87 成長
◯ 87 成長
アストリューに戻って旅の疲れを癒すべくのんびり宙翔の家の温泉に浸かっていた。雪景色の庭も中々良い。滅多に降らない雪の中の露天風呂は中々風情があって良い感じだ。
「アキは神官らしくなってきたな」
「本当?」
「なんか、神殿の雰囲気だ」
「そうなの?」
「姉ちゃんがやっぱり神官とか巫女は全然違うって言ってた。時々手が震えるくらい綺麗な人とかがお客で来るからどきまぎするって言ってたぞ」
「あー、何か分かるよ。メレディーナさんなんてすっごい抑えてるけど、それでも綺麗だよね」
神域の場所くらいでしか力を解放しないから、分からないけど。
「メレディーナ様は本当に綺麗だった……。あの時は目がつぶれるかと思ったぞ?」
ここに一回来た時の事だろうか、宙翔は思い出してうっとりしている。
「宙翔なら大丈夫だよ。ちゃんと良いオーラだし、お姉さんもそうだよ」
「本当か? ちょっと嬉しいぞ。アキも修行してるからそうやって成長してんだしな。俺も饅頭作りは頑張る。ファンの力ってあるんだよ」
「分かるよ。ポースも同じ事いってたし、確かにステージにいると直接感じるからすごく楽しい」
それに、こないだの旅行先のウェルジスハーミィー世界にも受け入れられて嬉しかったし。宙翔は雨森姉妹のこともある。やっぱり褒められると嬉しそうだし、やる気も出るのは分かる。
「アキの舞は癒しが入ってるからな。父ちゃんが二日酔いにならないって褒めてたぞ」
「本当? 良かったよ」
大空と大地が露天風呂に来た。いつの間にか五歳くらいの子供の姿を取っている。猫耳と尻尾が付いた姿だけど、その方が可愛い。
「やあ、人化の練習だね?」
二人はミャーと鳴いている。人語はまだのようだ。
「上手く出来てるよ」
褒めると猫の時と同様にじゃれ付いてくる。
「姉ちゃんが教え込んでるからな」
「宙翔もするの?」
「いや、オレは良いよ。必ず服を着ないとダメだろ?」
「まあ、確かにね」
やっぱりそこかとちょっと笑ってしまう。宙翔は頭を掻いていた。長湯も良くないのでそろそろ出て、女将さんの出してくれた夕食を頂いた。
宙翔のお父さんが地域情報紙を片手に何やら唸っている。新酒の情報でもあったんだろうか?
その日は久しぶりに宙翔の家に泊まって源泉の神秘的な光をのんびりと眺めた。ここに僕の力も混ざっているんだと思うとなんだか嬉しい。




