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そうぞうしたタンサイボウな異世界で  作者: 吉田玲
チャプター1 序章
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第11話 まともに戦闘

 新海清彦はまたあの薄暗い森の中にいた。あたりを見渡してみるも、田部日和はいないようだ。暫く田部を探すためにあたりを散策していると何処からともなくあの男の子の声が聞こえる……。


「あ、この前食べようとしたけど逃がしちゃった人だ」


「あー、この前俺を食べようとした奴だ。って死んだんじゃないの?」


「あれじゃ死なないね。じさこいせーだっけ、よっこらせーじゃないけど、何でもすぐに元気になるからね」


(この能力…どこかで聞いたような気が?)


「とりあえず、そっちが食うつもりなら俺はあんたを殺す。どう?」


「やれるもんならやってみそ」


「速攻で片付けてあげるよ」


 即座に新海は敵との間を取り、頭の中のイメージを形にしていく。そして俺はG36Kを呼び出し戦闘態勢になる。しかし奴は彼の行動に驚いたようで、


「ねぇ、それって銃って奴だよね。やっぱり、ここら辺の人じゃないね? もしくは貴族?」


(こいつは何を言っているんだ? 銃を持っていたら貴族って、いつの時代の話なんだか)


「俺は別に貴族でもなんでもない一般人だ」


「ふーん。まぁ細かいことは気にしない気にしない。お腹すいたしさっさと食べちゃうぞー」


「アンタは鉛でも食べてろ!」


 新海清彦はその台詞と同時に構えていた銃のトリガーに指をかけ、奴に目がけて無数の鉛玉を発射していく。

 奴は何も考えていないのか、新海に向かって特攻してきた。

 焦ることは無い、そのまま銃口を奴の移動する直線上に合わせて打つだけで簡単に倒すことが出来る。勝利を確信した新海は3発分を打ち込む。

 すると奴はその場から消えてしまった。恐らくは左右に素早く避けたのだろう。残像さえ見えない程の超スピードで俺は思わず戸惑ってしまう。

 どこにいるか探していると、後ろから首を掴まれてしまった。間に合うかどうかわからなかったが、駄目もとで銃を後ろに向けて撃った。

 当たったかどうかは確認出来ていないが、首を掴まれる感触はなくなったので恐らく当たったのだろう。すぐさま後ろに振り向き警戒するが、またあの超スピードだ。奴の姿はない。


 逃げては捕まり、逃げては捕まりの繰り返しでなかなか決着がつかない。


「おい! コソコソやってないで正々堂々と姿を見せたらどうなんだ!」


「うん、分かった」


 といって、木の影からのうのうと出てきたので、速攻で撃ち殺した。やはり頭だけは悪い。


 以外にもあっさりと倒してしまい、自分の手で倒した感覚が全くなかったがそんなことは気にせずに田部さんを見つける事に専念した。






 数時間ほど歩いただろうか、やっと森を抜けれた。正確には木が薄くなりちょっとした湖畔に出た。それと同時に田部日和を見つけることが出来た。田部はかなり疲弊したようで、俺を見つけて走ってきてはかなり息を切らしていて顔も少し青かった。


「やっと見つけましたわ! なんという世界なんでしょう! こんな地獄とはもうオサラバしたい気分ですわ」


「田部さんも何かに会ったの?」


「えぇ、見た目は人間で中身は化け物。一言で言えば妖怪というものに出会いましたわ。どうやら彼等の主食は人間のようで、日和を見た途端に食べようとしてきたので、とっさに逃げてきました」


「やはりか……。ここは危ない、どうにかして抜け出そう!」


 田辺さんは何も言わず、俺の手元を見ていた。


「貴方、この手に持っているものは何かしら?」


「あぁ、これはこの世界に入った時から持っているんだけど、なんか使い方がよくわからないし捨てるのも勿体ないからとりあえず持ち歩いている。」


「ちょっと貸してご覧なさい」


「あぁ、いいよ」


 そういうと田部はこの本になにか手がかりを探すように本を調べた。


「これ、もしかしてこの本を使えば戻れるのでは?」


「えー、そんな簡単に戻れる?」


「こういうのは意外とあっさり帰れたりするかもしれませんわ」


 田部は俺が持っていた本に手を突っ込んだ。すると、彼女の手は本にずぶずぶと入っていく。まるで開いているページだけが泥沼みたいだ。彼女は出れることを確信したようで、意気揚々とした彼女が、

「行けますわ! さ、早く私の手をとって!」


 と、俺を急かすように本の中へと誘っていく。彼女が本の中に入りきったのと同時に、新海も本の中に入り始める。まさかこんな形で出れるとは思ってもいなくて、正直出れるかどうかすら疑っている。灯台下暗しって言うことわざがあるけどそのような事例だ。


…………………………………………………………………………


 新海は、いつも見ている天井をまじまじと見ていた。そして、隣には疲れ果て大の字になって寝そべっている田部さんがいる。窓の外には普通の日常が映っており、本当に戻ってこれたんだと身をもって確認した。

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