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【2025年1月16日4巻発売】ちっちゃい使徒とでっかい犬はのんびり異世界を旅します  作者: えぞぎんぎつね
四章

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158 朝の散歩

 ミナトが目覚めると、窓の外は明るかった。


「……サラキア様、至高神様、コボルト神様、おはよ」


 ミナトは枕元の神像を、サラキアの鞄にしまうと周囲を見回す。

 いつ戻ってきたのか、アニエス達はみんなミナト達の近くで眠っていた。


「タロもおはよ。ルクス、ピッピ、フルフルもおはよ」

「ぁぅ」「りゃ」「ぴ」「ぴぎ」


 ミナトが体を起こしたときにタロとルクスも目を覚ました。

 ピッピとフルフルは先に目を覚まして、ミナト達を見つめていた。


「ふぅぅぅぅぅゎぁぁぁぁぁぁ」

「ゎぁぁぁぁぁぁぅぅぅ」

「りゃぁぁぁぁぁ」「ぴぃぃぃ」「ぴぎぃぃ」


 ミナトが伸びをするのと同時にタロとルクス、ピッピとフルフルも伸びをする。


「おはようです。ぅぅぅぅ!」「んにゃぁぁぁぁぁ」


 コリンとコトラも起きてきて、思いっきり伸びをした。


「おはよ、コリン、コトラ」「ぁぅ」


 タロはみんなを起こさないように、ずっと小声で吠えている。


「みんな寝てるですね」

「きっとよるおそくまで、会議してたんだよ」

「大人は大変です。眠らせてあげないとですね」

「そだね」「ゎぅゎぅ」


 ミナトとコリンはアニエス達を起こさないことにした。


 ミナト達は静かに部屋を出ると、日課の散歩へと向かう。


 旅をしているとき以外、ミナト達はなるべく毎朝、タロを散歩させているのだ。


「ぁぅぁぅ~」「んにゃ~」「りゃっりゃ」


 ミナトを先頭にして、海竜王の屋敷の歩いて行く。


「おはようございます。おでかけですか?」


 村の青年に尋ねられたので、ミナトは笑顔で返事をする。


「おはよ! うん! タロの散歩にいくの!」

「お気をつけて。朝ご飯の準備は整っていますので、いつでもおっしゃってください」

「ありがと!」


 ミナト達は海竜王の屋敷を出て、村の中を歩いて行く。


「やっぱり、おっきな村だね」

「まるで街です!」


 元気に歩いていくミナト達は、とても目立った。

 タロは大きいし、ミナトの頭の上には小さな竜が載っているので余計である。


「あ、聖女様とこの子供だね! かわいいね、お菓子食べる?」

「あらあら、お遣いかい?」


 早朝から、動き出している村人達が、ミナトたちに声をかけてくる。

 特にミナト達は女性に大人気だ。


「ありがと! タロの散歩してるの」「わふ」

「かわいい。撫でていい?」

「わふ」「んにゃ」

「いいって!」「いいみたいです」


 タロとコトラは村人に撫でられて、気持ちよさそうだ。


「竜の子も可愛いねぇ。竜様にこんなこといったら失礼かもだけど」

「うむ、賢そうな顔をしているね」


 ルクスも人気だったが、畏れ多いのか撫でようとする村人はいなかった。


 村人と交流しながら、ミナト達は村の中をゆっくり歩いて行く。


「ぁぅ~」

「あ、走りたいの? そだねー。村の外に行こっか」


 タロは体が大きい分、必要な運動量も多いのだ。


 ミナト達が門まで来て、そこに居た村人に外に出ることを伝えると、心配される。


「子供だけで、大丈夫かい?」

「大丈夫!」

「それならいいのだけど……」


 だが、聖女パーティーの一員で信用があるためか、あっさり外に出ることができた。


「タロ、はしっていいよ!」

「ばうばうば~う」


 走るタロをミナト達は追いかけた。

 タロはまっすぐ走らない。左右に飛び跳ねたり、五十メートルほど先行して戻ってきたりする。


 全力でまっすぐ走れば、コリンどころかミナトですら置き去りにしてしまうからだ。


 ルクスはミナトの側を飛び、フルフルはタロの背中に乗っている。

 ピッピは上空を飛んで、コトラは、コリンと一緒に頑張って走っていた。


「わふわふわふ~~」


 タロは特に何も考えず、本能の赴くまま走り回る。道ではない草むらの中を駆け回った。

 それを追いかけるミナトも、とても楽しく感じている


 だが、コリンとコトラは必死だった。

 コリンとコトラにとって、タロについていくというのは過酷な修行のようなものなのだ。


「すごい雲だねー」


 余裕のあるミナトが海の方を見ながら言う。


「すご、すごい? はぁはぁ……雲です? はぁはぁ」


 コリンは、余裕があまりない様子だが、それでも海の方を見る。

 十数キロ先に、海面から上空まで達する巨大な積乱雲が見えた。


「あれ、瘴気?」

「わふ~?」

「なんか瘴気が雲の柱みたいになっているのかな? あれが風の大精霊の島かな?」


 あそこまで行くのは大変そうだ。

 瘴気も濃そうだし、普通の人が近づくのは難しい大変だろう。


「あまり、時間は無いかもね」

「ばう」


 それから、しばらく走り回っているとき、ミナトは人の気配に気づいた。


「タロ!」

「わふ!」


 ミナトとほぼ同時にタロも気づいた。


「はぁはぁはぁはぁはぁはぁ、ど、どしたです? はぁはぁはぁはぁはぁはぁ」

「はっはっはっ、にゃ」


 コリンとコトラの息が荒い。


「コリン、コトラ、水飲んで」


 ミナトは右手と左手の指先から水の玉を出して、コリンとコトラに飲ませる。


「ありがとです。ごくごくごくごく」

「ぴちゃぴちゃぴちゃぴちゃ」


 水を飲むコリンとコトラに、ミナトは言う。


「なんかね。あっちに倒れてる人いる」

「……ふう……旅人です?」


 水を飲んで一息ついたコリンが尋ねる。


「わかんない。とりあえずいってみよう」

「そですね」「んにゃ~」


 ミナト達は、タロを先頭にして倒れている人のもとへと歩いていった。

 深い草むらの中に、足が見えた。


「こどもが倒れているです!」「んにゃ!」


 コリンとコトラが大慌てで駆け寄る。

 倒れているのは小さなリザードマンだった。

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