第12話 王子たちの事情(ウイリアム王子視点)
今日から不定期更新で週末中に完結予定です。
私の名前はウイリアム・ジャパネル。ジャパネル帝国の第二王子だ。
自分で言うのもなんだが、容姿端麗・文武両道である。
なんでも求められている以上にできてしまうので、陛下や王妃でさえも私の心配をしていないのではないかと思う。ちょっと弱さがある方が可愛いものだ。
この国の王族の婚約者選びは15歳から始まり、伯爵家以上の令嬢や王族が認める価値のある女子の中から自分で選ぶことができる。
王太子は長子から5歳差までのすべての王子が18歳になった時点で決められる。どのような令嬢を選ぶのかも含めて王太子選考の一部なのだ。
私は王太子を目指しているわけではないが、自分で婚約者を選べるシステムは好ましいと思っている。家柄や権力によって一生を共にする伴侶は選びたくない。制限ばかりある王族でこのぐらいは自由があっていいのではないかと思う。
長子であるアルトリウス兄さんは王太子に相応しい実力を持っており、本人も王太子を目指し公爵家の宰相の娘を婚約者に決めていた。
弟のジュリーは聖女に憧れていてギリギリまで聖女が現れるのを待つ!!と断言していた。
私もアルトリウス兄さんが王太子になることに賛成だ。ということで、私の婚約者選びは好きにさせてもらう。
婚約者探しの予算は割り当てられているので、普通はお茶会に参加し令嬢たちと交流を深めていく。私は王族主催のお茶会のような会では猫をかぶり本当の姿はわからないと考えた。
そうだ!こっそり本当の姿を見に行けばいいのではないか!
幸い王城には髪や目の色を変えたりする魔法を使える者もいる。
令嬢だけの誕生日会には使用人に変装して参加した。なかなか面白いもので髪と目の色を茶色にしただけで気が付くものはいない。
見た目ばかりには気にする者、他のものには攻撃的に嫌味を言う者、露骨に権力を狙うと豪語する者。
王族のお茶会では見えない姿だ。
次は剣術大会にも係員に変装して参加した。
令嬢たちは結構筋肉を見ているらしい。ちょっと見る目が怖い令嬢もいた。キャーキャー黄色い声が頭に響く。係員や使用人に対して人とも思わない言葉を発するものもいた。
教会の慈善事業になかなか家から出ない公爵令嬢が参加するらしい。この令嬢だけはまだ掴めていなかったので孤児院に潜り込むことにした。
当日は公爵令嬢と伯爵令嬢が来るとのことだったが、公爵令嬢は来ず伯爵令嬢のみがやって来た。約束を守らないなんて話にならない。
唯一現れた伯爵令嬢も文句ばかり言って侍女にやらせるばかりで何もやらない。挙句の果てに子供にまで手を上げているではないか。今度は手伝っている娘にまで手をあげようとしている。さすがに止めに入ろうとすると、料理を担当していた娘たちが助けにきたようだ。ホッとしていると、1人がなんと伯爵令嬢に平手打ちをした!
激高する伯爵令嬢を前に、娘が頭に巻いたスカーフを取ると美しいプラチナブランドの髪が現れ例の公爵令嬢だと名乗った!
私はその瞬間に彼女に心を奪われたのだ。
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王族主催のお茶会を開催した。もちろん、あの時の公爵令嬢にも招待状を送った。最近は引きこもらず外に出ているようで参加する旨の返事が届いた。
「初めましてお目にかかります第二王子殿下。スカーレット・ブルムーンでございます」
この時を待っていた。
「初めましてスカーレット嬢。私はウイリアム・ジャパネルだ。今日のワンピース姿もお似合いだ。あなたはなかなか社交界に顔を出さないようなので、じっくり話をしてみたいな」
巷では王子スマイルと言われる微笑みを彼女に向けた。
彼女はちょっと呆けたあと、顔色が悪くなったようだ。
ふーん。容姿端麗と言われる私の微笑みなのに傷つくな。効いたと思ったのに面白い。
彼女を少し離れたガゼボにエスコートした。
私はさっそくスカーレット嬢に婚約者候補として考えていること、あの孤児院での立ち回りを見ていたことを話した。
スカーレット嬢は青い顔をした。まさか孤児院でのことを見られているとは思ってもないだろう。
「婚約はご遠慮したいです」
「なぜ?僕の容姿は嫌いじゃなさそうだったけど?」
「それは……悪役令嬢のよくある設定になってしまう」
「??何を言っているんだい?」
スカーレット嬢は少し何か考えて
「殿下!じゃあ、約束しましょう!婚約者にはまだなれません。もうすぐ学園が始まりますよね?学園でもあまり関わらないようにして下さい。1年間約束を守っていただけて、なおかつその時も殿下がお望みでしたら婚約をお受けします」
何を突拍子もないことを言うんだろう。でも面白いことを考えるね。
「わかった。学園ではあまり関わらないようにしよう。その代わり週末2人だけで会えないかな」
「えっ?!毎週は無理です!」
交渉の結果2週間に1回お忍びで会えることになった。
変装が得意な2人だ。変装して街へ行くのも楽しいかもしれない。




