王都にて
結局シルエットの家に滞在する事になった。シルエットの母親はゴロウの婚約の申し込みさえ、はねのけた娘の結婚は諦めたらしい。諦めてた娘が人を愛して舞い上がったそうだ。
来宅時の突然の試合は、ジョン爺ちゃんが原因らしい。パトロンドではジョン爺ちゃんが、ローレシアの壁と呼ばれており。悔しい思いをした将軍がかなりいて、存命中が無理なら次世代でと考えているそうだ。シルエットの母親は若い頃、姫将軍と呼ばれる程の武闘派で。ローレシアの飛龍将軍が、ジョン爺ちゃんの孫だと知っていたのが試合の発端らしかった。最後の私の世代では無理ですねの言葉は。俺の事を強いと認識しての言葉だと言われた。
俺が戦わなかった理由を、美しい女性と戦うのは苦手何です。と額に汗を浮かべながら弁解すると。許して貰えた・・・
シルエットと買い物に行き。俺の服を1着仕立てて貰い、適当な既製品を3着購入する。荷物を増やさないように着替えは、パンツ3枚だけだった。シルエットの服も1着デザインして仕立てて貰う事にする。
着替えも買ったし、屋敷に戻り。風呂に入ると告げると、湯を沸かさせるから待ちなさいな。と言われたので、魔法で入れると答えたら。そんな魔法有るの?と驚かれた。俺は母ちゃんの前で実演して見せて、ビバノンノ様の有りがたい呪文を教えた。母ちゃんも使えたが、かなりの魔力を消費するそうだ。頑張れ母ちゃん
10日近く身体を拭くだけで、風呂に入っていないので。頭を洗い顔を洗い、身体を洗うとサッパリした。お湯が心地良い
風呂から上がると、シルエットがタオルを持って待っていた。背中を拭いて貰って。風呂に入るように言うと服を脱ぎ始めたので石鹸を使っても良いと言ったら。ん?って顔されたので、風呂に椅子を作り恥ずかしそうにするシルエットを座らせた
「これが石鹸で、こうやって泡立てると汚れが落とせる。目を瞑って、目に入ると痛いから」
頭を洗う、人間の耳の有る所には何も無い。とんがった頭上の耳に泡が入らないように丁寧に洗い。腰まで有る黒髪を洗い上げて流した。
「顔を洗う時も泡立ててから、目を瞑って洗う」
そう言いながら、洗った
「後は自分で洗うんだよ」
そう言って風呂場を出る。シルエットは恥ずかしさからか終始無言だった
身体を拭き服を着て、シルエットの母ちゃんに檸檬は無いかと聞くと。メイドを呼んで持って来させてくれたので。俺は風呂場に戻り器にレモンを絞ってお湯で薄める。
シルエットに確認を取り浴場へ入り、シルエットの髪の毛に薄めた檸檬汁を馴染ませて外にでた
のんびりソファに座っていると、少し濡れた髪の毛のシルエットがやって来たので。風魔法で髪を乾かしてやり
「ブラシを通して見て」
と言う
部屋へブラシを取りに戻ったシルエットが
「凄いサラサラですね。ブラシが全然絡まないから、痛くないです」
嬉しそうに笑う。綺麗になったシルエットを母ちゃんが、ガン見しているが。気付かない風で通す
夕食が終わり、与えられた部屋のベッドで休んでいると
「ただいまぁ、パパぁ」
ミニラの声がした
「お疲れ様、ありがとうなミニラ」
「だいじょうぶたよぉ、おじいちゃんにじゅうじんが2たり。わたされるのもちゃんとみてきたよお、パパぁ」
「それはありがたいな。クライムに戻ったら豚の丸焼きをご馳走するよ」
「うんたのしみい、パパぁ」
その後も少し話をして、おやすみを言った
翌朝、服を着て。する事が無いのでボウっとしてるとドアがノックされて、朝食の準備が出来たと告げられる
朝食のメニューは、パンとスープとサラダと焼いたソーセージと目玉焼き。
「我が家の家訓が、礼儀などより強くなれでしたので。私は礼儀も、このようにお世話になってる場合の返礼の作法も知りません。ご教授願えると嬉しいのですが」
本心です
「間柄に依りますね。ガンジー殿は、我が娘の想い人ですから家族も同じ。遠慮はなさらないで結構よ」
微笑みながら言われた。今日の母ちゃんは顔のくすみも取れて少し若返っている。シルエットに洗わせたのだろう、昨日の視線で予想はしていた。ポケットの中の白大金貨と石鹸2個から石鹸2個を選び、母ちゃんの横に行き母ちゃんの前に置く
「つまらない物ですが、お使い下さい」
そう言って微笑み、席に戻った
「これは何と言う物なのですか?」
やっぱり知らないよな
「ローレシアの宮廷女性達に流行っている石鹸です」
流行ってます、過激に
俺の背負い袋には金で買える物は殆んど入れて無い。金で買えない物、パトロンドの王宮に行く可能性を考えて。フェイスケア系と石鹸は持って来た
冒険者ギルドとギルドに近い教会の場所を教えて貰いブラブラ歩いて出掛ける
冒険者ギルドは簡単に解った、流石王都のギルドと言うに相応しい立派さだ。入口の両側に守衛も立っているし
カウンターで受付の女性に冒険者カードを呈示して
「ガンジークライムだが、ローレシア、メリット領で依頼を出している護衛依頼の継続を更新しに来た」
女性が奥に消えていく
「此方に依頼日数の延長日数と経費の金額を書き込んで頂ければ日数分の依頼保証金をお預かりして。送金致します」
そう言われたが・・・経費の金額何て覚えて無い。追加金を送るだけで済むと思ってた。
「追加金を送金するだけではダメなのですか?」
一応聞いて見る
「その場合は、多少多目に送金される事をお勧めします。期日が不足金の発生により短縮される場合が有りますので」
よし!心で叫ぶ
「これを送金して下さい」
白大金貨5枚を渡す。のじゃ達を助けた時のキングリーの素材で貰った金が後少しになる
ギルドの用事が終わり、予定通り教会に向かった
「ガンジー、精神的に起伏の激しい日々を送っているようですね」
どのことだろ?色々有り過ぎた
「泣く女神像の件はご不快じゃ無いのですか?女神様」
多分興味すら無いだろうとは思う
「あの様な事では、意識を向ける気にさえなりません。臆病なガンジーが、女性から逃げるように紡ぐ。一語一句の方が遥かに面白く興が湧きますね」
相変わらずオモチャにされてる・・
「女神様が人の暮らしに干渉されないのは理解しておりますが、依怙贔屓や気紛れを起こされるのも存じております。お力を貸して頂きたいとお願いすれば、貸して頂けますか?」
これが本当の神頼み
「私が教会に集まる者に声を掛けるのは簡単です、その様な事は望まないのですか?」
望まない、絶対に
「その様な事を頼めば、女神様のイタズラで私は逃げ回る事になりそうなので。怖くてお願い出来ません。猿芝居を私が猿として演じますので、最後の一手だけお貸し下さい」
本心を話す
「ホホホ残念です。困った赤い顔のガンジーを見られる機会だったのですが。あなたは本当に面白い人ですね、何時でも待っていますよ」
やっぱりイタズラされる所だったと、こめかみに汗を流す
さあ忙しくなりそうだ・・・ブラパンの屋敷に向かいながら、気持ちを引き締める。が、考えてみたら。暇な、のんびり昼寝等が出来る日々が続いた事など無かったのを思いだして(苦笑)する
シルエットに今日は戻らない。と告げてラバーニュに向かう
「ミニラ、ラバーニュの西の外れに有る一番大きな家に降りて」
「わかったぁ、パパぁ」
兎獣人の門番に話し、屋敷に入り応接間に通されソファに座り。族長の孫が運んで来た紅茶を飲む
「爺さん、ゴロウ派の族長達を全て王都に集めるのに。何日掛かる?」
爺さんとの話しは楽で良い。遠慮も策謀も無しだからだ
「そうじゃのお、10日余りかのお」
顎に手を当てて答える爺さん
「爺さんの部下の騎馬隊から選び抜いた奴に。無尽蔵に換え馬を使わせて。相手の族長には、間に合わなければ一生後悔するショーを見逃すぞ!と伝えれば?」
とにかく急がせろ
「7日じゃな。で、早馬の費用は出してくれるのか?」
片眉を跳ね上げた爺さんが言う
「爺さんが見たがったショーを、演じてやるんだ。それぐらいの観劇代は払え!」
フォフォフォフォと言う笑い声を聞きながら部屋を出て、執事らしき男に頼み馬車で町まで送って貰った
爺さんが、牧場を見せ王の鬼畜ぶりを話し。神託の巫女の話をした時点で気付いた、本来は報酬を払ってでも何とかして欲しいと願う爺さんの気持ちに。外部の人間の俺より、族長達の方が遥かに腸が煮えていたのだろう。
俺に情報が欲しければ、ギルドに金を落とせか・・・俺に頼むより、情報を買わせた方が。情報の信頼度と、貴重度は当然上がる。情報の値段が高ければ、高い程更に。何が策略の類いは好かんだ。
喰えない爺さんだと、笑いながら。ドラゴンの姉妹亭に入った
ポカンと口を開けたラビーさんに抱きつき。耳元で
「遊びに来たよ」
と告げると
「なんだい、もうシルエットに捨てられたのかい」
正気を取り戻したラビーさんが、軽口を叩く
「シルエットが、自分の男を簡単に逃がしてくれるような奴かよ」
軽口で返した
「ガンジーは何時でも来て良い・・」
ローラさんに腕を掴まれ引き寄せられ、抱き締められた
「明日の朝も二日酔い確定だね」
メロデイさん
「そうですね」
ミネアさん
「今夜はあたしが隣に寝てやろうか?色が違っても、同じ豹族だし」
笑いながらパンシーさんが言う
今日も早仕舞いが確定みたいだな・・。人生を楽しむのは良い事だ
のじゃ達は俺と同じ日に旅立ったらしい。急に静かになった店にラビーさん達も淋しさを感じたんだろうな・・
「この店は実際、幾らしたんだよ」
俺は、土地とか建物の相場は全く知らない。それでもあの爺さんだ
「最初はもっと小さな、金貨8百枚程で出来る店をやるつもりだったんだよ。それを爺さんが、お前達は5人も居るのだから規模を大きくしろ。足りない分は出してやるって、金貨千5百枚渡されて。この大きさになっちまったのさ・・・その代わり儲けの2割を渡すのと生涯店をやり抜くって約束させられたけどね」
ラビーさんの話しに、旅に出たラビーさん達を心配して。何とか安全な町に留める事に成功した爺さんの努力を思い。笑えた
「そう言や、ラビーさんの兄貴のランプはどうしてる?」
何気なく聞くと
「兄さんは、海賊に捕まり奴隷にされてた事を爺さんにこっぴどく叱られて。今は馬鹿を直すと言われて勉強させられてるよ」
笑いながら言うラビーさん
「ランプの奴、メロデイを口説いて。殴られてやがんの」
ケラケラ笑うパンシーさん
「あんたも尻を触られて、ランプの顔に3本の爪傷作った癖に」
メロデイさんに突っ込まれるパンシーさん
何やってんだよ・・・違和感1号。何だかんだ言いながら、名前も覚え切れない孫でも。等しく可愛いんだな、爺さん
そうやってる内に酔いが回ったのか、毛布を床に敷いて。強制的に、俺に膝枕をして頭を撫で始めたローラさんに、回りがまたか・・っと。被害者に向ける視線を俺に向け、自分達だけで盛り上がる。たまに、ニヘラアと笑うローラさんに撫でられ気持ち良くなって、そのまま眠ってしまった




