
それとも、戦いしか知らない自分を普通の青年として接してくれる彼女だからなのか。
気づけば、任務のない日は必ず店へ足を運ぶようになっていた。
ある日、戦闘中に主人公は未来を見る。
炎上する街。
自分を「怪物」と呼び石を投げる人々。
守ってきたはずの人類は、彼を恐怖の象徴として処刑しようとしていた。
「化け物だ……!」
「英雄なんかじゃない!」
目を覚ました主人公は戦えなくなる。
「俺は、何のために戦っている?」
その答えを失い、心身ともに限界を迎えた彼は、無意識のうちにいつものカフェへ辿り着く。
店を閉めようとしていた彼女は、雨に打たれながら倒れ込む主人公を見つける。
「今日は……帰る場所、あるの?」
彼は答えられなかった。
しばらく沈黙したあと、彼女は静かに言う。
「なら、うちに来る?」




