予防線
早朝からひたすら焼き印を消し続けてます。女性の美しい胸が見放題です、誰か代わって下さい。
「若様、おはようございます。噂通り本当に美女達に囲まれておられますね」
朝のパンと果物を運んで来た便に4家族が乗っていました。騎士達も俺に手渡す迄が仕事なので島迄送ってくれます。
モスタウンの騎士達には二人に対して大金貨1枚を渡してから帰します。
「チェインさん、モンデールとカンデールの騎士達は私の騎士扱いしても大丈夫ですか?」
答えは決まっているが一応確認する
「勿論我がモンデール騎士団は若様直属と思って頂いて結構です」
「我々カンデール騎士団もガンジー様直属と思って頂いて結構です」
爺ちゃん達同様に騎士団も張り合ってるのかな
「じゃあ、特別手当て出しますのでお願い聞いて下さいますか?お爺様達に確認しても答えは同じだと思いますから」
笑いながら言う
「「ハッ!この身に代えまして」」
凄い意気込み・・・
「サールー、獣人に頼んで国境越えの3人呼んでくれるかな」
「はい」
北の国境越えで帰る3人が走ってくる
「お呼びですか」
「君達を送ってくれる人が来たから。直ぐに支度して貰えるか」
告げると又走って行った
「あの者達を国境迄送って欲しい。何か添え書きを書いた方が良いかな?」
解らないので訪ねる
「あの者達の身分を若様が保証すると言うので有れば国境も容易く越えられます」
「サールー、紙と筆と例の物を3つお願い出来る」
「はい」
サールーが離れていく
「それと全員手を出して。特別手当て」
笑いながら金貨5枚づつ乗せて行く
「それとこれはあの3人も含めた全員の食事代。残ったら分けて」
大金貨を2枚渡す
戻ったサールーから紙と筆を受け取り。この者達の身元を飛龍将軍ガンジークライムの名において保証すると書いた紙を見せる
「印を作って無いけど大丈夫かな?」
「モンデール騎士団とカンデール騎士団が合同でこの書状が有れば、疑い無く若様の書だと断じられます」
笑いながら言うチェインさん
「お願いしますね」
「「「「「「ハッ!」」」」」」
全員が姿勢を正し礼をする
戻って来た3人に小さな袋をそれぞれ渡すと不思議な顔をするので
「少ないですが餞別です。良い未来を」
頑張れ!と送り出す
何度も頭を下げながら船に向かう3人の姿が船内に消えた
到着した奴隷の家族達の焼き印を消し、口止めを約束させて。又人魚達の焼き印を消してると日が傾き始め夕方の最終の荷物が届き(家畜達)と共に最後の家族が送られて来た。
最後の家族達の焼き印を消し、口止めが終わった。あらかじめ獣人達を集めて貰って帰国組と残留組に別れて固まって貰っている
「お前達が無理だと言っていた家族を全て約束通り集めた。次はお前達が約束通り俺の部下として働く番だ。待遇は保証するから安心して欲しい」
「はい」
「解りました」
様々だがしっかりした返事が返って来る
「家族の皆さんは、この島で管理のトップとして働く。ここにいるサールーに、何が出来るか?何がしたいかを相談して下さい」
サールーが一歩前に進み出て、挨拶する
「お前達は、明日1日休養して。明後日からパトロンドへの旅を始める。次はお前達との約束を果たそう!」
「はい!」とか
「うおおおっ」みたいな声が響く
みんな嬉しそうだ
その場を後にして夕食にする
「クライムと群島の獣人達の家族と、家族の居ない獣人達はクライムの海岸で暮らして貰う予定だからそう伝えて」
「ポチの家族はこの島で優遇して欲しい。もし国の為に死んだら、獣人で有っても報われる事を示したい」
「残留組の女性の獣人達にはクライムで子供達の世話をして貰う予定だから安心して欲しいと伝えて。妊婦さんも多いしね」
食事をしながらサールーに残留組のクライムとアスミーへの分け方を伝えて処理して貰う
「解りました」
副官や部下達をつかう練習だよサールー
「俺は明日王都に向かい最終調整をしないといけないから頼むね」
「「「「「「「はい!」」」」」」」
7人全員が頷く
食事の後もせっせと焼き印に励みました、口止めもわすれずに・・
「ミニラご機嫌だなあ」
「うん、パパぁとひっついてるのうれしいもん」
「そっか」
「それにさいきんのパパぁ、まりょくがからっぽになってくのがかわいそうだったし」
「うん、つらい・・・・」
いつもの呑気な会話と、ミニラの足には赤い布切れ
王都への旅のお約束
「ミニラ、適当に食事してて。夕方迄には戻るから」
「はぁいパパぁ」
いつもの場所で降ろして貰い城門に向かう。騎士達が走って来るのが見える
「ガンジー閣下、今日はどのようなご用件で」
「王太子殿下に謁見をお願い出来ますか、滞在先はモンデール邸です」
「承知致しました」
廻されてきた迎えの馬車に乗りモンデール邸へ
「お爺様方、登城しなくて宜しいのですか?」
ニコニコ笑いながら玄関前に居る爺ちゃんズに。ため息一つ
「もうそろそろ、ガンジーが来る頃だと思ってね。政務等官僚達に任せて置けば良いし」
「その通りじゃ」
二人の侯爵が堂々とダメな発言してます
「お爺様方、とりあえず中に入りませんか・・・」
何を言っても無駄だな・・・・・・・
「サリユースお爺様、ライアンお爺様。事後承諾になってしまいましたが、派遣して頂いた騎士達に別の用事を頼みましたが。良ろしかったでしょうか?」
一応確認する
「何も問題ないよ、何なら騎士団3千全て貸し出すよ」
サリユース爺ちゃん
「うちも問題無いが、何ならいっそのこと飛龍騎士団にしても良いぞ」
ライアン爺ちゃんがとんでも発言する
「良いなそれ!うちとライアンの騎士団合わせて6千で飛龍騎士団にしてしまうか♪」
「それが良い、良い考えじゃ!」
勝手にやってて下さい・・・
紅茶を飲みながら、ばか話しをして王宮からの使いを待ってると
執事が王太子の訪問だと告げてきた
「ガンジー、忙しそうだけど大丈夫か」
ユージンが入って来る
「ガンジー様、先日は祖父が失礼致しました」
申し訳なさそうにユーリア
「王太子殿下が、ほいほい城を抜け出すのはダメだろユージン。その上ユーリア迄連れ出して」
ジト目で見ると
「おいおい、勘弁してくれよ。連れて行け!連れて行かないと王太子が脱走するって叫ぶと脅された被害者は俺なんだからな」
ユーリアが、テヘッて顔で舌を小さく出してる。こんな顔もするんだこの娘・・・
「それより、ウエイン大伯父上と戦ったって?サロンで皆大騒ぎしてるぞ。大伯父上に勝つ事が、ユーリアをめとる条件だからな」
とんでもない事を言われた・・・後ろでは「おおっ」とか「やるのぉ」とか言ってる爺ちゃんが居るが
「俺はユーリアに頼み事が有って尋ねたら、いきなりジョンお爺様の孫か。ならば立ち合えっていきなり槍を放り投げられただけだよ。凄い腕前だったから楽しくて打ち合ってたけど」
困った顔で言うと
「魔槍将軍のライバルだからなあ・・ウエイン大伯父上は。元々のユーリアンて名前さえ、王族だと手控えられるのが嫌だと言う理由だけで改名した程の武闘派だからねえ。で、勝ったの?」
笑いながら聞いて来る
「勝ってない、楽しくてユーリアが止める迄打ち合ってただけだよ。引き分けだからセーフだよね?」
額から汗が・・後ろから又「あのウエインと引き分けただと」とか「流石我が孫」とか聞こえるし・・・
「あの後、汗だくのお爺様が。青い顔で危なかったとか、ユーリアを取られずに済んで良かったとか。言ってましたのよ、あんな顔のお爺様初めて見ましたわ」
コロコロ笑いながらユーリアが言う
「残念・・勝てば面白かったのに!洩れなく公爵の名前とユーリアが付いて来たのに」
大笑いしながら言うな!
「何が残念だ!公爵等押し付けられてたまるか。でユーリアは、もし嫌いな奴にウエイン様が負けたらどうするんだ?」
貴族の子女の考え方が知りたくて聞いてみる
「優しく微笑みながら毒杯をさしあげますわ」
とても13才とは思えない妖しい笑みをうかべるユーリア、怖い
「勝たなくて良かった」
大きく息を吐きながら言うと
「ガンジーなら逃がして貰えないねきっと」
「ガンジー様なら抱き締めて、口付けを差し上げますわ」
好き放題に言われる
「もういい!!!」
そう言うと、寄ってたかって笑われた・・
その後、ユージンに二人だけで話したいと誘い別室に移った
「ユージン、パトロンドの現在の国王をどう思う?」
「どう思うって?」
「国同士の政治的な話し合いの席に座った場合。ユージン的に扱い安いか?性格的には理解出来る相手か?等だな」
「現在のパトロンドの王は獣人至上主義の塊で話が通じ無い。趣味も余り好きじゃないし、同じ席に着きたく無いのが本音かな。何故そんな事を聞く」
「誰にも、例え陛下でも話さないと誓えるか?」
少し考えてから
「誓おう!」
真剣な顔で言うユージン
「パトロンドにもう直ぐ出発するが。その時にどこ迄我慢するかが変わって来る。多少なら見ない振りで過ごす事も出来るしな。でも気に入らない国王が相手なら遠慮も減る」
笑いながらそう告げて、ユージンのパトロンドの知識と俺が仕入れたパトロンドの知識を照らし合わせた。
大まかな知識は合致したが、細かな部分の解釈が違った。庶民からの情報と王族から直接得た情報に違いが有って当然だ。ユージンが少し驚いた顔をしている。
「運が良ければ扱い易い国王にすげ替えられる」
腹黒い笑顔で俺が言うと
「隠し玉でも持ってそうな口振りだな」
ユージンが言う
「聞かない方が良いんじゃないか?お前が漏らせば俺が王国を出奔する事になるぞ?」
「それ程の大事なら余計に聞いて置きたい」
真剣な眼差しを向けて来る
「俺の部下にパトロンドの前王太子が居る。奴隷に混じってた」
「・・・・・・・・・・・・・一年前の内乱で生き残ってたのか」
えっ?一年前・・・?そう言えば下克上の発動時期を聞いて無かった。何時も重要な事柄が抜けてる自分に呆れた
「聞いて後悔したろ」
「いや、聞いて良かった。覚悟が無いと対処を誤る問題だし。お前の言う通りお爺様には話せないな・・・」
黙り混んで考えるユージン
考えるユージンを10分程放置したが
「神託はどれくらいの効力が有るんだ?」
雰囲気を変える為に力業で話題を変える
「えっ?あ、ああ。神託の殆どは眉唾物の詐欺紛いが多いね。神殿の高位の神官でも無理だから。極々希に従属神の方の御告げを神官が聞いた例は有るから。皆無ではないのだろうけど、アマテール様の御告げの前列は無いよ」
しょっちゅうアマテール様と話してる俺はどうなるんだろう・・・・
「もし、アマテール様の御告げを聞く事が出来る者が現れたら。どうなるんだ?」
少し気になった
「奇跡でも起こして、アマテール様の御告げが真実だと示せれば。アマテール教の教圏で有れば、国王さえ膝まづくだろうね。まさか、聞けるとか言わないよね・・・?勘弁してよ!人魚とか、パトロンドの王太子とか。普通じゃ有り得ない物にほいほい捕まるんだから」
笑いながら言うユージンに
「ほいほいはないだろう!ほいほいは」
不満そうに返しながら頭の中は冷や汗が・・・・
ユーリアと爺ちゃん達が待つ部屋に戻り
「お待たせしました」
と告げると
「本当です。どんな要求を出そうか迷ってしまいますね」
ユーリアが待ち構えてたかのように言って来た
「仕方ないですね・・ユージンとユーリアには特別サービス致しましょう。あ!お爺様達はダメですからね」
一瞬キラキラした目で見てきた爺ちゃん達に告げると。ショボンと項垂れる爺ちゃん達
「まあ、何でしょう」
「楽しみだね」
嬉しそうにするユージンとユーリア
馬車に乗りいつものサンドイッチの店先に馬車を停めて。有るだけ買い占める
貴族門から出る3人に咎めるような視線を向けてくる騎士達
(ユージンが王太子権限で黙らせた)
「ミニラぁ~」
「はぁいパパぁ」
地上に降りて寝転んだミニラの口に3人がサンドイッチを放り込むと、嬉しそうに食べるミニラ
「ユージン、背中の袋に入って」
食べ終わったミニラの頭に馬車の屋根の上から飛び移るユージン
「ユージン、しっかり掴まって落ちるなよ!」
「ミニラゆっくりで良いから飛んでやって」
「わかったぁパパぁ」
ミニラが浮き上がって行く
「ドラゴンを初めて見ました。凄いですね」
「怖く無いか?」
「はい♪」
目のキラキラが治まらないユーリア
5分程でミニラが降りて来た。ミニラの頭から馬車の屋根に乗り移るユージン
「最高だったよ」
声が弾んでいる
ミニラの前に行き
「ミニラこうしてくれる」
そう言いながら片手を上に向け、もう片方の手を横から壁を作るように添える
ミニラの手の上に登りながら
「ユーリア、おいで」
呼ぶとユーリアが早足で前に来たので引き上げて。ミニラの手に並んで座り、ユーリアの腕を安全の為に掴まえた
「わたくしの腕に触りたかったのですか?」
イタズラっぽく聞くので
「危険予防だけど、毒杯は怖いから下ろそうか?」
そう言うと
「ごめんなさい」
素直に謝って来る、楽しみで仕方ないのだろう
「ミニラ真っ直ぐ上に上がって」
ミニラが立ち上がりゆっくり上昇して行く
「わぁ凄いですね」
「ユージン義兄上が小さくなって行きます」
「城が小さく・・・」
「人があんなに小さく」
ユーリアがワーキャー騒いでる。普段のレディは何処へやら
「そろそろ降りますよ」
「ミニラお願い」
「はぁいパパぁ」
ゴンドラごっこは終わり、ミニラの手からユーリアを抱き下ろした
城門から騎士の一団が駈けて来る。城に知らせが届いたのだろう
「迎えが来たみたいだね。最高に楽しかったよ」
「本当に、言葉も出ない程素晴らしゅうございました」
二人共にニコニコだ
「ユージンには気苦労掛けるし、ユーリアには奴隷の対価だよ。次は無いと思ってくれよ」
ねだられては堪らないので釘を刺すのを忘れない
「殿下、無断で出掛けられては困ります!」
騎士の雷がユージンに落ちた
冒険者ギルド迄送って貰い、二人と別れた
冒険者ギルドに入るとお馴染みの洗礼の視線が向けられる
気にせずカウンターに向かうと初めて登録した時の女性だった
「今日はどんなご用件でしょうか?モートジイさん」
一瞬思考が止まり、偽名で登録した事を思い出す
「凄い記憶力ですね」
笑いながら聞くと
「初回7等級はほぼ居ないので記憶に残っておりました」
笑顔で言われた。嘘が少し心苦しかったので冒険者ガードを渡す
「はい、ええとガンジー様1等級?えっ?えええっ!」
驚いた顔された、ですよねえ・・ごめんなさい
お姉さんが、慌てて立ち上がり一番奥のデスクの職員に耳打ちすると。ガタッっと音を立てて立ち上がった年輩の職員が来て頭を下げてから言う
「申し訳ありませんが、こちらに起こし頂けませんか」
有無を言わさぬ様子で背中を向けて進み出す。歩き方からして有無を言わさずでは無く緊張していただけだと解る
「初めましてガンジー閣下。当ギルドを預かるモーリスと申します」
案内された先はギルド長室、がっしりした体型の壮年の男性が名乗った
「初めまして、ギルド長殿。1級冒険者のガンジーです」
面倒なので冒険者を名乗る
「今日はどの様なご用件でお越しになられましたか?」
モーリスが聞いて来る
「パトロンド王国に一番近く海にも近いギルドの場所と、冒険者の人員と構成を知りたくて来ました」
「それでしたらメリット男爵領のメリットの町に有ります、パトロンド王国が近い為に獣人比率が多少上がりますが。国境がモンスター領域と接している為に、かなりの数の冒険者が所属しております」
色々役立ちそうだなあ
「冒険者に護衛を頼む場合の相場ですが、地域によって違うのは理解していますが。メリットでの相場を教えて貰えますか」
立ち上がったモーリスが書類を持って来た
「メリットの護衛の相場は常駐護衛が8等級で1日だと銅貨8枚。10日契約だと銀貨7枚ですね。等級が上がる毎に2割アップ、異動護衛だと等級毎の2倍になります」
詳しく教えて貰えた
8等級の常駐で兵士と同等か、参考になる。
礼を言って立ち上がろうとしたら呼び止められた。
「ガンジー様への指名依頼がかなりの数に登っております」
目の前にドサッっと紙の山が出来た。一番上の書類に目を落とすと、1メートル以上有る海の宝木。依頼料込み金貨11万枚、依頼人がユークリフベルジローレシアになっていた。
おい!って陛下に言ってやりたいよ・・・
依頼を受ける時間は無いと告げて退室した
受付の女性に小声で謝ったのは仕方ないよね




