表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/141

東へ

「すまないが今日も出発だ」


まだ降り止まない雨の中出発の準備を進める

昨夜貰った小麦粉を練り魔物の燻製と玉葱のスライスを無発酵パンで巻いて焼いた物を食べる


他の人達には燻製を使った玉葱のスープにパン生地を渡しておく

パン生地は棒か何かに巻き付けて直火で焼いて食べるようにと説明した

パンは生焼けだとお腹が痛くなるから気を付けるようにと言い聞かせ見本を1本焼いて食べさせた

見た目と触った感触で焼き加減をみるようにと料理番にも教えたので大丈夫だろう


しかし


棒パンも知らないとは・・・

どんな食文化なのだろう?


パンは堅焼きの黒パンか無発酵の薄いパンが主流のようだが町の方では違うことを期待する


「相変わらずの雨だね」


「昨日より雲が薄いから午後から止むことを祈るよ」


カッコカッコカコッカッコッ

カコッカッコカッコカッコ


「雨は何だけど平和だねぇ」


「ホント」


「雨降りは魔物もあまり出ないしこんなもんだよ」

「雲が薄くなってきたな」


「向こうの方明るくない?」


「ホントだ」


延々と街道を進む馬車の上で何もなければ眠くなってきた

それもこれもクッションのお陰だろうでなければ今頃陰鬱な気分になっていた筈だ


「しかしこのクッション凄いな」

「あんなに痛かった腰がだいぶ楽になってる」


「これが売りに出ればもっと良いものが出来るんじゃないかな?」

「間に合わせでこれだけ効果あるんだし」


「違いねぇ」

「コレだけで一財産出来るんじゃないか?」


「かもねー」

「だとしたらドリーの荷馬車に感謝だねw」


「あっはっはw」

「そん時は新しいクッションくれよなw」


「そうねw」


雨はその勢いを弱めていき空は次第に明るくなる


「あ」

「虹だ」


シンシアの指す方を見ると見事な虹がかかっていた


「もう少ししたら林がある」

「その手前で休憩する」


「りょうかーい」


ドリーは林から少し離れた所に馬車を停め馬に草を食べさせる

少し長めに休憩をとっていた


「この林を抜けると湖があってその畔に小屋がある」

「この前の事があるから安全とは限らない」


「あの魚が出たら美味しくいただきましょう」


「あははw」

「頼もしいな」

「そん時は頼むよ」


疎らな林を抜けると湖が見えてきた

その畔に大きな木の壁がある

アレが今回の旅人の小屋だろう


「シンシア」

「狼とはちょっと違うみたい」


「ゴブリンとも違う気がするわね」


「どうした?」


「ドリーちょっと急いだ方が良いかも」


「わかった」

「ハッ!!」


馬に鞭を入れて加速する馬車

いくらも進まない内に追走する影が見える


「迫ってくるって事は襲う気だね」


「1匹だけみたいね」

「ドリーあの少し開けた所で止めて」


「あいよっ!!」


木々が疎らなので見えて入るが小屋まで少し距離がある

手前の開けた場所があるのでそこで迎撃することにした


「んーーー」

「アレ何だろう?」


「思ったより大きいわね」

「でも熊は出ない筈なんだけど」


「熊は嫌だな」


離れた場所を追ってきていた影がグングン近付いてくる


「ドリー!!」

「あっちの方が速い!!」

「減速したら飛び降りる!!」

「シンシアは残って警戒にあたって!!」


「わかった!!」

「了解!!」


広場の手前で減速し始めた

雨避けのマントを脱ぎ頃合いを見計らって飛び降りる


ガサササササササッ

ガササッ


私が飛び降りたので警戒しているのか直ぐには襲ってこない


ヴォッフ

ブォ

ブモッフ


たぶん豚だなこれ

大きさからして大型の猪かも?

なら今夜は猪鍋かな♪


腰を落とし居合で斬りかかるべく敵を伺う


ブォ!!


鼻息荒く飛び出してきたのは予想だにしない姿だった


ー・ー


「なんじゃこりゃぁーーー!!」


あまりの姿に思わず躱してしまう

今しがた私の居た場所を通りすぎたのは猪と呼べなくもないが異質な魔物だっ


全体的なフォルムは猪のソレだが体毛は無く全身を穿山甲のような灰色の鱗が覆っている

体高は1m強で全長は2m前後


猪と比べても大物だ


「コレちょっと・・・」

「顔のグロさもだけど突進が速いね」


猪らしい豚鼻に下から突き上げる大きく鋭い2本の牙

大きく割けた口には鮫のような歯が並び雑食と言うより肉食の近いのだろうと推測できる


「グォ!!」


「ハァアイッ!!」


奇妙な猪の突進に合わせ後ろ回し蹴りを叩き込む

狙いは寸分違わず猪の側頭部を撃ち抜き猪はもんどりうって倒れ込んだ


「ブギィイイイ!!」


すかさず追い討ちをかけ喉元に剣を突き立てる


「硬い!!」


突撃で半分まで突き刺さった剣を離し鍔に回し蹴りを放つ


「ブゴォウッ」

「ゴッゴブッ」


暫くのたうっていたが次第に動きが痙攣に変わりやがて動かなくなった


「けっこう硬かったな」

「んっ」

「んんっっ!!」

「抜けないじゃん」


深く刺さった剣が抜けないので猪を仰向けにして踏ん張りながら引き抜く


「剣に欠けは無いな」


剣を振って血糊を飛ばすと鞘へと戻す

短曲刀を腹に突き立てるが鱗で刃が滑ってしまう


「あらまぁ刃が立たないか」

「でも逆に良い鎧になりそうね」


背側の大きな鱗と腹側の小さな鱗の境目に刃を入れる

予想通りすんなり刃が入りそのまま腹の皮を剥ぐ


「コイツけっこうお腹に筋肉付いてるじゃない」


筋肉の筋を分けて内蔵を取り出す


「魔石があったって事はコイツ魔物なんだ」


心臓が立派なので収納魔法でとっておく

肝臓も大きく色も綺麗なのでこれも収納

後の内蔵は投げ捨てた


「うわっ!!」

「コイツを仕留めたのか?!」


仕留めたのを確認してドリーが戻ってきた

ドリーの反応からすればコレはかなりの難敵のようだ


「コイツは鎧猪(アーマードボア)だ」

「コイツのせいで毎年死人が出るほど危険な魔物で熟練者が討伐パーティーを組むぐらい危険な筈なんだがな・・・」

「アンタにかかれば瞬殺かよw」


「確かに手強い魔物だったわね」

「普通の剣だと刃が立たないわ」


「瞬殺した人に言われても説得力無いなぁ」


「言えてる」

「驚異的な魔物のはずが最早食材にしか見えないんだがw」


「食べて美味しくてもコイツを狩ろうだなんて思わない方が身のためよw」


「その通りだな」


3人で協力して馬車に載せると小屋へと向かった


ー・ー


「先客がいるようね」


「扉が閉まってるな」

「開けて貰おうか」


手前で馬車を止めドリーが下りて扉を叩く


「おーい」

「開けてくれー」


ゴンゴンッ


「おーい」


慌ただしく近付く気配に中の緊張が伝わってくる


ギィィーーーーー


「早くっ!!」

「アイツが来る前に中に入って!!」


なんか物々しいな・・・


ドリーが悠然と馬車を中へと入れる


「急げって!!」

「ヤツが来たら全滅だぞ!!」


両サイドに並んだ戦士達は所々に包帯を巻いている

よほどひどい目にあったのだろう・・・


カッコカッコカッコ

コカッカッコカッ


「うわぁあああああ!!」

「でっ出たっ!!」

「クソッ!!」


「んあっ?!」

「えっ???」

「うそ・・・」


警戒していた戦士達が馬車が通りすぎるにつれ肩の力が抜けていくのがわかる


「おーい」

「もう閉めても大丈夫だよー」


「えっ?」

「あっ!!」

「ハイッ!!!」


声の裏返った青年がロープを引いて扉を閉める

ドリーは馬から荷台を外すとそのまま馬屋へと向かった


「手伝ってくれたら晩御飯ご馳走するけど誰か手伝ってくださらない?」


私は荷台の上で腰に手を当て呼び掛けた


「これ・・・」

「貴女達が倒したの?」


「馬鹿言え!」

「3人で倒せるわけ無いだろ?!」


「もしかしたら3人残して全滅したのかも・・・」


「ねぇどうなの?」

「手伝ってくれるの?くれないの?」


グダグダと話し合っている若者達に一喝するシンシア


「あっ!」

「はいっ手伝います!」

「クリムト!ジンツァー手伝ってくれ!」


リーダーらしき青年の指示に2人の青年が従う

鎧猪を見る目は恐怖と憎しみの混ざったような複雑な印象だ


彼等は6人パーティーの冒険者でノッキングヒルの向かう途中だったらしい

それがこの林の中で鎧猪に遭遇し成す術無く蹂躙されてなんとかこの小屋へと逃げ込んだらしい


「俺はこのパーティーのリーダー」

「リンツだよろしく頼む」

「こっちは楯役のクリムトでこのジンツァーと俺と3人で前衛をやってる」


リンツは身長170㎝くらいの金髪で細身だが筋肉質の好青年である

クリムトはがっしりしたマッチョタイプで身長はリンツより少し低い栗毛で無骨な感じがする

ジンツァーはリンツと同じくらいの身長で短く刈り込んだ金髪の持ち主体格も2人の中間ぐらいの中肉中背と言った感じか


「この鎧猪も本来ならこの辺りには出ない筈なんだけどなぁ・・・」

「やっぱり火龍が出たのかな?」


「詳しくはまだ調査中らしいですがその予兆らしきものが有るとかで今ノッキングヒルにギルドから召集がかかってます」


「そうだったんだ」

「アタシ達はノッキングヒルから来たけど出立する時はまだそんな話にはなってなかったな」


「ところで・・・・・」

「コイツはアンタらが倒したのか?」

「犠牲者は?」


「あぁ・・・」

「私達の馬車を追ってきたから返り討ちにしたのよ」

「犠牲者はゼロ」

「それでコイツは今日の晩御飯」


シンシアが事も無げに言うと全員が目を丸くしていた


「ほっ本当に倒したのか?」

「信じられない」


「目の前の有るんだから倒したに決まってるじゃない」

「失礼ね」


燻製室の隣の解体場へと持っていきロープで後足を括って吊るす


「流石に重いわね」


解体場の梁がミシミシと音をたてるが折れはしないだろう

手早く腹側の皮を剥ぎ取り外側の皮にとりかかる


「やっぱり鱗が硬いわね・・・」


それでも上手く剥ぎ取り先に燻製室へと吊るす


「薪はある?」

「ちょっと心許ないか・・・」

「シンシア!薪取ってくるから解体の続きお願い」


「短曲刀置いといてー」


「ここ置いとくね」

「じゃあお願い」

「クリムト君だっけ?手伝って」


「わかった」


このクリムトと言う青年は比較的傷が少ない

楯役らしく傷は打撲が多いようだ

もう一人のジンツァーは右手を負傷していたので今回はパス


2人で外に出るとクリムトは警戒し始める


「そんなに気負っても疲れるだけよ?」


「いや、鎧猪の仲間がいないかと思ってね」

「警戒するに超したことはないだろう?」


「そう?」

「でもこの辺りには魔物の気配無いわよw」


周囲を見回して手頃な木がないか見て回る

同時に木にマーキングが無いかも調べて回る


「この低い位置の傷はあの鎧猪が付けたみたいね」

「縄張り意識が強い魔物みたいだから仲間はたぶんいないかな」


「そうなのか?」


「縄張り意識で襲ってきたならこの近くに他の雄はいない確率が高いかな」

「どの傷も新しい」

「最近この辺りに住み着いたのね」


手頃な木を見つけたのでクリムトを手で制し居合の構えをとる


「何をするんだ?」


ヒュカッ!!


居合から連続で放たれた斬撃は容易く木を斬り倒す


ドズンッ

バリバリバリズシンッ!!


居合からの逆袈裟で斬られた木は斜めの切り口に沿って地面に落ちるとそのまま倒れた


ヒュカッカッコッカッ


続けて振った剣は木を適当な長さに切り分ける


「どっどんな筋力してるんだよ・・・」


驚くクリムトを尻目に要らない枝を払っていく


「クリムト」

「ちょっと警戒した方が良いかな」


「えっ?」


「ブギィィイー!!」


藪から飛び出たソレは普通の猪だった

私ではなくクリムトに向かって突進するがクリムトは自慢の楯を置いてきているので腰に下げた剣しか装備は無い


「お前の相手はこっちよ!!」


ガゴッ!!


上段から振り下ろされた右回し蹴りが猪の頭に直撃して突進を止めた

続けて放った左の浴びせ蹴りは猪の額を捉えて打ち砕く


「今は食料間に合ってるんだけどな・・・」


とは言え蹴り殺してしまったのにそのまま放置するわけにはいかない

剣で素早く腹を開き内臓を捨て去る


「予定よりも大荷物になっちゃったわね」


持ってきたロープで切った丸太を格子状に組み猪を固定する

その両端を私とクリムトで担ぎ小屋まで引き摺って帰った


「ただいまー」


「・・・・・・・・」

「狩りはもういいって・・・・・」


「襲われたんだから仕方無いじゃない」


鎧猪は既に解体が終わっており燻製室の入れる前のハーブ待ちである

クリムトに薪割りを任せるとハーブを調合してブーケを作り塩や磨り潰したハーブを塗り込んでいく


猪なので変わったことはせず臭み取りだけに集中する


「シンシア・・・」

「ちょっと」


「なに?」


「生活魔法に乾燥ってあるの?」


「あったと思うけどレアだからね・・・」

「使っても問題はないんじゃない?」


「わかった」


クリムトに薪を作って貰う間に猪を解体し

薪を使う分だけ乾燥魔法をかける

残る薪はリンツに頼んで薪置場に片付けてもらい燻製室に火を入れる


「今夜は鎧猪の方を食べようか」

「こうやって比べたら鎧猪は普通の猪より脂のってるわね」


「本当だわ」

「皮下脂肪が分厚いわ」


「触った感じ弾力は同じくらいかな?」

「大きいせいか全体的に肉厚な感じがする」


「近くに鎧猪がいたのに普通の猪はちょっと痩せてる感じしないわね」


「アレかな?」

「ひょっとして雌だから鎧猪と仲良かったのかも?」


「混血するのかな?」


「どうなんだろ?」


今回はマトモな野菜類が無いので鎧猪だけのスープになる

ちょっともの寂しいが仕形がない

近くの茸や根野菜等はこの猪達に食べられたのだろう

木を切るときに見た限りでは見当たらなかった


その夜は何事もなく更けて行きそのまま朝を迎えた


ー・ー


「おはよー」

「昨日の鎧猪は美味しかったね」


「朝御飯にも使おうか」

「リンツ達はどうするの?」


「俺達は仲間が脚を負傷しているから動けないな」

「このままノッキングヒルに向かっても役にたてそうにないから戻るのも手だとは思ってる」


「そうなんだ」

「ドリー?」


「言いたいことはわかってるよ」

「護衛代と乗り合い代の相殺でいいなら町まで乗せていっても構わない」

「馬の負担は増えるが今日の夕方には町につくからな」


「それはありがたい」

「よろしく頼む」


「礼ならお嬢さん達に言ってくれ」

「彼女達のお陰で危険は回避できてるし旨いご飯にもありつけてるからなw」


「じゃあ支度して」

「クリムト」

「装備整えて庭に来なさい」


「え?俺?」


「お前なんかしたのか?」

「装備整えるってまるで決闘だぜ?」


「おっ俺」

「何もした覚えないよ・・・」


10分程でクリムトは出てきて他の連中も見物に出てきた

私はクリムトに木刀に見立てた棒を投げて渡すと自らも棒を構えた


「良い?」

「味方が重症を負うのは楯役の恥よ」


「うっっ」

「わっわかってるよ」


「なら来なさい」


楯を構えて防御姿勢をとる


「クソッ!!」

「いやぁ!!」


カンッ!


「甘いっ!!」


楯に這わせるように軌道を逸らすとそのまま勢いを殺さず楯を突き出す


ガンッ!!


鋭い突きはクリムトの楯を打ち体勢を崩してしまう


カコンッ


隙を突いた下からの切り上げは見事に命中する


「次っ!!」


同じように楯を構える


「やあっ!!」


今度はクリムトから仕掛けてきた楯突撃(シールドチャージ)


「フッ!!」


ガインッ!!


私の放った右回し蹴りは突撃の軌道を逸らしクリムトはたたらを踏んでしまう


「ハッ!!」


ガゴンッ!!


そこにすかさず楯による裏拳が入りクリムトはたまらず膝をつく


「うがっ!!」


「次っ!!」


楯は構えたものの打つ手がなくなり立ち尽くすクリムトに一気に間合いを詰め容赦無く楯の一撃をお見舞いする


ゴンッ!!


「アグッ!!」


ハンマーのように打ち下ろされた私の楯の一撃を受け止めるのに精一杯でクリムトは反撃することが出来ない


「少しは何か掴めた?」


「防ぐだけで精一杯で掴むどころじゃなかった・・・」

「俺・・・」

「楯役向いてないのかな・・・」


「何言ってんのよ」

「今のは上級者向けの技なんだけど?」

「特に混戦になった時に楯や打撃を効果的に使えないと戦力不足に陥るでしょ?」

「楯役は守るだけじゃなくて攻撃も出来なきゃ」


「そっ・・・」

「そうなんですか」


突撃(チャージ)は隙が大きいからね」

「確実にノックバックさせたいとき以外はダメよ」

「貴方のような大楯なら他の使い方も考えてみなさいな」

「体格に恵まれてるんだから頑張りなさい」


それだけ言い残し出発の準備を進める


「ドリーごめんね、待たせたわね」


「若いのは世話が焼けるなw」


「他の子達の怪我が気になってね」

「護るのに必死なんだろうけど・・・」

「それとね」

「あのパーティーは打撃系いないでしょ?」

「だから鎧猪みたいに斬撃の効果が薄い相手には楯で打たないと全滅することもあるからね・・・」


「すまん」

「楯役が積極的に攻撃するものなのか?」


「楯役は相手の注意を引いて驚異だと感じさせないといけないんだよね」

「だから積極的に相手が嫌がる攻撃をやる必要はあるのよね」


「そうなのか」

「てっきり攻撃を受け止めるだけだと思った」


「そうね」

「相手の攻撃に割って入って庇うのは基本かな」

「でもそれだけじゃなくて横槍も入れないといけないし一気に間合いを詰める必要もある」

「その時に楯突撃(シールドチャージ)一卓だと弱いよね」

「だから私なら足技を使うし逸らし(パリィ)も使う」

「楯役が不器用だとパーティーも不器用になっちゃうものよ」

「楯役が大楯を持たなきゃいけないなんて事もない」

「何なら腕鎧(ヴァンブレイス)とか小手(ガントレット)だけでも出来るからね」


「楯役も大変だな」


「パーティーの生命線なんだから大変だよ」

「楯役だから脚が遅いとか火力無いとかは言い訳だわ」

「攻撃して護れるのが楯役の上級者ってものよ」


ドリーとの会話も含めてクリムトへのアドバイスだったのだが・・・


それから道中の休憩時間は戦闘訓練に費やす事になった

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ