78 新世界
てんのさばきとあくのぎしき
◯ 78 新世界
みかんの中間界に蒼史と紅芭さんが来てくれた。『みかんなカフェ』に来てくれてるので、
「蒼史達もダンジョンにチャレンジを?」
と、コーヒーを出しながら聞いてみた。
「いいえ、ここの様子を見に来ただけです。随分にぎわっていると聞きました。まるで町になりそうな活気ですね?」
紅芭さんはここの様子をそう言ってくれた。
「そうだね、もう村とは言いにくいかも。ここで生活してる人も多いし」
「うむ。ここ専用の家も作っているとか?」
「あー、うん、何か生産職の人が居着いちゃって、色々と作ってくれてるよ」
最近はここの念いを入れ易い空間を利用した生産品が気に入って、わざわざここに居を構えてしまう人が増えた。マシュさん達研究班もそうだし、急遽みかんの中間界をもう一つくっ付けて場所を倍に広げたばかりだ。魔法力BOの生産工場もみかんの中間界の中に作られている。それは転移装置で移動しないと行けない場所にある。安全を取ったらそうなった。爆発物にも変わる物だから隔離しないと危ない。
「皆の住宅が出来つつあるかな……実は家も店舗も入れ替えが簡単だからひと月だけ中央通りに面した店とかも出来るんだ」
一番人気は円形広場に面した場所だ。管理組合の宝箱の交換兼魔石の交換所に治療院があるので一番人が集まる。その向いに陣取っている『みかんなカフェ』も人気は高い。言うなれば一番の老舗だからね。
「店ごと入れ替えが出来るのは画期的ですね」
「うん、でも予約が一杯になってるから区画整備もやらないと不満が出そうだよ。一旦閉め切って町づくりをやり直す計画が立ってるんだ」
それに店の写真を町の中心地と宿や、ホテルのロビーから見れるようにして、そこから自由に各店舗の近くのブロックまで転移出来るようにする予定だ。
お気に入り店は登録出来るので場所が変わっても探し疲れる事も無い。それに気に入っている物は通販でも買えるシステムで、滞在している宿や、家に直ぐに届けられる。
「何か仮想世界みたいだけど、そんな感じになるよ」
「それは楽しみだな」
「新しい試みですね?」
「うん。ゲームみたいな世界の中間界ならこのくらいは出来ないとと思って」
少し僕のアイデアも入っている。まだ計画の段階だからどうなるか分からない。
「そうか。色々考えてるんだな。二度も倒れたと聞いていたからな少し心配していた」
「そうですよ。頑張りすぎてるんじゃないかって心配してたんですよ?」
二人が咎める様な目でこっちを見ている。本気で心配されてたんだとちょっと胸が熱くなった。
「うん、ごめんね? 心配かけて。最初のは戦闘とかあったから緊張が過ぎたみたいなんだ。二回目は食中毒が切っ掛けだし、それからは体調管理もやってるから大丈夫だよ」
ちょっと照れながら誤摩化し笑いをした。
「うむ、キリムも努めを果たしているようだし、顔色もいい。安心した」
蒼史は紅芭さんの頭の上にいるキリムを見てから微笑んでいた。紅芭さんの頭の上にいると生真面目な感じが和むかもしれない……。
二人はここの宿に一泊して、次の日は生産品を見てまわってから帰って行った。
郊外には畑が作られていて町の人達用の作物が育てられ始めている。一体ここはどうなるんだろうか? まあ良いか、出来上がった頃には何か分かるよね。




