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【2025年1月16日4巻発売】ちっちゃい使徒とでっかい犬はのんびり異世界を旅します  作者: えぞぎんぎつね
四章

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157 聖女と村人の会議

 ミナト達がお風呂から上がって、廊下を歩いているとアニエスとユーリスに出会った。

 アニエス達は村長達と一緒に歩いていた。


「アニエス! ユーリス様もお風呂どうだった!」「わっふわふ」

「とても気持ちよかったですよ」

「うむ。風呂は良いのじゃ」

「あ、アニエスに話したいことがあるのだけど……」

「どうしました?」


 ミナトはサラキアの書で調べたことを教えようとしたのだが、

「陛下、聖女様。皆様がお待ちです」

 村長が険しい顔でそういった。


「そうね。ミナト、明日でもいいかしら」


 どうせもう夜なのだ。行動するのは明日からになる。


「うん! いいよ! 明日ね!」「ばうばう!」

「じゃあ、また明日ね」


 そして、アニエスとユーリス達は村長達と一緒に歩いて行った。


「みなさんはこちらに」

「ありがと!」「ばうばう」


 ミナト達は村人の案内で、大きな部屋へと案内された。

 海竜が過ごす部屋のようで、大きなタロでも充分にくつろげるぐらい広かった。


 その広い部屋の床は畳で、布団が沢山敷いてあった。


「ジルベルトさんから、タロを含めたみんなで同じ部屋で眠りたいと要望がありまして」


 だから、大きな部屋を用意したのだという。


「ありがと! これ畳? 畳っぽいね?」「ばうばう」

「たたみ? ってなんです?」

「草をつかったゆか。こんなかんじのやつ」「わふわう」


 ミナトとタロは畳に詳しくなかった。


「草を使った床ですか。ほどよく固くて柔らかくていい感じですねー」

「そだねー」「わふぅ」

「寒かったら、タロはこの毛布を使ってください。ですがきっと寒くないですね」


 そういって、村人は大きな毛布をタロの前に敷いた。

 だが、部屋は暖かいし、タロにはもふもふな毛皮があるので毛布がなくても大丈夫だろう。


「ばう~」

「タロが、ありがとだって」

「いえいえ。あ、ジルベルトさんから伝言ですが、先に寝ていてくださいとのことです」

「おお~。みんなは、何してるの?」

「死の風についての会議ですね」

「あー。アニエスとユーリス様もその会議?」

「そうなりますね」


 会議なら仕方がないと、ミナトはそう思った。


「じゃあ、寝よっか!」

「僕、実は眠かったです!」


 ミナト達はずっと旅してきたのだ。


 昨日まではレックスに送ってもらい、今朝からは昼寝もせずに何時間も歩き続けた。

 海竜王ユーリスと出会い、死の風を防いだ。


 そのうえ、暖かいお風呂に入ったのだ。


 子供達が疲れて眠くならないわけがなかった。


「……りゃ」「…………にゃ」


 ルクスとコトラはもう半分眠っていた。


 ミナトとコリンは、ルクスとコトラを抱っこして、近くの一枚の布団に入った。


「僕もねむくなってきた」

「ふかふかです」

「ぴ」「ぴぎ」


 ピッピとフルフルも布団の中に入り込む。

 ピッピもフルフルも、全く寒くなかったが、ミナトにくっついていたかったのだ。


「わふ」

 そしてタロはミナトとコリンの枕元で横になる。


「明日……いろいろ……やること……はっ!」


 寝落ちしかけたミナトが目を見開いた。


「…………どしたです?」

「サラキア様のご飯忘れてた」

「……わふ」


 僕も至高神様のご飯を忘れてたと、タロも言う。


 ミナトは寝っ転がったままサラキアの鞄から神像を取り出すと、あんパンを供えた。


「……サラキア様、至高神様。コボルト神様、あんパンです。……食べてください」「……ぁぅ」

「たべ……くだ……です」


 そのままミナト達は寝落ちした。

 枕元にはミナト作のサラキア像とコボルト神像、タロ作の至高神像が残された。


 ◇◇◇◇


 ミナト達が眠った後も、アニエス達は長い間会議を続けていた。


 今回の死の風による犠牲者はいなかった。

 それは聖女アニエスが神のベールで死の風を防いだおかげだと、ユーリスが説明した。


「さすがは聖女様です」

「どうか、聖女様にはこの村にしばらく滞在していただきたく」


 アニエスならば死の風による被害を防げると知った村人達が、そう願うのも当然だった。


「そうしたいのはやまやまだが、聖女様には風の大精霊を救うという使命があるんです」


 ジルベルトがそう言うと、村長は深く頷いた。


「確かに。ですが現状では大精霊様の島に渡る手段がありませんからな」

「そこで、氷竜に送り届けてもらおうと思うのだが――」

「なりませんぞ! そのようなことをすれば、オーガス達が確実に暴発しますぞ――」


 数時間、結論の出ない会議を続く。

 アニエス達も村長達も疲れ果てた頃、酒と肴が運ばれてきた。


「そろそろお腹がすいたころでしょう。どうぞどうぞ」

「それがよいのじゃ! とりあえず、食べるのじゃ!」

「お言葉に甘えて……」

「これはいい鮭じゃな! このアジもいい! これはサバじゃな? これも最高級品じゃ」

「特に新鮮なものを集めましたからな」


 村長は自慢げだ。


「お? これはイカではないかや? 久しぶりな気がするのじゃ」

「イカは死の風の後に船を出して捕まえたものです」

「夜に漁をするのですか?」


 マルセルが尋ねると、村長は笑顔で言う。


「イカが光に集まる習性を利用して、船の上に篝火をともして、イカを集めて捕まえるのです」

「ほほ~。生のイカは初めて食べますが、おいしいですね」

「うん、歯ごたえがいいわね。甘くてこりこりして、とてもおいしい」


 イカを食べたマルセルとサーニャがそう言うと、村長は嬉しそうに微笑む。


「お口に合って良かったです。ささ、聖女様もどうか」


 村長達はご馳走で歓待し、できるだけアニエス達に長居してもらおうと考えているようだった。


  ◇◇◇◇

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