第3話 きせかえ人形
今日はお母様と買い物に行く日。
どんな洋服を持っていたかはっきり覚えていなかったので、マリーと一緒にクローゼットに行ってみて呆然とした。
クローゼットにはワンピースやドレスがズラリと並んでいた。でも裾に向かって広がっていくAラインのワンピース、ドレスばかり。
赤いワンピース・赤いドレス。
ピンクのワンピース・ピンクのドレス。
こんな感じで同色ワンピースとドレスのペアが16組ほど。
そうだった。
以前の面倒くさがりのスカーレットは服に興味がなかったのだ。数枚もあればいいと思っていたが、さすがに公爵令嬢が同じものばかりではよくないと思い、毎日異なる色のワンピースやドレスで回すようにマリーに指示していたのだった。
16組あれば毎日ワンピースかドレスで1か月重複しないもんね。
1か月で回せば傷みにくいし経済的ってほくそ笑んだ記憶が……
スカーレット……せっかくかわいいのになんてもったいないことしてたのよ。
スカーレットは面倒くさがって
「Aラインワンピース、今回は○○○で」
と、ばかり言っていた気がする。
私はあのワンピースが着たかったのもあるけど、痩せたらオシャレがしたかったのよ!
これはクローゼットの中を一新するつもりで買い物したいところだわ。
――――――――
「ブルムーン公爵夫人、スカーレットお嬢様。ようこそおこしくださいました」
髪をピシッと後ろにまとめた品のいい婦人が迎えてくれた。
王室御用達のオートクチュールを訪れると奥の特別室に案内された。
「本日は制服の採寸とお伺いしておりましたが、他に御用はございますか?」
「マダム。レティのワンピースとドレスも仕立てようと思っているの。もうすぐ学園に入学したら一緒に買い物にも来られないから寂しくって」
「公爵夫人お気持ちわかりますわ。お寂しいですわよね。
スカーレットお嬢様、ワンピースのシルエットはAラインでお色はどういたしますか?」
「レティ。そろそろシルエットを少し変えてみてもいいのよ」
「はい。お母様!今回はいつもと違うシルエットで作りたいと思っていました」
「レティ!そうね!そうね!このシルエットで何着にしようかしら〜?」
「いいえ。すべて異なるシルエットで作りますわ!」
「本当に?レティどうしたの?Aラインのシルエットばかり着ていたのに」
「お母様、私は少し考え方を変えたのです。面倒くさがってばかりいては人生もったいないのではと。だから色々挑戦してみようかと思ったんです(せっかく可愛くてスタイル良いのだから可愛い服着ないと損!)」
「レティ〜!そうよ!あなたはとーっても可愛らしいのだから、色々な服を着たほうがいいわ!お母様なんだか楽しくなってきたわ。マダ〜ム、デザインを見せてちょうだい。レティの気が変わらないうちによ!」
お母様……すごくいい顔してる。
いつも似たようなものばかりじゃ着せるかいがないものね。
それから夕方まで私はお母様とマダムのきせかえ人形になったのだ。
もちろん帰りは足が棒のようになり、寝る前にマリーにマッサージをしてもらわなければ翌日は筋肉痛間違いなしだった。
でも……母娘で買い物するのってこういう感じなのかな。
すごく楽しかった。
私はこの日から変わったのだ。
次話は22時〜0時頃に投稿予定です。




