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世界を繋ぐお仕事 〜世界征服編〜  作者: na-ho
ふりょうなるいさん
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46 黒鍋

 ◯ 46 黒鍋



 中間界の片隅で、僕はガリェンツリー神界の倉庫の奥から引っぱり出した大きな黒鍋で、ツタの魔物の素材を煮詰めていた。もう三日程煮詰めている。ドロドロになって異臭を放っているので、周りに消臭効果のある魔法結界を展開している。……これの為に新たに開発してしまった消臭効果の結界は、他にも役に立つ事はあるんだろうか? まあいい。

 取り敢えず、倉庫の肥やしになっていた木の棒と木の盾が役に立っている。木の棒でかき混ぜて木の盾は鍋の蓋になっている。素晴らしい、リサイクルだ!

 魔女になった気分で鍋をかき混ぜ、とろ火で煮ているけれど、何となくでやっているだけだ。というか鍋を見た瞬間に何かこうしないといけない気がしたんだよね。


「何か出来そう?」


 マリーさんが、僕が良く分からない事をやっているのを心配して見に来てくれていた。


「うん。何か出来たと思う」


 僕は徐に出来上がった鍋の底の深緑のドロドロをお玉で掬ってボウルの中に取り出した。そっと癒しと回復の魔法を通してみた。燐光を放ちながらドロドロの半液体は青緑の怪しいドロドロに変わった。それをこし器に入れて残っていたツタの繊維を取り除き、ドロリとした青緑の液体が出来上がった。


「ポーション?」


「魔法薬ね〜?」


 マシュさんが調べてくれたら、魔力を回復するらしい。でも、猛毒だ。霊泉水で作れば良いのかな? でもここの物で作らないとダメだよね。しかも、この労力に見合う回復力がない上に飲んだら死ぬ。三日掛けて作ったのは毒だった。まあ、これも使い道はあるだろう。


「薄めても毒は毒?」


「薬にもならんし、栄養にもならんな……死んでる者ならともかく生きてる人間にはそれは役に立たないぞ」


「アンデッドには良い?」


「言ってた吸血鬼か? 分からん」


「こないだ死神達がハイドーリアのいた場所を聞き込みに行ってたわよ〜。悪魔がまだ潜んでたから本気で捜索してるのよ」


 カジュラの所に向かったのかな?


「そっか、死神も大変だね。第五フィールドは世界樹も無くなったから、アンデッドの場所にするんだ。あのくらいの影った環境がベストだって言われたよ」


「そうなのね。アンデッドは悪神に操られやすいから何か手を打たないとダメね〜」


 薄らと暗い感じがいいらしい。でも、あの瘴気の影響で少し地獄よりのものが多いのでそれは改善する必要がある。もっと、純粋に闇の眷属としての力を持たせるなら、ポースの司令室みたいな闇の空間がベストだ。フィールドのどこかに闇の空間を作るつもりだ。瘴気を放っているので魔物も多いし、こんな毒まで出来る物が多い。


「メレディーナさんに薬の作り方の基本を聞いてくるよ」


「そうしろ。もうちょっと調べといてやる。魔力の回復薬なんてファンタジーゲームに必須だろう」


 僕はアストリューに戻った。神殿で薬関係の事を聞いたら、道具の説明からされた。基礎と言うからにはと分離と結合、融解融合に浸透その他色々な業を教えてもらって、道具一式を買って返ってきた。付け焼き刃な一週間での修行なのでまあ、その、ド素人だ。

 猛毒になったので手袋やらゴーグルに白衣まで用意して、せっせと作り直した。癒しを掛けるのは最後にして、かき混ぜるのは止めた方が良いとマシュさんにアドバイスされた。ツタの成分が滲み出すぐらいで沸騰させないくらいの温度に調整した。

 三日後にはツタのドロドロが底に沈み、青い液体が上に層を作るように出来ていた。慎重に青い部分だけを魔法で取り出して、不純物を分離させた。それを綺麗な小瓶に入れていく。最後に凝縮した癒しと回復の魔法を通すと、真っ青な燐光が輝き、怪しげな青い液体の一品が出来上がった。

 出来上がった物をマシュさんに見て貰うと、魔法回復薬の完成だった。やっぱり微毒で手足が痺れるみたいだ。まあ、死ぬよりは良いか。浄化の魔法を掛けたら普通の魔力回復薬にはならずに魔力減退薬になった。難しい……。

 その後、試行錯誤して魔力回復薬の(毒無し)が完成した。しかし、この上澄みだけしか使えないのは勿体無い。下の魔力回復薬の(弱毒)と(毒)、(猛毒)はダメなのかな? アンデッドの皆さんにでも聞いてみるか。


「あの〜、これってアンデッドの人にはきついですか?」


 僕は手近にいる『みかんなカフェ』で寛いでいるアンデッドのマミーな死神に聞いてみた。資料と一緒に最初に出来た魔力回復薬の(微毒)を見せた。


「ポーションか。人間には毒でも我々には……そうだな微毒なら大丈夫だろう。飲んでも良いのか?」


「はい」


 地獄型ダンジョン帰りだからかそのまま飲んでいた。


「これは良いな。活力が湧いてくる。この微毒が効いているのか? ……魔力と混ざっていい感じだ。ふむ、アンデッド協会に行って調べてみよう。これらを預かっても良いか?」


「あ、それならついでにこれも……」


 微毒から猛毒までの魔力回復薬と魔力減退薬に普通の魔力回復薬を渡した。


「アンデッド協会なんてあるんですね」


「知らなかったのか?」


「はい。ゴーストをやってますけど聞いた事が無かったです」


「そうは見えないが?」


「あ、今はホムンクルスに入っているので」


 言いながら僕は幽体になった。


「ほお、実体化しかけか。中々良い修行をしているようだ。ここの管理神にアンデッドの一員がいるというのは心強い。是非協力させてもらうよ」


 毒入りはミハイルさんに任せて、僕は魔力回復薬を宝箱に入れるようにする為にアイリージュデットさんとガリルに相談に行った。


「まあ、これを作られたのですか?」


「うん。どうかな? 一応ここの魔物で作ったから大丈夫と思うんだ。ここの世界以外ではまだ回復とは言えない微力だけど、宝箱には入れても大丈夫と思うんだ」


「そうですね。技術が上がれば自分達でも作れますし……魔物という事は瘴気の出が必要ですね?」


「うん。地獄型のダンジョンのフィールド内にも自生してるみたいで、随分多くいるみたいなんだ。というかこれが一番多く増えてる魔物みたいで、元々も少し魔力のある植物だったと思うんだ」


「ええ、あのように動くのではなく、小さな薄いオレンジの実を沢山付けて可愛らしい植物でした。それが魔物化したら実をつける事が無くなって、他の動物や植物を襲って栄養を吸い上げてしまうように……」


「そっか、元はそんな植物だったんだね」


 話し合いで地獄型のダンジョンが無くなるまでの限定で、魔力回復薬が作られるようになった。臭いのせいで誰もやりたがらないから僕の仕事になってるけど。まあ、良いだろう。ポーションはロマンだ!


 アンデッド協会から返答がきた。猛毒は薄めないとダメだけど、一部のアンデッドには活力剤、僕達的に言う回復効果がある事が分かった。魔力減退薬は魔力の暴走をしている者に良いんじゃないか? という解答だった。

 それで、アンデッド協会の代表と話し合いが行われた。作り方を聞かれたので教えたが、癒しと回復の力を使う事に驚いていた。


「癒しと回復を使えるアンデッドは少ないですからね。つまり我々用の回復薬が少ないのは事実。出来ましたらば作った物をお譲り願いたい」


 どうやら困っているみたいだ。


「誰も臭くて作りたがらないんだ。僕が趣味で作るくらいだし……量は少ないけど良いかな?」


「人員は派遣出来ます! 出来ましたら我々用にもっと開発をお願いしたいのですよ。こっちの専門家も入れますから、ここは共同開発にて提携等どうでしょうか?」


 手揉みしながら愛想笑いでアンデッド協会の交渉役のゴーストが聞いてきた。名前はスームブッドさんだ。


「まあ、そんなに言うなら……」


「それではこちらにサイン等……」


 ここぞとばかりに畳み掛けられた。


「そういうのはこっちも担当がいるから待ってね? 僕が勝手にやったら怒られるんだ。ご飯抜きなんだよ?」


「それは辛いですね。分かります。家も女房がよく稼ぎが悪いと……いえ、なんでもありません。では交渉役の方はどちらに?」


 スームブッドさんに少し待ってもらって、神界に戻った。浅井さんとマシュさんが一緒にいたのでアンデッドの協会に薬が売れそうだと話したら目の色が変わった。


「あの毒物が活力剤か?! ……成る程、共同研究ならこっちにも利益が出る。アンデッドのフィールド計画があるからそこの運営にも協力を要請しよう」


 マシュさんは新たにアンデッドの生体に興味を持ったみたいだった。


「そうですね、その用件を入れましょう。それに、アンデッドの薬としての収入が入れば外貨獲得ですからね。チャンスです! 良くやりました!」


 浅井さんもあの臭いを嫌がっていたが、これで少しは神界でやるのを認めてくれるかもしれない。


「レイも呼んだ方が良い?」


「もう呼んだ!」


 さすがマシュさん。やる事に無駄が無い。そして、話し合いが始まったがまあ、僕に理解出来る話は無かった。どういう取り分になったとかの最終を聞いただけだ。少しはポイント返済になるみたいだ。

 地獄型のダンジョン後に魔族の国を作っても良いのではと提案された。濃い瘴気の魔物の肉を食べても大丈夫な種属なのだとか。難民としてあちこちに流れているらしいので、受け入れをしたらどうかと言われた。

 既にアンデッドのフィールドが出来るのだからどうかという訳だ。彼らとアンデッドは仲がいいみたいで人間との棲み分けがある程度出来てるなら問題が無いとの事だ。魔物を狩って生活するスタイルのこことは相性がいいらしい。


「嫌だよ。下品なんだよ、彼らは!」


 レイは反対のようだ。


「確かに行儀作法は無いですが、陽気な種属も多いですし審査で下品な者を落とせば良いかと」


「引っ張るね?」


 レイは明らかに嫌がっている。


「まあその我々も彼らも似た境遇でして……なんとかしたいと思っているのですよ」


「今は無理だし、もうちょっとしてからにしてよ」


 そもそも解体を決めたばかりだ。そうなると新しいフィールド作りにも影響する。


「ええ、分かっております! 頭の隅にでも置いておいて下さい」


 スームブッドさんはそう言いながら帰っていった。薬に関しては実りある話が出来たか聞いてみたら、まずまずの手応えだったらしい。


「持ってきていた契約書はそんなに酷い内容じゃなかったからね、信用出来るよ。アキがゴーストだからだと思うね」


 レイが資料を見ながら満足げに微笑んでいた。


「そうだな、共同開発の話が進んだから問題ない。悪魔の巣にもなってたフィールドだ。今までのと違った物が出てきてる可能性が高い。冥界に溜まっている地獄の気を引き受けるなら、永久的に入ってくる収入になる」


 マシュさんは収入が入るならありだと思っているみたいだ。契約は必要事項が増えたのでやり直しだ。


「そういう事でしたら。さっきの魔族の話は受けても良いでしょうね。比較的おとなしめの種属なら引き受ければ良いかと」


 浅井さんも数字の上では受け入れを考えているみたいだ。


「そうもいかないだろう。結局は丸ごとになるに違いない」


 マシュさんは懐疑的な目で浅井さんを見た。


「確かにね」


 レイもそれに賛成みたいだ。浅井さんが首を傾げている。


「結束が強い種属だからそれをしたら嫌がるよ。……冥界とも縁のあるアキだから実現させれる話だよね」


 レイが話した内容に、成る程と納得した顔を見せた。レイは可能性としては認めているみたいだ。


「そうだな。少しは折れても良いと思うぞ?」


「ジュディの話も聞くよ」


「……そうだな、そっちの問題もあった」


 レイとマシュさん、浅井さんはアイリージュデットさんに話をしにいった。一つの選択肢としてだ。話し合いは長く掛かったが、僕が管理神でいる事が条件になった。

 アイリージュデットさんとガリルの話では僕がいる方が二人の関係が良いかららしい。まあ、ガリルはスフォラの子分的な感じだし、アイリージュデットさんは僕の連れてくる環境に満足しているみたいだ。確かに、僕の周りの人は優秀だ。

 どうやらここの管理神でいるのは決定らしい。名前だけでも最終的には良いのだそうだ。そう言われてもそんな訳に行かないのが神様だ。まあ、神様ポイントのマイナス数値は、天文学的な数字にふくれあがってるからどのみち返済は何百年単位だ。諦めよう。


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