14/23
夜と人間
夜はいい。
静かで、余計な音が少ない。
吾輩としては、なかなか気に入っている時間だ。
だが、今日は少し落ち着かない。
目の前の人間は迷っているのだろうか?
フラフラと揺れながら、色々な方向へ歩いていく。
まるで行き先を決められない子猫のようだ。
しかも、歩き方が妙に危うい。
何もない場所で何度もよろけていた。
地面は平らに見えるのだが、人間の世界には、吾輩には見えない段差でもあるのかもしれない。
突然、その人間は大きな声で鳴き始めた。
仲間を呼んでいるのかと思ったが、誰も来ない。
にもかかわらず、本人は満足そうである。
……
…不思議な生き物だ。
しばらくすると、人間は光る箱の前で立ち止まった。
そして箱に向かって、何やら話しかけている。
やはり、あの光は人間にとって仲間らしい。
夜になると、よく集まっているのを見かける。
だが、その会話は長く続かなかった。
人間は急に地面へ寝転がる。
吾輩は思わず塀に飛びのり、耳を立てた。
しかし本人は慌てる様子もなく、むしろ安心したような顔をしている。
どうやら危険はない、らしい…
「ぐごぉ…ぐごご……」
しばらくすると人間はまた騒がしい音を立て始めた。
どこか壊れたのかと耳をすませたが、どうやら眠っているらしい。
…とても、寝にくそうだ。




