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第一話 ナツエ村の朝

 今日から勇者一行の荷物持ちを掲載させていただきます。趣味で書いていくので、定期的にとはいきませんが週に2、3回程度投稿して行こうと思います。よろしくお願いします。

 村人たちの朝は早く、通りはまだ薄暗いというのに仕事に向かう人たちの影がちらほらと見えるようになった。

 

 ここはナツエ村。近隣の王国周辺で唯一薬草の栽培に成功した村である。

 昔は狩猟や農作物で生計を立てる人が多かったが、ここ2、3年で薬草農場を営む農家も少しずつ増えてきた。


 薬草は回復薬や解毒薬の原料にもなり、冒険者やギルドなどからの発注もあり村の主な財源となっていた。


 とはいえ、まだそれだけでは足りない部分もあり食料など近くの山で採れた恵みに頼っている部分もあった。


 農場の近くを通ると、すでに薬草をとっている農夫たちが目に入った。

 

 農夫の中の1人が通りを歩いている俺を見かけるや作業を止め手を振って声をかけてきた。


「おはよう!アルマ。今から先生のところかい?」

 

 そう言いながら薬草の畝の間をかき分けながら大柄な青年が歩いてきた。

 麦わら棒を被り、頬は汗と朝露で少し濡れていた。きっと誰よりも早く農場に来て朝摘みをしていたのだろう。作業服なんてすでに泥で汚れていた。


「おはよう。昨日も徹夜だったみたいだし、少し手伝いにね。」



農夫はいつものことだ、と豪快に笑っている。


「ちょうど良かった。先生にこれを渡しておいてくれないか。」


そういうと、手に持っていたカゴを手渡してきた。


「薬草の新芽?こんなにたくさんどうしたんだ?」


 カゴの中にはとれたての新芽が大量に入っていた。青々とした葉がまだ朝露に濡れてキラキラと輝いている。

 葉脈も白くはっきりとしていて生命力を感じる。これだけでも十分な効果を発揮できるんじゃ無いだろうか。


「昨日、薬の材料に20束ほど薬草欲しいって言われてな。ついでに新芽だといいって。このあと持って行こうと思ったんだが…ちょうどお前が通ったんでな。ついでに持って行ってくれ。」


「なるほど、わかったよ。それにこの品質、さすが村一番の農夫と言っても過言じゃ無いな。ロベルト。」


「それも、先生とアルマのおかげさ。お前ら2人には感謝してもしきれないさ。」


 そう言われたロベルトは恥ずかしそうに汗と朝露で濡れた顎をかきながら言った。


 ロベルトはナツエ村の村長の息子だ。俺の二つ上で率先して農作業夫たちのまとめ役を買って出てくれている。

 よく自分は爺さんみたいに村を運営する能力はない、と言ってはいるが、誰でも彼に尊敬と信頼を置いている。


 かくいう俺も、ロベルトのことは幼馴染だし気を開けない仲だ。兄弟みたいに育ってきた。


 それに、村の中でも精悍な顔つきだ。農作業や狩猟にも参加していて筋肉質だし村の女性陣にもファンが多い。

 ロベルト目当てで農場に就職しようとする女性もいるくらいだ。農場の運営に一役買っている面もある。


 こんな好青年が農場長してるなら好感度も上がる。最初は嫌がってはいたがやってみれば集客率も良いし、リピーターも増えた。何事も適材適所、イメージ戦略とは大事なのだ。


「次の村長候補はロベルトで決まりだろうな。いつまでも独身じゃ爺さんも心配だろうしな。」


「やめろよ。俺はそんな柄じゃない。それに…」


 言いかけた時、俺の顔がニヤニヤしているのを見ると気恥ずかしそうに咳払いをする。


 まあ、ロベルトとは長い付き合いだし、コイツの好みなんて重々承知だ。


「良いのか?ほんとはお前が持っていきたいんだろ?」


 ニヤけた顔のままそう言うと、ロベルトから蹴りを喰らった。うるせぇ。さっさと行けと言わんばかりに。

 

 なんでこんなイケメンなのに恋愛になるとすぐにこうだ。堂々とすれば良いのに。と、蹴りを喰らった腰をさすりながらバツの悪い様子でアルマは笑った。 


「わるいわるい。持って行っておくよ。この後も忙しいんだろ?」


「まあな。先生によろしく伝えておいてくれ。」


 了解。と手振りで合図する。ロベルトも仕事としてこのあと害獣用の罠を見たり、会議に出たりと忙しいんだ。


「今日は王都まで商品を卸しに行くんだろ?気をつけてな。帰ったら一杯飲もうぜ。」


 そういうと、ロベルトは後ろ手に手を振りながら作業へと戻っていく。


「ああ、いつもの店でな。」


 俺もそう返事をして

 そうして、薬草の入ったカゴを持ち俺は村に一つある診療所へと向かった。






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