#3,恋の好敵手は桜吹雪にて。
——『俺にしなよ、好きな人。』
——『そしたら、死なないから。』
「どういう…こと?」
「そのまんまの意味だよ。莉子ちゃん。」
◆
「ごめんねー、こんなところまで来させちゃって。遥斗と帰りたかったでしょ。」
「…。」
(じゃあ呼ぶなよ。)
璃月 玲緒。
この学年で、入学式に長蛇の告白の列を沸かせたことで有名な、目黒 蓮など今人気の俳優やアイドルを足して二で割った顔面国宝として、私が死ぬときも騒がせていたイケメン男子。
(そんな人がなんで校舎裏に…?)
本当の時間の時は、接点は遥斗と話していたときに数回話した程度。
しかも、時間が巻き戻ってからは話すことはおろか、目だって合っていない。
「私に何か用、ですか?」
「城華 莉子。君は、俗世間に言う《時間遡行者》だね?」
「時間遡行者…?」
一発目がコレかよっ!!
ていうか、時間遡行者ってナニ??
「困惑しても無理ないか。ユリアス、出てきて。」
(ユリアス…?)
「俺の飼っている鳥、ユリアスだよ。君から見れば、シマエナガってところだね。」
「鳥…。」
なんなんだ、このファンタジーみたいな世界…。
流石に喋らないよね?ユリアスって鳥…。
「ヤア!」
(喋ったー!!!)
だめだもうこれ、フィクションの世界なんだ。
ああ、悪夢だコレ。
「ユリアス、驚いてるだろ。人間体で喋ってやれ。」
(人間体ぃ??)
なにいってんのよこいつら…。もう帰りたい〜…。
ーボンッ
「それもそうじゃな。すまなかった。童、いや莉子と呼ぼう。お主は、自分がどのようにこの時間に巻き戻ってきたかわかるか?」
「わからないけど…。」
「お主は、いわゆる『神様』というやつに助けられたのじゃ。」
「…じゃ?」
「ああ、すまない。このユリアスは、昔からの生きた化石のようなもので、語尾が少し特徴的なんだ。許してくれ。」
「は、はぁ…。」
シマエナガのユリアスに言われたのはこう。
時間遡行者というのは、文字通りの意味で、『未来から過去に行く』・『過去から未来に行く』ということで、私みたいな死を迎えたとき、時間遡行が起きること。
一度戻ったものは、来た時空には戻れず、淡々と過ごしていくこと。
死は確定しているもので、それに抗ったりは出来ず、本当の時間のときに死んだ場所、死んだ時間、全てが同じになったとき、また死が訪れ、今度こそは必ず死んでしまうこと。
「本当、なんだね。」
「ああ。」
◇
「だからさ、」
「俺にしなよ、好きな人。」
「え…?」
「そしたら、死なないから。」
「死なないって、どういうこと…!?」
「そのまんまの意味だよ。莉子ちゃん。」
「そのまんまの意味って…。」
「俺、いわゆる——時間遡行者保護杖代。俺らは、莉子ちゃんみたいなこの世に来て困惑して、『死にたくない。』『生きていたい』って思う人の味方をするんだ。俺らと一つになれば、神様だって許してくれる。」
「死を、回避できるってこと、?」
「そういうこと。」
だったら…。
ううん、だめだよ、莉子。
「そうなんだね、でもごめん!玲緒くん。私っ、遥斗以外の人とは付き合えません!」
そういって私は校舎裏から出ていく。
「言っておけば良かったかな。遥斗とは付き合える運命にない、ってことを。」
「それも逆らっていくのが彼女じゃろう。神様もきっと許すはずじゃよ。」
「だね、ユリアス。」
◇
「昨日はどうなるかと思った〜…。」
でも、一つになるって…。
もしかしてそういうこと!?
「逆に嫌だよ〜…。」
「なーにが嫌なんだよ。」
「遥斗っ!!」
「お前、昨日玲緒と別れてから連絡寄越さなかっただろ。ずっと待ってたんだけど?」
「え"っ"まじ!?ごめん〜!」
「セブンティーンアイス奢りで許す。」
「まだ春だよ?」
「春だろうが冬だろうが、アイス美味いのには変わりねぇ!!」
「前そんなこといって風邪引いてなかった?」
「…だーまーれー。」
私、この先どうなるかはわからない。
玲緒くんの言っていることが仮にも本当なんだとしたら、私は死んじゃう。
でも、それまでにいっぱい良い思い出作って、付き合うんだ!
「…城華 莉子。ふぅん、良い奴じゃん。アイツの初めて、俺が貰う。」
ファンタジー要素が多い一話になってしまいましたが楽しんでもらえましたでしょうか?
次回から新キャラ続々登場です!よろしくお願いします!!




