インディーズ2
「それでは、現在の状況をゲームで例えるから聞いてほしい。」
と、メイザースは私を見る。私は仕方なしに頷づく。
「我々のレディは人間で、年配者だ。現状をゲームに例えるならガラケーの電波がなくなってスマホに変えたばかりの中高年。そして、物珍しいネットの世界を楽しんでいる所で世界的企業の最高ランクのAIに出会う。」
「なんだか、ツッコミどころ満載ですね。」
と、思わずぼやく、メイザース、日本のスマホ事情に詳し過ぎませんか?
「そうだな。が、本当に現実はそれ以上に馬鹿げているのだから仕方ない。私ですらそう簡単に召喚できないような大物、メフィストフェレスの本体を召喚できている現実を考えると、これくらい、おかしな事が起こっているのを自覚してほしい。」
そう言われて、私も少し考えました。メフィストフェレスは役職はそれほど高いというわけではありませんが、それにしても人間が簡単に呼べるような悪魔ではありません。
確かに、そのような召喚の噂はネットで沸いてはいますが、殆どは彼の使い魔が名乗っているだけで、本者を召喚なんてそうできるものではないのです。
「それをいうなら、貴方も、そうではありませんか?」
私はメイザースを見た。そう、彼の霊体を呼び出すと言うのもそう簡単なことではないのです。
「そうでもないさ。私の場合は、それほど人気はないからね。そんな私を物語に登場させてくれているところで少し興味を持っただけだよ。ともかく、これは異例なのだよ。そして、メフィストは実に有能な悪魔だよ。特にエンタメ関係では。」
と、メイザースに言われて納得します。メイザースは私の顔に共感を見て話を続けた。
「メフィストは実に有能に高性能のAIのように働いたのだよ。簡単なレディの『お願い(プロンプト)』を処理してこれだけの広大な世界を構築したのだからね。とはいえ、全てを完璧には作動させられなかった、もしくは、使わない部分の動作プログラムは抜いていたようだ。そこを、その穴をゲーマーの誰かが自主的に修正、起動できるようにパッチを貼ったようなのだよ。」
メイザースは本当に困ったような顔をした。
「つまり、他者からの術式がこの世界で発動している、と、そう言う事なのですね。」
ああ、面倒になってきたものです。確かにこれは問題です。
「有難うございます。理解が出来てきました。ゲームの例えはもういいですから、アストラル界の魔術の話をいたしましょう。
つまり、私の作者はメフィストを使って、この世界を構築したと言うのでしょうか?」
ああ、なんと言う事でしょう。胸に針が刺さるような痛みを感じます。もし、作者があの悪魔と契約などしていたとしたら!取り戻すのは大変です。
「多分、間違いはないだろう。それにしても、こんな事が可能だなんて思わなかったな。アストラル界は想像力で実体化できる世界ではあるが、ゲームの世界という設定で、他者の術式に侵入できるなんて。」
と、メイザースは豪快に笑った。
「笑い事ではありません。それで、どうしたら良いのでしょうか?」
私は投げやりにそう聞いた。メイザースは少し考えて、そこからパソコンの前に座るとこのゲームのチュートリアルの動画を再生した。




