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世界を繋ぐお仕事 〜世界征服編〜  作者: na-ho
ふりょうなるいさん
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48 盗賊

 ◯ 48 盗賊


 ダンジョンンの街の感じは何となく分かった。


「それで、アンデッドの冒険者はいないの?」


「登録は出来ませんから……。まあ私等は誤摩化してなれたりしますがね」


 そう言いながら冒険者カードを見せてくれた。何となく自慢げなのでよく見てみると、カージュ、魔法剣士、ランクSと書いてあった。


「おー、Sランク?」


「ええ、登録から七年でここまで登りました。時折名前を偽って、登録し直さないと行けないので面倒ですが。何せ不死の身ですからね」


 強いとかだけでなく経験と信用度を上げていかないとランクは上がらないから半年に一回しか昇級は無い。ランクが上がれば一年に一回になる。


「誤摩化して、登録してそれでお金を稼いでるの?」


「はあ、やはり必要な物資も調達しないと我々だけでは文化的な生活を維持するのは難しいですから。ドワーフ族の作る細工や道具にエルフ族の魔法アイテムに魔道具、それに家具等も優美で美しかったので気に入っておりました。しかし、ここにはもう彼らの住まいが無くなってしまい、手には入りません」


 どうやらその事には随分名残惜しそうだった。


「アンデッドとして親交があったの〜?」


「人としてですね。まあ、彼らにはバレていたと思いますが、良い客でいたと自負しておりますので悪い関係ではありませんでした」


「エルフも長寿だよね?」


「ええ、ハイエルフ等は永きに渡っての親交で、酒を飲み交わす程には打ち解けておりました」


 成る程、友達もいたのか。


「そっか。彼らが戻って来れないと寂しいね」


「そうですねぇ」


「ここの森はエルフが住んでたのね〜、それで魔力の籠った物が多いのね?」


「逆に言うとそのせいで強力な魔物が多いんだね」


「そういう事ね。瘴気のせいでこうなったって事ね〜」


「昔もそれなりにはいたのですが、ここまでの増え方はやはり異常という事で合っているのですね?」


 さっきのハイドーリアさんとの話で察しがついているのだろう。


「そうなるわね〜。アキちゃんがマスク必着なんだもの〜」


「う、うん」


「……盗賊のスタイルと思っておりました。手柄を取ってしまったと言っておられたので、そうだと思っておりました」


 真面目な顔で言われてしまったが、それは……言ったらダメだよ? 悪気が無いのは分かるけど、落ち込むから止めて欲しい。


「アンデッドのフィールドが無くなるわよ〜、そんな事いったらぁ」


 マリーさんが落ち込んでる僕を察してか、軽く睨んでカジュラに向かって頬を膨らませて怒った。


「まさかお創りになられるので!?」


 素っ頓狂な顔でおじさんの美形度がマイナスになっている……。三枚目も出来るなんてさすがヴァンパイアロードだ。


「もうそれは決まってるのよ〜。ついでに魔族の方も打診されたんだけど、そっちは保留なの」


「言われてもすぐには無理だから。そうだね、ここのダンジョンにアンデッド用のポーションとかその内入れるから頑張ってよ。冒険者登録も出来るようにお告げに出してもらうから」


「おおぉぉぉぉ、神よ〜!! 我らの神が降臨された〜っ!」


 今頃何か涙を流しながら拝み出した。一応は僕もゴーストだからね、仲間の面倒は見ないと! でもカジュラの必死な様子はなんか怖い。


 その後の話し合いでネクロマンサーの死体操作のアンデッドには反応しない、冒険者登録用の魔道具を入れる事になった。まあ、マシュさんがやってくれるだろう。それに、ネクロマンサーに礼儀を教える必要があると、何やら登録に際してネクロマンサーに制約を掛けさせるとか、そんな話になったので採用する事にした。

 ここのフィールド内にあるいくつかの場所に、アンデッド専用の冒険者登録の場所を限定し、最初はそんな感じで少しずつ街に馴染んでいけるようにする事に決定した。

 人間達との付き合いは彼らに任せるしかない。まあ、ここのフィールド内は既に人間よりもアンデッドの方が多い。既に密かに共同生活をやっているのだ。再会したての時に誤摩化してたのはこの事かな?

 人と住むのにアンデッドの法を作って、人間とのやり取りを円滑にする事も伝えておいた。カジュラ達がアンデッドの街を創る事になった。

 カジュラには得に魔核を落とす魔物を倒して瘴気を浄化していくのが、森を元に戻すのに良いと言ったので張り切っていた。早速仲間と鉱山内の魔物を狩ってきます! と、サーベル片手に突進していった。大丈夫だろうかあんな調子で……。まあ、曲がりなりにもSランクだし、放っといて良いか。


「まあ、これでドワーフとエルフ達もここに戻る可能性が出てきたわね〜」


 帰り道にマリーさんと話をした。


「そうだね。カジュラがハイエルフの族長に連絡を入れて森の手入れをし直すとか言ってたし、エルフ達は元の集落も結界を張ってあって、魔物が入れないようにはしてたみたいだね」


「そりゃそうよね、エルフだって故郷を見捨てるのは忍びなかったでしょうし、再興が出来るのなら戻ってくるでしょう〜。ここの瘴気が収まるのなら不可能ではないわ〜」


「でも、世界樹無しでも大丈夫かな?」


「エルフもそれは悲しいでしょうね、森の番人として頑張ってもらうしか無いわね〜」


「そうだね。魔力の高い地域だし、フィールドごとそんな特色を付けるのもありだよね」


 ここがうまくいって、魔族受け入れが決まったなら魔族との架け橋をカジュラ達がやってくれると信じるしかない。というかなんだか魔族の受け入れをやる方向に行ってる気がしないでもない。成り行き任せだけれど、ちゃんと魔族というのを調べないとダメだよね?


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