第10話 研究
魔性ノ本とやらを手にしてから2週間たっただろうか、未だにわからないことが多すぎる。と、言うことでまた本の中に入ろうとする新海清彦である。
本に入る準備をしていると、この家に来訪者が来たようだ。なんか最近は来訪者が多い。
「はーい、どちら様ですか?」
「貴方は、新海清彦で間違いなくて?」
そこにはどこかで見覚えのある金髪ツインテール幼女が居た。
「え、えーと、誰?」
「あら、学級代表の顔を覚えてないなんていい度胸してることね。」
「すいません、全く存じ上げないです」
「はぁ……。これだから男子は(中略)次から忘れないでください。ワタクシの名は田部日和。貴方のクラスの学級代表ですわ。」
思い出した。独特なお嬢様喋りにツインテール金髪ロリの田部日和だ。まさか学級代表だったとは……。しかし、なぜ学級代表様がただの1クラスメイトの新海清彦に用があるのか。……まさか彼女もあの魔性ノ本についてなにか関係があったりするのだろうか?
「ところで貴方、なにか隠してる事は無いかしら?」
「はぁ、何のことやら」
「とぼけても無駄ですわ」
「───────。」
どうするべきか。これは明らかにバレている。ここで嘘をつき通すか、正直に答えるか。生憎、新海は嘘をつけない性格なので前者は無しだ。ということはここは正直に答えるしかない。
「じゃあ、聞きましょう。貴方は国田さんとグルになってこの世を脅かすようなものを持っていますね?」
「───わかった、持ってるよ。でもそんな言い方はやめて欲しいかな。(自分から持ちたくて持ったわけでもないし。)」
しかし、どうしてこうも見破られたのだろうか。いや、新海自身でも思い当たる節はあるが、まさかここまで来るとは思っていなかった。もしかするとこの田部日和は敵なのかもしれない。……そんなことは考えたくもなかったが。
「日和なりに根拠となるものを集めて、自分で考えを導き出しただけですわ。」
流石、学級代表が務まるだけの脳ミソが備わっているようだ。にしては恐ろしいほどの洞察力だ。将来は優秀な刑事にでもなれそうだ。
そしてずっと立ち話でいるのも疲れるので、新海は田部を家にいれた。
「へぇ、魔性ノ本ね。日和はあなた達の事やこの本についてはよくわかりません。ですが、これだけは言えます。いずれ、この本は日和たちを取り込もうとするはずですわ。」
「え、日和"たち"って事はやっぱり田部さんもこの本と関係があるの?」
「だから、本についてはよくわかりませんわ。ですが、そのうちにこの本があなた達を襲い、そのうち世界が破滅すると、日和なりの分析をしたわけです。その本は直ぐに処理をすることをオススメします」
「しかし、コイツは燃やしても燃えないんだ。燃やす以外にどうやってこの本を消すんだよ」
「別に消す必要はありません。例えば書いてあることを消して見たらどうです?」
「なるほど! その手があったか!」
すぐに消しゴムを用意した。そして今まで勉強したきた中で一番と言っていいほど消しゴムを酷使した。
なんだか、消える気がしない。もう消しゴムも半分近くすり減ってしまった。
なにかに気づいた田部さんは、
「これ、もしかして魔法とかで消えないようになってるのではないです?」
このご時世に魔法とは愉快なものだ。そんなモノがあるはずがない。が、この本に入ってしまった以上魔法の存在を否定することが出来ない。
「それはあり得るかも。あと、こんなに文を書いたっけか。異様に増えてる気がするし、よく見ると本も少し大きくなってる?」
「それはわかりませんわ。でも、もし仮に、貴方に魔力が備わっていたとして、この本を使う度にあなたの魔力を吸い取ってこの本が成長していく。という、ものだったら大きくなってたりするのも裏付けることができますね」
「なるほどな。消しゴムで消したりとかも無意味なのはそれかもしれん」
どうしたものか。暫く田部と唸っていたらやつは動き出した。本が勝手に動き出した。まるで本が強風に吹かれたようにページが行ったり来たりし、みるみる本からおどろおどろしい手が出てきた。新海は驚き、
「なんだ! こんなの、き、聞いてないぞ!」
「もしかして、もう意思を持ち始めているのかしら?」
田部があれこれと思考を巡らせている時間も与えてはくれず、新海達は強制的に本の中に入ってしまった。このままじゃ、田部も国田真希みたいになってしまう。どうにかして一緒に抜け出さなければ。




