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世界を繋ぐお仕事 〜世界征服編〜  作者: na-ho
てんのさばきとあくのぎしき
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80 技術

 ◯ 80 技術


 帰り際には真っ赤に燃える尻尾を持つトカゲとかが出てきたり、鍾乳洞に着いたりした。

 最初に来たルートを少し外れて進むと宝石の付いたネズミの様な姿の魔物が出た。体長は尻尾まで入れて二十センチから七十センチくらいで、背中が岩で出来ていて、そこに幾つかの宝石が埋まっている。捉えて殺さずに宝石だけを頂戴する。すると半年くらいしたらまた宝石が付いているらしい。

 ここは魔石の方が価値が高いので宝石はそんなには値が張らなかった。装飾に使う人は余りいないみたいだ。


「面白いね。これ、魔石じゃないけど魔力が少し籠ってるよ。上手に何か加工したら使えそうだけどな?」


 魔結晶を作るのと同じだろうか? 純度は低いけど、使えなくはなさげだ。


「そうなのでございますか? 価値はございませんよ?」


「そういうのに価値を出すのが技術だし、工夫って言うんだよ?」


 受け売りだけど……。僕達は岩ネズミを捕まえて何種類かの石を貰って帰った。帰りは蛇な魔物が多かった。ファンタジーらしく目からの魔法で石に変わるというのも体験した。

 シェンブートとシュンザートが、直ぐに大きな翼の生えた蛇を退治してくれたけれど、数が多くてスフォラも防護で全部を弾けなかった。


「大丈夫? カジュラ」


 マントが半分石になって落ち込んでいるみたいだ。


「はい、これしき大丈夫でございます。アキ様は……ご無事というか治し方をご存知でいらっしゃいましたか」


 振り返って僕が物質変換で手を治しているのをじっと見ていた。


「さあ、合ってるか分からないけど、カジュラのマントも直そうか?」


「う、そのようなご迷惑は、お掛け出来ません」


「遠慮しなくて良いよ?」


涙目で言われても説得力ないし、我がままを耐える様な姿が逆にやって下さいと言ってる気がするんだけど……。


「そ、そうでございますか? でしたら……」


 僕が言ったら嬉しそうにマントを渡してきた。組合で売っていた小さな魔物よけの結界の中でマントを元に変換して返した。


「いつもどうするの?」


「はあ、奴らからは会ったら逃げるのがセオリーでしてあのように囲まれた時はマントを犠牲にして逃げます。一匹程度なら戦いますが、装備が馬鹿になりませんですからな……得に今はエルフもドワーフもいないですし一張羅になると困ります」


珍しいのか、結界を張っている魔結晶の辺りをじっと見ながらカジュラは答えた。マントに付いている魔法防護も、あの数がいると効かなかったみたいだと説明された。


「あー、前に聞いてた職人がいないから……困るよね」


「はい。このマントもハイエルフの友人に頂いたもので、闇の属性の実に良い物なのです」


 どうやらエルフの手作りのようだ。


「そっか。でもあんなのがいるなんてビックリしたよ。すごいファンタジーだ」


「しかし、コカトリスがこのように十匹単位で行動するなんて余り無いのですがおかしいですね」


 あれがコカトリス?


「そうなの?」


「はあ。精々三、四匹ぐらいですよ。この辺りではこんな群れを作ったりはしてませんでしたから」


 僕達は大きな体のコカトリスを最近僕の作った魔法のカバンに詰めた。それで容量が一杯になってしまった。蛇の料理はおいしいらしいし、蛇皮も使えるみたいだ。


「では戻りましょうか」


「うん、随分収穫があったね」


 そのまま進むと入った場所とは違う場所に出た。五つ頭の蛇の巣の近くだ。成る程、ここに着くのか。僕達は空を飛んで町まで戻った。冒険者ギルドに行ってコカトリスをマシュさんのお土産の二体を残して全部売った。残っていたドワーフ族の人が嬉しそうに素材を見ていた。人族とのハーフだそうだ。

 後は依頼の分のゴーレムの残した金属を渡したら今日のミッションは無事に終了だ。

 第五フィールドの冒険者ギルドは既に別の組織になっていて、アンデッドと街に残っている人達の素材屋になっていた。


「魔核は教会ですが、ここの教会は神官がいませんで、アンデッドを忌避して出て行ってしまいました」


 少し悲しげに教会の建物をみてカジュラは項垂れていた。教会の扉は鎖で頑丈に閉じられていた。癒しと浄化の出来る仲間はいるのか聞いたら、何人かいると答えたので、世界樹の教会で特訓をしようという話になった。


「出来るのであらせられますか?」


「うん。僕はそれしか出来ないからね」


「ご謙遜を」


「カジュラは大丈夫? 近くで見たらダメじゃない?」


「ゴホン、まあ少し離れておきます」


「今日の分はやっておくべきだよね」


 そのまま浄化の魔法を掛けて三十五個の魔石が出来た。出来た魔石を見てカジュラが目を見張っている。


「これは美しい……浄化が良いと魔石の等級も上がるのですね?」


「そうだね、属性は分かる?」


「大体は……おお、これは水と火の両方が掛け合わさっている。これは高く売れますぞ!」


 緑と白のマーブルな魔石を見てカジュラは嬉しそうだった。


「へえ、そうなんだ。混ざってる方が高いんだ?」


「両方使えますからな。それも真逆の反する物同士、希少でございます」


「じゃあ、この金と銀も価値が高いね? 重力と反重力」


「それは分かりませんが、飛行の魔石です。中々目にする事は無い代物でして、このマントの留め具にも使われております」


 成る程、それだけ貴重なマントなんだ。石にされたら涙目にもなるのも分かるよ。


「へえ、カジュラは自力で飛んでるよね?」


「はい。ですが万が一の場合を考えて付けています。空中戦は難しいですからね」


「そっか。ここにもあるんだね、飛行の魔法が」


「はい。ですが殆どその、秘匿されてますね。人族の貴族どもが教えないというか、魔石を独占している魔道具ギルドは貴族の大事な収入源ですからね。宝箱から出る魔道具に警戒をしているようです」


 確かに人族はあの遺跡といい、優遇されていた形跡がある。


「そっか。警戒されてるのは分かってるけど、魔石の浄化の助けをする魔道具は向こうが買い占めをしているのは分かってるんだ」


「浄化をする魔道具があるのですか?」


 やっぱりカジュラも知らないか、あんなに宝箱に入れてるのに出回ってないなんて。


「助けるだけだよ。ちゃんと浄化を使えないとダメだし、世界樹の教会で神官になる特訓を元奴隷達も始めてるから。そこで使い方を特訓してるよ」


「そういえばそうでしたね。ここでは奴隷がもういませんから……」


「そうなの? 前はここに奴隷が集まってる様な事を言ってたけど、いなくなったの?」


「はい。アンデッドの事で奴隷商人が逃げまして……町に残っている人間は昔からの仲のいい奴らだけになりました。気にしないと言ってくれる人間や、獣人が少しでもいてくれるのは心強いですね」


「残る人がいてくれたんだ。良かったね。そういえばドワーフやエルフ達は戻ってくるの?」


「まだ、瘴気が濃いですからね。まだしばらくは戻っては来れないでしょう。先に戻るとしたらドワーフ族でしょうか。奴隷にされる者が多くてここに帰ってきたがっています」


「奴隷にされてるの?」


「はい。ばかばかしい程の税金を無理にかけてきて、払えないならば奴隷にすると脅されているようです。族長は早々にこっちに戻ると言っておりましたので、受け入れをせねばなりません。まあ元々ここの出身の者が多いのですぐに打ち解けるかと思っております」


「そっか、忙しくなるね」


「はい。今まで取ってなかった通行料をいきなり取ると言われて、兵士に足止めをされていますが、今日のこの資金を渡せばなんとか……」


 酷いな、そんなの取るなんて。


「そうだったの? じゃあ、これは僕からってことで……ここに着いても色々いるだろうし、使ってよ」


 金色の鉱石を幾つか出した。スフォラがちゃんと金だと教えてくれたからね。


「有り難き幸せにございます! 必ずやこの使命を果たしていれます!!」


 何やら使命感に燃えた人が出来上がった。金の鉱石はそのままよりもちゃんと純金にした方が良いかなと思ってその場で精製して金の延べ棒を作ってみたら、カジュラが目を剥いていた。


「どのようなお力なのでしょうか?」


 遠慮がちに聞いて来た。


「魔法だよ、まだ駆け出しだから上手くないけど、普通だよ?」


 そっか、錬金術なんて一般的じゃなかったか。他の世界でもその道の技術って感じだし、ビックリするよね。細かい事が得意なら向いているらしいので、マシュさんに習って物作りに役立てている。


「そうでしたか。これも秘匿されている技術でしょうか?」


 悔しげな表情でカジュラは金の延べ棒を見ている。


「多分人族の間ではそうだよ、魔道具にそんなのがあったし。でも、ドワーフ達なら知ってそうだけど? 何も全てが貴族達の特権って訳じゃないよ。皆、何かしら技術の秘密はあると思うよ?」


 魔道具ギルドに忍び込んでどんな感じか見たら、色々と技術が揃っていた。なのでコンロや冷蔵庫くらいは許されると踏んだのだ。生活に必要な物が出回れば町の暮らしも豊かになるからね。発展しないと意味が無い。


「取り敢えずはドワーフ達の為にも早く行ってあげて」


 黙り込んでるカジュラに声を掛けた。


「はい。行って参ります」


 何か吹っ切れたのか元気に返事をして、カジュラはコウモリの姿になって夜の空を飛んで行った。


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