表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者はマモリたい  作者: 覧都
第2部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

208/208

第二百八話 魔王軍進軍開始

 姿勢を崩し楽にしていた兵士達が、姿勢を正して声の方を注視します。

 多くの兵士が鎧を装備していますので、ガチャリと金属音が響きました。


「ぴっ!!」


 マオとレイコが驚きの声を上げました。

 2人の全身が恐怖に震え出します。

 丘の下には十万人弱の兵士が整列しています。

 圧倒的な迫力があります。

 大人でも威圧される景色です。


「ぐうわあぁはっはっは!!」


 ゲドル大将軍が楽しそうに、そして2人を安心させるように豪快に笑いました。


「マオ様、恐れることはありませんぞ。すべてをゲド爺に任せて、安心して肩に座っていてくだされ」


「おお、そうじゃ、レイゾールト様。ああ、いえ! レイコ様! レイコ様は安心して、このゴル爺に全てをお任せください。恐がることはなにもありません。目の前の大勢の兵士は魔王国正規軍、すべてマオ様とレイコ様の家臣、いえ家族にございます」


 ゴルザード将軍は優しい笑顔でレイコの目を見つめます。

 レイコはゴルザード将軍に可愛い笑顔でこたえました。


「みなのものーー!! わが肩の上とゴルザード将軍の肩の上を見よーー!!」


 全員の視線が集中します。

 まるで、光を集める虫眼鏡でもあるように、一点に兵士の視線が集中します。


「わが、肩を見よ! この美しい青い髪を、そして透き通るような青き肌をーー!! これこそが青きレイゾールト様の生まれかわりぃーー! レイコ様であらせられるぞぉぉぉぉーーーーーーっ!!!!!!」


 レイコは器用にゴルザード将軍の肩にピョンと立ち上がりました。

 そして、右手を前に出します。


「レイゾォーーート!!」


 レイコの手に青き剣が凄まじい光を出しながらあらわれました。


「うおおおおおおおおおーーーーーーーー!!!!! レイゾールトさまああぁぁぁーーーーーー!!!! レイコさまあぁぁぁぁーーーー!!!!」


 大歓声が上がります。

 その時爽やかな風が吹き、レイコの美しい青い髪を、そして子供用の幸魂学園の制服をゆらします。


「しずまれえぇぇぇーーーーいぃぃ!!!! そして、わが肩のうえを見よぉぉーーーー!!!! この黒い髪、黒い瞳をぉぉぉーー!! この方こそ――このおんかたこそ――まっ、魔王様の生まれ代わりぃぃぃーーーー!!!! マオ様だあぁぁぁーーーー!!!! われらが魔王様だぁぁーーーー!!!!」


 ゲドル大将軍の目から涙があふれ出しました。

 魔王様が亡くなってからの苦労が、頭の中によみがえっているのでしょうか。


「うわあああああああーーーーーーーー!!!!!! ま、まおうさまあぁぁぁぁーーーーーー!!!!!! 魔王さまあぁぁぁぁーーーーーー!!!!!」


 鼓膜がビリビリ震動するほどの歓声が上がります。

 兵士達の中には涙を流す者も少なくありません。

 マオも器用にゲドル大将軍の肩の上で立ち上がります。


「何をなされておられます。マモリ様!!」


「えっ??」


「わしの、肩にお乗り下さい」


 ゲドル大将軍とゴルザード将軍があいている方の肩を叩きます。


「えぇーーっ!! いやだよーー!!」


「ふぁははは、マモリ様!! 兵士が待ちくたびれてしまいますぞ!! ほら!! はよう! ささ、はよう!!」


 ゲドル大将軍が楽しそうに鼻水を垂らしながら肩をポンポン、ポンポン、ポンポンと叩きます。


「はぁぁーーーーっ!!!!」


 僕は大きくため息をつくと、ゲドル大将軍の右肩とゴルザード将軍の左肩に片足ずつ乗っけて立ちました。


「みなのものーー!! そして、このおんかたこそ!! このおんかたこそぉぉぉぉーーーー!!!! わが魔王軍の救世主にして、女神、姫神マモリ様であらせられるぞぉぉぉぉーーーーーー!!!!!! ぜんぐーーん!! 臣下の礼をとれーーーーい!!!!」


 全軍が一斉に膝をついた。

 鎧の音がガチャァァァーーンと天にこだました。

 魔王軍全軍を静寂が包んだ。

 ガヨツダラム将軍が、涙ぐみながら僕達の後ろで王の文字の入った魔王軍の旗を揚げた。


 その時、突風が吹いた。

 黒い魔王軍の王の旗が音を立ててひるがえった。

 僕の幸魂学園の制服のスカートがひっくり返って大変な事になった。

 魔王軍、全軍の前でパンツ丸出しです。


「意地悪な風です!」


 僕がスカートを必死でなおしていると。


「くっくくくく」


 笑いをこらえる声が聞こえます。

 その声が段々大きくなり、やがて爆笑になりました。


「ぎゃあぁぁあはっはっはっ!!」

「わあぁぁぁーーーーはっはっはっ!!!!」

「な、なんてぱんつなんだーーーー!!!!」

「あの美しいマモリ様が、あんなパンツをぉぉ。ぎゃあはっはっは!!」


 そうです。

 僕は、どんな時でもピンクの短パンをはいています。

 後ろには激豚のプリントの入ったあのピンクの短パンです。


「さすがは、神様です!!」


 青い激豚の短パンを丸出しにしているユウキだけが、真面目な顔でしきりに感心しています。


「ふふふ、さすがは、マモリ様です。一気に場がなごみました」


 ゴルザード将軍が、真面目な顔でこっちを見ていいました。


「ぜんぐーーん、しずまれーーい!!!! せいれつせよーー!!!! これよりわが魔王軍は、魔王様の名声を高めるため、マモリ様の名声を高めるため進軍を開始する!!!!」


 ゲドル大将軍はここまで言うと、大きく息を吸った。


「ぜんぐーーーーん!!!! しんぐんかいしじゃーーーー!!!!」


 吸った息をいったん止めると、それを一気に吐き出した。

 それは、魔王軍全体に届く大音声だった。


「おおーーっ!!!!」


 魔王軍全軍が短くそれに応じた。

 短い返事だったが、魔王軍全軍、1人1人が腹の底から声を出したので大きな声となり響き渡った。

 その声は、山とはいえないほど低いゴルザードの丘に反射されて、なんどもなんども、こだまがかえった。


 魔王軍は綺麗に3つに割れると、それぞれの街道を目指し進軍をはじめた。


「では、マモリ様、マオ様、レイコ様、そして、ノブコ様、私達はまいります」


 将軍達も丘を下りていきます。


「いやーー、すごい軍師様じゃ。我らが負けるとはつゆほども考えてオラなんだ」


 サルハ将軍がフィアリス将軍に話しかけています。


「ふふふ、信頼に応えたいものですね」


 フィアリス将軍が言いました。


「では、わしも行きます。逃げのゲドルの汚名を返上すべく、常に軍の先頭で戦ってまいります」


「あの、常に斥候を出し、情報の収集をして電光石火、敵の守備体制が整う前に敵をたたいて下さい」


 ノブコが心配そうに言いました。


「ふふふ、お任せください。このゲドル、すでに敵の状況を抜かりなく調べておりまする」


 ゲドル大将軍はノブコに片目をつむりました。


「あの、ゲドル大将軍、よろしいですか」


「む、どうなされました。マモリ様。うかない顔ですなあ」


「はい。僕は今、少しまずい状態なので、大将軍にだけは話しておこうとおもいます」


「な、なんですかな?」


 ゲドル大将軍は足を止めて僕の方を見ました。


「はい。僕は今魔力の使いすぎで、回復が追いついていません。少し回復のため、安静にしますのでその事を伝えたかったのです。ああ、でもピンチの時は遠慮なく呼んで下さい。そのために静かに暮らすということなのですから」


「な、なんと。たいへんではありませんか」


「いいえ。本当に少しいつもより魔力が減っているというだけで、念のために安静にするということです。心配には及びませんので」


「はっ!! わかりました。では、吉報をお待ち下さい」


 ゲドル大将軍は深々と頭を下げると歩きはじめました。


「ご武運を!!」


 姫神の全員が声をそろえます。


「ゲドじいー!! またねーー!!」


 マオが大きな声で言いました。

 ゲドル大将軍はその声に、振り返ることはせず片手を上げて応じました。


「では、ゴルザード将軍、僕達も帰ります」


「はっ!!」


 ゴルザード将軍は、心配そうな表情をしましたがすぐに頭を下げました。


「ゴルじい、またね!!」


 レイコが青い髪をゆらしながら言いました。


「ははあーーっ!! レイコ様もお元気で!!」


 ゴルザード将軍の目に一瞬にして涙がたまりました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ