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二つ目の町へ〈ヴァルムート〉

ガンッ

ゴンッガンッ

ゴギンッ


「防げるようになってきたね」


「でもっ」

「まだっ」

「反撃する余裕無いですっ」


「初日でこれだけ防げたら上出来でしょ」

「休んだらアタシの楯と交換して」


私の楯は左手に嵌めるタイプの中型の楯でホームベースのようなオーソドックスな形をしている


対してクリムトの楯は上半身を丸ごと覆える長方型の大楯である


クリムトはこの大楯を縦になるように構えて戦うわけで一般的な重戦士スタイルだ

私もそれに習って構える

やはり大きくて重い


「さぁ始めましょうか」


いつもより小さな楯に不安気な表情のクリムトだったがそれでも初めから大楯を使っていたわけではないのだろう

以前の戦い方を思い出すかのように木刀を打ち込んでくる


ガンッゴンッガンッ

シュラッ!!


3連続の斬り込みの内2発を楯で受け止め最後の一撃を受けた瞬間後方へいなす

ソコにカウンターで楯撃(シールドバッシュ)を放つとクリムトは弾き翔ばされ後ろに転げてしまう


気を取り直して突撃してくるクリムトに対し右膝をついて楯を地面につき中に隠れるようにして受け止める


ガッゴッ!!


クリムトの攻撃が当たった瞬間勢い良く身体を押し出しカウンターで弾き返す


「うわっとっとっ!!」


危うく弾き飛ばされそうになるのを堪えはしたものの大きく体勢を崩してしまうクリムト

流れるように楯を上へと振り上げその遠心力を乗せて木刀を切り上げる


ガゴンッ!


クリムトは辛うじて楯で受け止めた


「イヤッ!!」


私は木刀が楯に当たった瞬間手首を返し木刀を滑らせ振り抜くとその勢いを乗せたまま前掃腿でクリムトの足を払った


「アイタッ!!」


たまらず後ろへ転けたクリムトに追い討ちで楯を振り下ろす


ガゴンッ!


わざと狙いは外したが頭の間近に突きたった楯の威力に十分胆を冷やしたのだろうクリムトの表情は強張っていた


「いっ今の蹴りは?」

「見たこと無い蹴りだった」

「足払いなのか?」


「攻撃の遠心力をそのまま足払いに変えるのよ」

「こんな風にね」


ヒュンフォッ!

ヒュンヒュンフシュッ!


初めは横薙ぎをからの前掃腿を見せ次に楯の振り上げから剣撃を経ての前掃腿を見せた


「独楽みたい・・・」


ギャラリーからの声が上がる


次に楯を横に構えると受ける動作からの楯突きや楯突撃(シールドチャージ)からの派生攻撃の見本をやって見せる


「なんだか楯役じゃないみたい」


楯役は楯役(タンク)と呼ばれるわけだが戦車(タンク)も同じタンクだ

元々は歩兵支援が目的だった戦車を元にそう呼ばれるのだろうが本来戦車とは歩兵を蹂躙するものだ

単に攻撃を防ぐだけでは勿体無い

攻撃に耐え得る筋力は攻撃にも特化出来るはずなのだから


「真っ向から受け止めるだけなら鎧猪みたいに大きな魔物相手は限界あるよね」

「だからいなしたりカウンター入れたりするのも楯役の仕事なんじゃないかな?」

「それと」

「リンツのパーティーは攻撃方法が偏ってる」

「斬撃と支援だけだと重装甲相手には全滅しかねないよ?」

「楯は打撃も出来るんだから重装甲相手には積極的に攻撃しないとね」


最後の言葉には実感が有るのだろう

全員が俯いて頷いていた


ー・ー


「クリムトとの稽古はランチ前の運動にちょうど良いわ♪」


「お役に立てて光栄です」


「あら?」

「そんな皮肉はどうかと思うなぁw」


「俺的には全力でかかってるのに食事前の軽い運動って言われるのも傷つきますよ・・・」


「じゃぁ食後は本気で打ち込んでみようか?」


「死人が出るから止めようね?」


本気で言ったわけではないのだがシンシアが割って入る


「クリムトも手加減して貰ってるとは言え鎧猪を2発で仕留めるような化け物相手に良くやってるわよ」


「2発っ?!」


流石に全員が色めき立つ


「この旅で出会った獲物は全部一発か二発で瞬殺なんだもの」

「お陰で私の出る幕無しよ」

「アリエル1人いたら大概の魔物は単なる食材ね」


「ははは」

「確かにそうだ」

「本来なら魚人も鎧猪も全滅しててもおかしくない魔物だからな」

「でも両方とも旨かったよな・・・w」


「これからのドリーが心配だわ」

「強敵も食材にしか見えないかもね」


リンツのパーティーはクリムトが中央で敵を引き付け両サイドからリンツとジンツァーが剣で攻撃するスタイル

後衛は女子3人

軽装歩兵のリリーは短髪の栗毛で活発な印象の女性だ短槍を使う

索敵等を担当するレンジャーのマリシアは肩甲骨ぐらいまで伸ばした金髪をポニーテールで纏めていて弓を得意としている寡黙でストイックな感じがする

ヒーラーのレティシアは簡単な回復魔法と生活魔法担当の非戦闘員

長い黒髪が目を引く可愛らしいタイプの女の子だ


今回鎧猪戦でレティシアは左手を負傷しマリシアが足の骨を折ってしまった

レティシアの回復魔法では骨折は治せないので庇いながら小屋まで逃げ延びたのだとか


回復魔法も万能ではなく骨折や深い傷は治せないらしい

傷は塞げるが無理をすれば容易く傷口は開いてしまうと言うことだ


食事を終え片付けていると声をかけられた


「俺も一手頼めるだろうか?」


見ると武装したリンツが立っている

クリムトと違って中型の円形楯(ラウンドシールド)を装備している

クリムトがロングソードなのに対して幅広の長剣(ブロードソード)を腰に差していた


「いいよ」

「ブロードソードか」

「木刀だと物足りないかな?」


「大丈夫ですよ」


リンツは楯を構えると半身になり剣を斜め後ろに構えた


うん?

もしかして正規の訓練受けてるんじゃあ・・・


こちらが構える前に打ち込んでくるリンツ


ガンカカンッカッコッ!


リンツの素早い連撃に半歩下がる


「ハァッ!!」


すかさず踏み込んで来るリンツ

しかし踏み込んだ分大振りとなり隙が見えた


シャオッ!

ガゴンッ!


リンツを木刀を楯で滑らせ楯を突きだしカウンターを入れる

この技は見せているので防がれるのは想定済み


フシュッ


楯が当たった瞬間身体を沈め前掃腿を仕掛けるがリンツも読んでいたようで身体を後ろにスイッチさせて躱す



前掃腿を振り抜かずリンツの前で着地させ軸となっている右足を踏ん張る


ガインッ!

カシン!!


下から楯を突き上げリンツの楯を上へと弾くとその隙に木刀を左脇腹に叩き込む


「うぐっ!!」


鎧の上からでも脇腹は痛い

痛みに耐えながらリンツは構え直した


「もう1本お願いします」


フッ!!


今度はこちらから仕掛ける

連続で3回斬りかかるがマトモに打ち合おうとせずパリィされた


続いて2回斬り付け回転しながら楯を振り下ろす


ガゴッ!


防御した楯ごと打ちすえられ片膝をつくリンツ

勢いそのまま斬りかかるとお返しとばかりに下から楯を突き上げてきた


ゴンゴンゴン!!


楯めがけ連続で剣を握る拳と楯を使って殴り付ける

体勢は崩すが今度は隙が無い


仕方無く楯に押し出すような前蹴りを放つとその反動を利用して間合いを取る


「なかなかやるじゃない」


「褒められたと思って良いのかな?」


「まぁねw」


間違い無い

おそらくリンツはどこかで正規の訓練を受けている

体幹が強く反応も良い

クリムトとの訓練を見て戦い方を組み立てていたのだろう


構えを解いて自然体で歩み寄る


「ハッ!」


クリムトが放った上段からの袈裟斬りを巻き取るように木刀を翻し上へと跳ね上げる


「うわっ!!」


あまりの勢いに剣を飛ばされたリンツの眼前には私の木刀が突きつけられていた


ー・ー


リンツとの手合いを終えて再び馬車に揺られること3時間

林を抜けると大きな石の壁が見えてきた


「あれがヴァルムートだ」


ノッキングヒルに比べても大きな町で防壁の周りには麦畑が広がりその農耕地帯を囲うように頑丈そうな柵が巡らされていた


「ノッキングヒルより立派ねぇ」


「ノッキングヒルは俺が子供の頃はまだ村だった」

「それが街道が整備されリグル商会が出来て町になったのはこの20年の事だ」


「まだ日が浅いから木の防壁だったわけか」


「そう言うこった」

「まだ穀倉地帯も整備終わってないし開拓中の所もある」

「発展途上だからこそ俺みたいなヤツが近隣の町から出向いて商売が出来るのさ」


町の入り口でリンツ達と別れた


この町は大きく2つのエリアの分かれている

町中にある第一防壁の中と外だ


「ヴァルムートの第一防壁の中は領主の館を含む高級住宅街で第一防壁と第二防壁の間の町が一般市民の暮らす町なんだ」

「俺の家もソコにある」

「この町は第二防壁の外にまだ町が出来ていない中規模の町なんだ」


「これで中規模なの?」


門を入ると正面と左右に大きな通りがある

ノッキングヒルと同じように馬車の使う道は町並みの裏手に有るのだろう

ノッキングヒルと違うところはヴァルムートには駐留する騎士団がいて多くの兵士達もその通りを使っている事だ


「あれは?」


「パトロールの傭兵隊だな」

「各ギルド合同で定期的に周辺のパトロールを依頼するんだ」

「ヴァルムートはこの辺りでは大きい町だから周辺の村からの供給で成り立ってるところがある」

「普通の冒険者だと近くにダンジョンの無い村にはあまり行かないから魔物やら害獣の駆除なんかもやってる」

「他にも新しいダンジョンの発生報告とかエリア外の魔物の出現報告とか・・・」

「偵察も兼ねてるわけだが攻略後に報告したって構わないから当たれば美味しい仕事だ」

「ヒーラーや行商人が薬を売ったり薬草を仕入れたりも出来るから駆け出しの冒険者は多いかな」


「そうなんだ」


旅人はあまりいないと聞いていたが定期的に巡回している人達はいるのか

もしかしたらこのシステムを考えた人もそれを運営しているヴァルムートの領主も転生者なのかもしれない


もしそうだとしたらとんでもない数の人達が召喚されてきたのかもしれない

けれど科学文明が発達していないところを見るとそれ程多くないのか?

それとも意図的に学者や技術者は避けているのだろうか?


「アリエル」


「なあに?」


「思い詰めたような顔してるけどひょっとして・・・」

「晩御飯の心配かしら?」


「え?」


「あっはっはっw」

「流石アリエルさんだな」

「町に来て物怖じするどころか晩御飯の心配かw」

「俺の行き付けは〈マールの匙亭〉だがアンタ等ならもっと中心地に近い〈エルフの泉亭〉の方が良いだろう」

「値は張るけどな」

「よし着いたぞ」


店の裏側と思われる庭へと入っていく馬車を2人の青年が出迎えてくれた


「お帰りなさいドリーさん」

「そちらの方は?」


私たちを見ていぶかしむ2人

無理もないだろう

護衛任務はギルドを仲介するから報酬はギルドで受けとるから護衛が店まで来ることは無い

それが面識の無い2人の女を連れて帰ったのだから


「裏からで悪いが店にまわってくれ」

「報酬を用意するから」

「お前達馬車の手入れを頼む」

「今回はだいぶ無理させたからな」


そう言いながら馬を荷台から解き放ち手綱を若者に預け先導して店へと入って行く


「俺の店は主に酒を取り扱っている」

「だから2人にはワインぐらいしか振る舞えないんだ」

「悪いな」

「報酬を用意する間コレでも飲んでてくれ」


木のカップに注がれた白ワインを差し出すと再び奥へ入く

暫くして再び現れた時には小さな麻の袋を2つ手にしていた


「今回の報酬だ」


手渡された小さな袋は思ったよりも重い


「少し多いんじゃないかな?」


「色々あったからな」

「お礼も込めて少し色をつけてある」


袋を開けずに問うシンシアにドリーが答えた


「そう言う事なら有り難く頂いておくね」

「ありがとう、楽しかったわ」


ドリーに別れを告げると表から店を後にした


綺麗に整備された区画を見るに戦争とは無縁なようだ

昔本で読んだが城塞都市や城は攻められた時の為に城門周りは特に複雑に作ってあるものだ

しかしヴァルムートにはそのような形跡は無く城門には落とし格子が有るものの他に防御策は施されていなかった


「平和な町みたいね」


「あら」

「町並みを見ただけで分かるの?」


「防御機構が城門や防壁だけで町には矢を射るような櫓も無ければ虎口も無い」

「真正面から真っ直ぐ大通りが伸びてて両脇にお店が軒を並べてる」

「戦争を経験した城塞都市ではちょっと無い作り方かな」


「アリエルは本当に色んな事を知ってるのね」

「私は長くこの世界に生きた経験で分かるけど転生してすぐそう言うところが分かるって凄いと思う」


「若い頃は本を読み漁ってたからね」

「でも実際に見た経験じゃないから頭でっかちなだけよ」


「とりあえずお店に行こうかしら」


シンシアの案内で中央へ向かって歩いて行く

ノッキングヒルも活気のある町だったがここヴァルムートは更に人が多く様々なお店が建ち並んでいた


「下町で化粧品が売ってるんだ」

「美容に気を遣えるって事は平和な上に生活水準が高いってことよね」


「・・・・・・・」

「なんかアリエルが怖くなってきた」

「マーケティングか何かやってたの?」

「まさか異世界は2回目とか?」


「縁があったからマーケティングは少し囓ったことあるかな」

「異世界に来たのは初めてだけど向こうでは宇宙人と変人とか言われてた気がする」


「ごめん」

「それ対処に困るわ」


「別に笑ってくれて構わないのよ?」

「中身は50歳手前のオッサンなんだし打たれ強く無かったらブラック企業に何年も勤められないわw」


「それも対処に困る内容ね」


「こっちではシンシアの方が歳上だから軽くあしらえると思ったんだけどなw」

「ごめんね」


「いや、まぁ、なんだ」

「まだちょっと距離感が分からないだけ」


「距離感とか言ってたら疲れるだけよ?」

「気楽に行きましょ」

「どうせこの世界だと一度離れたら次に会える保証なんて無いんでしょ?」

「一期一会なら楽しまなきゃ損だよ」


「アリエルってメンタルもタフよね」

「普通異世界転生したら魔物でも殺すこと躊躇うし解体も出来なかったりするのに」

「下手したらトラウマとかショックで外に出れなくなるのに」


「そう言うのは向こうにいた時から抜け落ちてるからね」

「リグルなんかは戦中世代だからそう言うのは慣れてたのかな?」


「どうなのかなぁ・・・」

「次に会えたら聞いてみると良いんじゃない?」

「でも山越えルートを走ったのならこの町には来てないと思う」


「中央に行くには遠回りなんだっけ?」


「徒歩だと1週間は遅くなるんだけど・・・」

「ドリーのお陰でだいぶ短縮できたから順調に行けば初めの予定ぐらいにはつけるかもね」


「そう言えば」

「リグルは護衛つけずに町を出た気がするんだけど?」


「ぁあw」

「護衛なんか要らないでしょ」

「昔一緒に旅したことあったけど凄かったんだから」

「それでもアリエルには敵わないかな」


「そんなに強いんだ」


「龍殺しだって聞いたから納得できるけどね」

「アレはもう人間の域を超えてるよ」


シンシアの話では〈英雄〉と呼ばれる人達がいる

彼等の多くは転生者でありこの世界の人達では到底到達出来ない程の高みに至るのだとか

その英雄達の中でも特出して強い7人の英雄を〈七英雄〉と呼び彼等は伝説となっている


その七英雄には及ばぬものの一騎当千の強者達として讃えられるのが〈十三英雄〉と呼ばれる者達だ

その十三英雄の一人が〈龍殺しのリグレット〉つまりリグルの事である


彼等英雄の数だけ魔王がいるとも言われるが真偽のほどは定かではない


「一応秘密なんだよね?」


「口外してないからそうなんだろうけど・・・」

「言ったところでたぶん誰も信じないかな」


「そんなものなの?」


「何百年も前の伝説だよ?」

「今でも男の子に人気の英雄譚だしね」


「既に大昔の真偽の定かでない伝説か・・・」


「そう言うこと」

「ただまぁ・・・」

「私の生まれた里ではちょっと違うかな」


「里って事はエルフの?」


「そう」

「私の親世代は助けられたり一緒に戦ったりした人達が多くてね」

「よく聞かされたものよ」

「まさかあんなしわくちゃマッチョなお爺ちゃんだなんて想像出来ないわよw」

「里に残ってる肖像画も石像も若い頃の姿だしね」


「そう言う繋がりでエルフの従業員雇えてるのかな?」


「たぶんそうね」

「でも同郷のエルフじゃないからあっちこっちで知り合いいるんでしょ」


リグルの話題はあまり好きではないらしい

長年仲良くしていたのに英雄だと打ち明けて貰えなかったのは僅かに凝りとなっているのだろう


「はいこれ」

「美味しいわよ」


つき出された串は湯気がたち美味しそうな香りを放っている

会話と考え事で周りを見ていなかったが所々に露店が出ている

シンシアはいつの間にか屋台で串焼きを買っていたらしい


「この香りは豚肉かな?」


「良く分かるわねw」


何かのタレに漬け込んでパン粉をまぶして串焼きにした物らしい

幾つかのハーブの香りの中に豚肉の脂が焼ける匂いが混じっている


「思ったよりボリュームあって美味しいわね」

「大蒜と唐辛子がエスニックな感じで食欲をそそるわ」


「でしょw」

「あっちの鳥も美味しいわよ」


「豚に鳥か・・・」

「ヴァルムートは大きいだけじゃなくてノッキングヒルよりも豊かなのね」


「露店でソコまで分かるんだ」


「そらそうよ」

「家畜は餌が要るし場所も必要だもの」

「露店で売れるだけ大量に飼育してるんだから相当な数が要るわけでしょ?」

「狼や(いたち)も驚異だし魔物だっているのに大量飼育が出きるって言うのはそれだけ町のレベルが高いってことじゃない?」


「もっともだけど」

「普通はソコまで考えないよ?」

「まるでスパイみたい」


「ふふふっ」

「スパイか・・・似たようなものかもね」

「そう言えば牛はいないの?」


「牛はね」

「ちょっとこの辺りではいないかな」


「中央ならいるの?」


「この世界にはあまり牛を育てる文化は無いかな」


「やっぱり餌の問題?」


「牛を育てるには広い場所と餌となる草が必要だからね」

「そんな広い場所で飼育してたらまず魔物がほっとかないわ」


「やっぱりそうなるか」


「豚もある程度大きな町じゃないと飼育してないわね」

「食肉の大半は冒険者や猟師が持ち込む野生の獣や魔物だからクエスト依頼が出ることもあるし猟専門の冒険者だっているの」


「そう言うところは異世界なんだなって思う」

「中世でも人工が増えるにしたがって狩猟から養殖になっていったものね」


「だからアリエルなら狩猟だけでも旅費には困らないと思う」

「誰か荷物持ちを雇わないといけないかもしれないけどねw」


「荷物持ち雇うくらいなら馬車にするわ」


レストランや屋台がたくさん出ているがそれらを支えているのは概ね狩猟なんだと言う事実はどこか不自然さを感じたのだった

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