第4話 眠れない入学前夜
本日は2話投稿します。
明日からいよいよ学園に入学だ。
荷物はすでに寮に運び終えている。
明日は馬車で登園し、そのまま魔法学園入学式典の後入寮となる。
「レティも明日からは学園生か。早いものだね。毎週末には帰ってきて構わないんだよ」
「お父様。毎週帰ってきていては……」
「面倒ですわ!かな?」
「あなた!レティは効率至上主義娘から変わろうとしているわ。いえ、レティは変わったのよ!」
お母様……効率至上主義娘って。そんな風に思っていたのですね。ものぐさ娘と言われるよりはいいけれど。
たしかに前の記憶を思い出してから、ほぼ引きこもりのような生活から一転して今までしていなかったことをやるようにしていた。
お母様と一緒におしゃれをして色々なお茶会に積極的に参加した。
お母様とマリーと変装してこっそりお祭りやバザーにも行って平民の生活も知ることが出来た。
マリーと2人で教会の慈善事業にも参加した。
すべてお母様やマリーと一緒ではあったけど、一気に世界が広がった。
学園入学前にお友達が出来たのも嬉しい誤算だった。
「お母様いいのよ。お父様、以前の私は確かに効率のことばかり気にしていたけど、それはもう気にしないことにしたのよ。何も経験しないことが効率良い訳がないのにね。まあ、まだたまに気になることはあるけど癖みたいなものね」
「レティ。君は本当に変わったよ。お父様もお母様も本当に嬉しい」
「本当ね。私も色々なところについ連れ回してしまったけれど。楽しかったわね」
「ええ。お祭りもバザーも初めてで楽しかったですわ」
「メアリ!それは聞いてないぞ。お茶会じゃなかったのか?まさか、若い頃のように平民に変装して行ったんじゃないだろうね」
「この姿で行っては楽しめませんもの。ねえ、レティ?」
「そうね、お母様。今度はお父様も誘ってあげましょうか。ふふふ」
「それもいいわね。ホホホ」
ダイニングには笑い声が響いていた。
「それはそうと、魔法学園にびっくりする人たちが入学することになったんだよ」
実はお父様はこの国の宰相を務めており、帝国のすべてを把握しております。言えないことも沢山あり、大変そうですが。
「私が聞いてよいお話ですか?」
「もう明日にはわかることだから公爵家のレティは知っておいて問題ないよ。むしろようやく話せるくらいだ!
まず1人目が聖女様候補の娘だ。ひと月ほど前に街で希少な光の魔法を発現させかけたところを警備兵に発見されたんだ。教皇様が確認したところ光の魔法の使い手になる可能性があるということで魔法学園で学ばせるそうだ。光の魔法を使えるようになれば卒業後は聖女様として活動することになるだろうな。
もう1人は異世界転移者の娘だ。こちらは3ヶ月ほど前に聖なる森の中で倒れているところを発見して、王家で保護していた」
「聖女様と異世界転移者様ですか?!そんな方と学園で一緒だなんて!聖女様はわかるとしても、異世界転移者様はそうとすぐにわかるものですの?」
「まず、こちらの世界とは着ている服が全然違う。それに来た当初は今までの転移者が話していたと記録される言語を話していたからね。転移者の能力の1つか皆栄養価の高い食事を与えると、数日でこちらの言語を話すようになるんだ。その後は文字の読み書きも短時間で出来るようになるからすごいものだ」
「そういうものなんですね。知りませんでしたわ」
「レティ、私も初めて知ったわ。でもレティは心配しなくても大丈夫よ。マリーもいるし学園生活を楽しめるはずよ」
「そうですわね。私は明日は早いので休ませていただきますわ……」
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その夜はなかなか寝付くことができなかった。
王子様と聖女様、異世界転移者が同じ学園にいるだなんて確実に乙女ゲームじゃないかしら?
このビジュアルの私はやはり悪役令嬢??そして断罪?
怖いわ。ストーリーがわからないって怖いことね。
よくある誰かの婚約者でもないし、もしかして私はモブなのかしら?モブであってほしいわ!
モブモブ考えているうちにいつの間にか眠っていた。