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魔法-夜と剣-  作者: ぴーちぷりん(せす)
夜明け編
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epilogue:夜明け、そして太陽が...

 あの塊は、おそらく、この世界の憎悪の塊。魔法ではない。しかし、かなり強い。俺の全力を持ってしても打ち消せるか危うい。なぜならば、この《終焉》の始まった世界は、世界の大半が憎悪に染まっているからだ。言わば、アレは、この世界そのものの力。危険すぎる。

「ヒノキくん、あいつを。私の魔法なら、アレを極限まで縮められる」

縮められる。つまり、消せない。それでは危険だ。しかし、どうすれば。もはや、《焉》を殺しても意味のない。あれ自体を止めないと。


――ヒノキ、信じなさい。あなたの力を。


暗い声が、俺の中に響く。


――貴方の日常を変えた存在を護りたいのでしょう。


――貴方の心に指した朝日を優しく抱きたいのでしょう。だったら、そうすればいいじゃない。


瑠璃さんの声が、響く。モミジを抱く。確かに抱きたいが、今は、そんなことをしている場合じゃ……。


 俺の脳内に、ある一つの方法が過ぎる。これしかない。これならば、アレを止めた上で、あいつを倒せる。

「モミジ。お前、俺が合図したらこっそり魔法を使え」

「わ、わかった」

そして、俺は、魔法を使う。夜明けの魔法を。

「《夜明けの空》―《瑠璃色》」

俺の持った二刀から、力が移動し、俺の体内で、夜と明けの力が交じり合う。そして、生まれる。


 憎悪の塊に対抗して、膜のように俺の《瑠璃色》の魔法が生まれた。

「ケケケヶ。そんな薄っぺらなもの効かないなぁああああ!」

そんな声を聞き流しながら、モミジに合図をする。

「《朱天》―《陽光》」

そんな小さな声で放たれた魔法が発動した瞬間、俺の《瑠璃色》の魔法が包み込む。これが、瑠璃さんの言葉から思いついた魔法。

『イケエェエ』

俺とモミジの声が重なる。俺の魔法は、憎悪の塊にぶつかり、双方消滅していく。

「ククク!相打ちじゃあ意味ねえよな」

相手の声が聞こえるが無視をする。なぜなら。


 俺の《瑠璃色》の魔法が、憎悪の塊によって相打ちになる。しかし、憎悪の塊は、回復しだしている。これは、憎悪がある限り、無限に再生するからだ。しかし、《始まり》の力が当たれば、憎悪のエネルギーは変換され、嬉々のエネルギーになる。


 そう、俺は、このときを待っていた。


 俺の《瑠璃色》の魔法が消えたと同時に、《小さな太陽》が現れた。これが、モミジの、《始まり》の魔法。


 そう、普通に、これを当てたら、憎悪が僅かに残ってしまうが、すでに減らした状態の憎悪に当てれば、完全に浄化できる。

「な、なにぃい!」

《焉》の叫び声とともに、この世界の《人工的終焉》は終わりを告げた。



「終わったな、モミジ」

「終わったね、ヒノキくん」

俺たちは、そっと抱きしめあった。そして、唇を重ねあう。


 長い抱擁とキスの後に、俺は、言った。

「さて、帰ろうか。俺の世界に」

「うん」

そう、待っているのだ。瑠璃さんが。何も知らないであろう時雨さん、美希、御影が。そして、俺をここに導いてくれた、ミクリさんが。




長く、古く、昔。夜の魔法使いが、《終焉》を止めた。そこから始まった、長い長い夜は、途中、《終わり》と《始まり》が混じり、そして、ようやく、夜が明ける。


               魔法-始まりと終焉の輪廻-完結


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