黒組が行く2
日が暮れた海岸、砂浜には100程の明かりが
人魚達が夕食を焼いてる、たき火の明かりだ
ここは、旧メイソン伯爵領。現在マルトーク伯爵領と。改名申請中の、アリーナ姉さん達夫婦の新領地。
マルトークの名前は、俺が考えた。
〈アリーナ・マルトーク(丸得)〉
アリーナ姉さんに、ぴったりの名前だ。この世界の女神様の趣味にも合うだろうし。祝福を受けられるのは間違いない..多分..
新家を立てる場合は、自分で名前を考えて良い事になってて。普通は、先祖の跡絶えた名前とかを持って来るらしいのだが。アリーナ姉さんが、跡絶えた名前何て嫌!ガンジー考えてよ。の一言で俺に投げて寄越したのだ..当然悩んだよ、そりゃあ悩んださ。悩んだあげく自分の名前を思いだした。女神様が付けてくれた名前を..
香ばしいサメンとイカーンを焼く匂いが漂う砂浜で。
ミニラの口に、サメンとイカーンの魔石をポイポイ放り込みながら話し中..
{お舟がたまに、ピカピカ光ってたよ~。船の上からだと見えないけど、島のむこうがわ見に行ったら見えるの}
{え、どういう事?船が光を発する..発光する小舟?}
{違うよ~パパ、お舟に乗ってる人が何か手に持って光らすの}
{1人だけがずっと?}
{んとね~。陸に一番近いお舟がピカピカするでしょお~、そしたら少しして2番目に近いお舟がピカピカして~。次に3番目のお舟がピカピカして~、次に・・・}
どうやら漁師の小舟は、陸からだとバラバラにみえるが。上空からだと3キロ程の間隔で並んで見えるらしい。
ミニラのお陰で、見張りが居るのは解ったが..
そこからが全く解らない、海戦経験は奴隷狩り戦1回だけ。海賊船を見付けて、速さに任せて接近殲滅出来る。くらいの軽い気持ちだったのだが..よく考えたら。俺には陸上戦力が、俺とミニラだけ。中途半端に数隻沈めると、島に籠られる可能性も有る。
黒組は陸上でも騎士と互角に戦える力量は有るのだが。背後の守りが弱い。過保護な俺には、多数の死傷者を出すのは許容範囲外。
戦力とは認めません!
兵糧攻めも浮かんだが、島の海賊の総数も備蓄食料の量も何も掴めて無い時点で話しにならない。経験不足以前に情報不足。
行き当たりばったりの自分が笑えるだけ..
タメ息ついてても仕方ないので出来る事を考える
「義兄上、海岸線の詳しい地図は有りますか?それと動かせる海軍の船の数と。港に停泊中の出港予定の無い商船の数も教えて下さい」
「アリーナ姉上、これでどれくらい。豚と鶏が買えますか?」
真珠を30個出す。黒組にも戦闘以外で役にたってくれる娘が居るのです!
「豚なら150匹、鶏なら1500羽だわね」
姉さん計算出来てます。それも暗算で
「今日の夕食に豚を、明日の夕食に鶏を人魚達に渡してやって下さい」
「解ったわ」
商談成立です。パン代は海賊討伐なので出してくれるそうです。義兄上がですが..
地図を見て叫び声を上げそうになりました..
地図は王都で見てます。アリーナ姉さんが、嫁に行く地じゃ。と王様が出して来た王家の地図を。王様の出した王家の地図ですよ!信用度が激高のハズなのではないのでしょうか..
王家の地図はなだらかな海岸線が続き、今見てる地図は湾内にマルトーク領の港が..
慌ててミニラの背中に乗せて貰って。北西に延びる海岸線を見に行きました。勿論、見張りの漁師船には見付からない軌道で。
18キロ程北北西に行った先から曲線を描きながら西に延びる岬。岬の先からゆっくり北東へ25キロ程曲線を描きながら進んで、突き出した半島に繋がっている..起伏だらけだった。しっかりしろよ王家の地図!心の中でタメ息が..
マルトークの砂浜からは、岬の突端と半島の突端が。なだらかな北西への稜線に見せていただけ。
ミニラの背中から気付いた新事実がもう1つ。海賊島から岬の突端迄がマルトークの港より少し近いのだ。海賊島はマルトークの西に30キロ弱。岬の突端はマルトークの港より西に20キロ近く延びている。
おまけに半島の向こう側にもご丁寧に漁師船が3艘出ていた..
この世界の海賊の普通の手口なのか、知恵の働く者が居るのかは解らないが。漁師姿の見張りが近くで商船、軍船の区別をして。手鏡で知らせる形迄は想像出来るが..
「義兄上、北の領主の海軍はどのような形態なのでしょうか?軍事力とかも教えて頂ければ助かります」
「私も着任後、それほどの時間は過ぎてないので。資料をよんだ程度だけど。隣のカチュア子爵は領内にモンスター領域を抱えてるから陸で手一杯かな。その北西が、ソアラ伯爵領だから。そこから軍船を派遣出来るだろうけど、少し遠いね」
塩の時に、最初に人魚解放の話を聞いた貴族を思いだす
「あ!それと、軍船だけど7隻は何時でも出せるよ。商船自体が今は海賊の件で減っていてね。5隻程だよ」
「ありがとうございます、義兄上。参考になりました」
礼を言って退出する
場所は変わり
「ガリウス殿、船の乗員を半数に減らし荷を全て降ろした場合。船の速度はどれくらい変わりますか?」
マルトーク海軍司令官のガリウスさんに、話を聞いてます。
「は、閣下。それでしたら2倍は無理ですが、5割以上は確実に速度が上がります」
閣下って..爺ちゃんと同格何て嫌だなあ..
「早い船の順に、速度重視で5隻。何時でも出港出来るようにして下さい。漕ぎ手は削らず、戦闘力半減で問題有りません」
「は!」
キビキビした動きで退出して行く。王様の命令で王家の海軍から引き抜いた人材だとか。出来そうな人だ..




