第9話 ソフィア視点(現在)
魔法学園に入学しスカーレット様と会うことが出来た。サーシャ様と一緒に3人で行動させてもらっている。
試験の結果、光の魔法を使えるようになることが確定した。将来は聖女として活動していくらしい。
聖女としてスカーレット様とのご縁が続いていくのなら教養はあって損はない。
私のいるAクラスは王族や高位貴族ばかりだ。クラスメートは教養などは家庭教師を付けて取得済だ。私は周りから遅れている分、先生にも質問して学ぶことにしている。
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またキョーコ様が意味のわからないことを言ってきた。
ストーリーやら攻略対象やら悪役令嬢やら何を言っているのだろう?
キョーコ様に絡まれるとスカーレット様たちと一緒にいる時間が減るので勘弁してほしい。
ある日、ご令嬢の集団に声をかけられた。
「ちょっと貴方!聖女だかなんだか知らないけど平民のくせに生意気よ!これみよがしに教師に質問なんかして!平民には教育が必要ね!」
どこかで聞いた声だ。以前に孤児院でトラブルを起こした伯爵令嬢ではないか。
「平民のくせにAクラスにいるんじゃないわよ」
「辞退したほうがいいんじゃなくて?」
「平民で光の魔法なんて、何かの間違いですわ」
令嬢たちは口々に言っている。
伯爵令嬢にドンッと突き飛ばされ尻餅をついた。
「教室では公爵令嬢と一緒でいい気になっているけど、離れてしまえばただの平民よねぇ」
と、伯爵令嬢が耳元で囁くとニヤリと笑った。
集団の後ろではリーダー格の侯爵令嬢が涼しい顔で扇を仰いでいる。
1人が私を打とうと手をあげたときだった。
「ご令嬢方、何をしているのかなぁ〜?」
「何か良くないことをしているように見えるのは気のせいかな?」
後ろからお美しい顔立ちの王子殿下お二人が現れた。
「こういうことは見逃せませんね」
「乱暴なことをする女の子は好きじゃないなぁ」
続いて公爵令息と侯爵令息も現れた。
「いえ、転んだところを起こして差し上げるところでしたのよ。ごめん遊ばせ!」
令嬢たちは私を起こすこともせず、目にも留まらぬ速さで消えていった。
「君、大丈夫〜?」
第二王子が手を差し伸べてくれた。
「殿下、ありがとうございます!!」
ドキドキしながら第二王子の手を取った。
「殿下じゃなくてジュリアンと呼んでよ!聖女様」
「そ、そんな恐れ多いです。私はただの平民ですから」
「ジュリー。ソフィア嬢が困っているじゃないか。さあ、ソフィア嬢、スカーレットのところに一緒に行こうか。次はホームルームの時間だよ」
「はい。ありがとうございます」
廊下を5人で歩いていると第一王子がコッソリ教えてくれた。
「ジュリーは昔から聖女に憧れていてね。君と仲良くなりたいのだよ」
「リアム!!聞こえてるから!勝手にそんなこと言わないでよ〜!まあ否定はしないけどねぇ。よろしく聖女様」
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ホームルームの時間のことだった。
司会をしていたジュリアン殿下が突然言い出した。
「入学してひと月が過ぎたね〜。そこで交流を深めるためにみんなファーストネームで呼ぶことにしよう!僕はジュリアンと呼んで構わないよ〜。敬称は付けなくてオッケー。ウイリアムもいいよね?僕ら王族が言い出せば他の貴族たちも従ってくれるでしょ」
「まあそういうことなら」
「やったね!それではみんなよろしくね!」
ジュリアン殿下がこちらを見て満面の笑みを浮かべてウインクしている。
ジュリアン殿下、可愛らしいお顔立ちをしているけど意外にグイグイ来るのね。
明日も夜に更新します。