ただいまあ
サリユース爺ちゃんに連れられて
王宮に来ています。北のドラゴンに毒気を抜かれ、前回の王宮での茶番を思い出し。脱力感で歩いてたのですが..通された部屋は豪華な応接室でソファに座った3人の男..
王様、王様の嫡子の嫡子であるユージン、カンデールのライアン爺ちゃん。豪華メンバー過ぎでしょ!特に王様は..
「北のドラゴンの討伐、大儀であったの」
王様に言われた
王様とユージンが並んで座ったソファの向かいに、サリユース爺ちゃん、俺、ライアン爺ちゃんの順で座ってる。
ソファは沈み混むような感触が心地良いのだか..メンバーが..
「いえ、運良く勝てただけでございます」
うちの子が1回殴ったら死んだんですよお..とは流石に言えない
「褒美には何が欲しい?」
又王様
「いえ、先日も申しました通り。私と私のドラゴンに対しての不干渉のみで結構でございます」
「それは最初からお前が持っていた物であろう。ワシからの褒美を出さねば形が整わぬ」
王様が突っ込んで来る
「でしたら、今日の晩餐を御馳走下さい。晩餐と言う褒美を頂きたく思います」
何とか逃げようと足掻くが
「ならば、晩餐に加えてワシの孫娘ならどうじゃ」
とんでもない事を言い出した王様
「サリユースお祖父様、ライアンお祖父様。そろそろ助けて下さい。孫の足が2度と王都に向かなくなっても宜しいので?」
得意の丸投げ。オモチャにされてるのが突然解ってしまったので..多分
晩餐には王女と名の付く娘が3人も居たけど興味も湧かない。食事が終わってユージンに誘われるまま801落ちになどなる訳もなく。話しをしている。
「本当に北のドラゴンを倒したんだね。それもたったの3日で」
「ユージン様だから本当の事をお教えしますが、移動が殆んどで戦闘はたったの2分程でした。ミニラが一回殴ったら終わりましたから..北のドラゴンが弱いだけです。ですので過ぎた褒美は必要有りませんから」
どうせバレるのだから、恩着せがましく教える
「私の事も公前以外なら呼び捨てで良いよ。何と言ってもドラゴンを倒した竜騎士だしね。妹達も残念がって居たよ。私も妹達を貰って欲しいのだけどね」
ミニラは黙殺されて妹推し..
「私は多分家督を継がず弟のジーンズに任せると思います。妻をめとる時もこの人じゃなければ嫌だとお互いが想わないと無理だと思うので..生涯遊び人では無いかと」
笑いながら言う
「何故家督を捨てると?」
少し驚いた顔でユージンが聞く、この世界は家が大事、余程の大家で無い限り財産分けなど無い世界。家督を継がない者は落ちぶれたり生活に困窮したりと家督に拘る習慣が有るので気持ちは解る..
「私は他の人達と、物の価値観が微妙に異なります。ですので家に拘る貴族には不向きかと。勿論家族とかには拘るのですが、家名とかには全く..」
少し本音を話して見たくなった
「価値観が違うと?自分でも解るのですか?」
まだ疑問が溶けない顔
「もし機会が有りましたら、クライムの祖父か父か母達に聞いて見て下さい。私には上手い言葉が見つかりませんが..母達ならばきっと」
笑いながら答えた
王宮から下がってモンデールの舘でライアン爺ちゃんに驚かれ。明日には南の辺境に帰ると告げて、その夜は眠った。
翌朝モンデールの舘で朝食を済ませサリユース爺ちゃんに別れを告げて侯爵家を後にした。坂道の途中に大きな白亜の建物が有り金色の太陽が描かれた紋章が輝いていた。10段程の登り階段を上がると大きく入り口の扉を両方に開いた神聖な雰囲気が神殿だと感じさせる。惹かれるように中に入ると。
{やっと来てくれましたね。あの時はごめんなさい}
頭の中に声が響いた。何処かで聞いた声..確かに聞いた声..
ごめんなさい!
頭の中に響く声と、ごめんなさいの言葉と思った瞬間
{思い出したようですね、私の過ちで貴方をこの世界に連れて来てしまいました。お詫びに望みを一つ叶えましょう、何を望みますか?}
ここでも望みを叶えるねえ..
「無いです」
アッサリ言った
{・・・・・・不死とか玉座とか無敵、望ま無いのですか?}
少し無言で凄いオーダーを出して来た
「不死は、いつまでも死ねない地獄の攻め苦です。玉座は、心労で倒れる苦行です。無敵は、殺す倒すの手段の結果です孤独にもなりそうですね。欲しく有りません」
説明付けて断ったが一つ有ったの思い出した
「何でも良いのですか?」
{私が叶える事が出来るなら}
「ミニラと会話が出来るようにして下さい」
{え、それで良いのですか?}
「はい。それと一つ質問に答えて下さい。この世界に回復魔法と言うか再生魔法が無いのに、何故俺が使えるのですか?」
{この世界に再生魔法は有ります。ただ理解が無いために使えないだけです。貴方には理解が有るのです。細胞の在り方リンパや神経や筋肉と筋の関係や完璧では無くとも構成の知識が。魔法とは知識の概念の増幅、確信を補助する又は借りる。そういう物です。私を呼び出す資格を授けます知識を望むなら神殿にて問いなさい}
解ったような解らない答えだがそんなものかですます
「欲張りで済みませんが温泉の神様っていますか」
{温泉を統べる者の名はビバノンノです。貴方の質問は面白いとはいえますが欲とは無縁ですね楽しみとしてなら欲と言えるかも知れません}
{貴方と話しが出来る時を楽しみにしています}
神様らしき声が消えたら今度はやけに幼い女の子の声が
{パパお昼に待ってるね}
意味不明の事柄が聞こえてきた頭の中にクエスチョンマークが広がる
神殿はアマテールを奉る神殿だと参拝に来た人に教えて貰った
露店でサンドイッチみたいな物が売られていたので食べて見ると以外と美味しかったので大量に買ったミニラも食べるだろう。
ふらふら歩いてたら懐かしい匂いに立ち止まった、醤油の焦げる匂い。夢中になって辺りを見回すと一軒の食堂から匂いが漂って来た。鳥肉に醤油を付けて炙っていたのだ。走り寄って有るだけ買って醤油の出所を聞く。大量に買ったので機嫌良く醤油を扱っている店の名前を教えてくれた。
店の名はキッコー屋商品名はソイソースってまんま何ですけど..東の国から運ばれて来る商品だとか。味噌は見当たらず..
大量に買うから届けられるか?と聞いたら料金次第だと言われたので。10リットル瓶10個クライム男爵邸迄幾らだと聞いたら賞品が金貨5枚輸送費が金貨3枚だと言われたので金貨10枚渡して急ぐように頼んだらニコニコ顔で引き換え証を渡してくれた。王都に来て一番の収穫かも..とか思ってたら日が中天に近くなってて慌てて城壁の門へ向かう。城壁にはケインが居たので帰ると挨拶したら、何故か最敬礼された。両手でサンドイッチ擬きと焼き鳥を抱えている姿を相手に最敬礼は不似合い過ぎる。
待ち合わせ場所に着いたので呼んで見る
「ミ~ニ~ラ~」
{はぁい、直ぐに行くから待っててね}
頭の中に幼女の声が響いた..無言になる俺..
ミニラが女の子だと初めて知った俺が全ての考えを放棄したのは又別の話し
{良い匂い~食べたい、パパ}
俺はパパかとか思いながらミニラの口に串から外した鳥肉を流し込んだ..サンドイッチ擬きも
クライム領に戻る迄ミニラと話した
初めて出会った日が産まれた(孵った)日だった事。産まれる前の記憶は無い事。イカーンに襲われて痛かった事、怖かった事。毎日一緒に寝て毎日餌が貰えて嬉しかった事。等々話した。
北のドラゴンとの戦いは戦う前から存在の格が違うって解ってたそうだ。あの大きな雄叫びは格の違いを見せ付ける魔力放出に付随した威嚇らしい。
ミニラはご機嫌で飛び続けて日暮れ前にはクライム男爵舘に到着していた。
クライム領を旅だって僅か5日で戻った事になる
「父上、テレサ母上、マーニャ母上、アリーナ姉上、ジーンズ只今戻りました」
扉を開けて大声で呼び掛けると母さん達がキョトンとした顔で見てるが、思考が戻ったのか走り寄って来る
「ガンジー、帰りが早いですが北へは行かなかったのですか?王都で何か有りましたか?」
テレサ母さんが聞いてきた
「いえ、北に向かいドラゴンも討伐しました。サリユースお祖父様とライアンお祖父様にはフージ山のサーベルンを1体づつ剥製を作れるように無傷の物を差し上げましたので、何かおねだりをお祖父様達になさいませ。3メートルのサーベルンですので叶えて頂けると思います」
笑いながら言うと3方向から抱き付かれた
「「「良かった」」」
涙声でそれだけ言われ動けなくなった..
「父上は何処に居られます?」
「今は町の集まりですね」
マーニャ母さんが答えてくれる
「無事に戻った事を父上にお伝え下さい。明日又着ます、人魚達にも知らせてやりたいので失礼します」
母さん達もアリーナ姉ちゃんも頷いている
ミニラと小屋に戻り鞍を外して人魚の元へ向かった
「ただいまあ」
それだけ言うと歩き寄ってドリーを抱っこする
あちこちから飛び寄って来る大隊長達がいた




