白き猫のための交響曲
猫の朝は遅い。
日の出と共に起きる竜。それより少し早く起きる調教師。調教助手は、それより更に早く起きてその日の準備を始める。
そして吾輩は、すっかり明るくなってから、食事の音に起こされる。
竜たちが飯を喰らっているところに、とてとてと足を運ぶと、それに気づいた者が、吾輩にも飯をくれる。最近来た新顔で、吾輩が肉をよく噛んでいるのをしばらく眺めていたが、アルザ氏に呼ばれて去っていった。竜たちより先に食事を終えた吾輩は、竜たちに挨拶をしにいく。
最奥にいる者には近寄らないようにしていて、大きな入口に近いところにいる、これまた新顔の竜の、飯箱の中身を覗いてみた。まだ肉が残っている。飯箱の縁に飛び乗り、続いて前脚を肉に向けて伸ばす――と思ったら、
その新顔が、鼻で吾輩の顎を持ち上げる。目が合った。食べさせないつもりらしい。腹が立った吾輩は、その顔に飛び乗って、首を伝って背中まで歩いていく。竜の身体は寒い日には暖かくてよい。少し硬いことだけが難点だ。
少し眠って、足音に起こされる。食事の時間だ。
大きい入口は閉まっているので、小さい入口から外に出る。途中でイザルド氏を見つけたので擦り寄ってみると、持ち上げて運んでもらえた。
人間たちが一堂に会して食事をしているので、机に乗って、器を覗いてみると、水面がてらてらと光っていた。一口舐めると熱かった。
「なおっ」
吾輩が声を上げると、机から下ろされて、飯をもらえた。
外に出ると、ちょうど、ベレー氏が我が家に遊びに来たところだった。
「コーシュ!」
ベレー氏は吾輩の気に入りだ。姿を見せれば必ず構ってくれる。たまに美味いものもくれる。
それからは、ベレー氏の上で毛づくろいをしたり、寝たり、竜の上で毛づくろいをしたり、寝たり、外で草を食みながらその上で寝たりして過ごした。
暗くなってきて、竜たちが飯を喰らう音で目を覚ます。
大きい入口から中に入ると、例の新顔が、また飯をくれた。ベレー氏の膝で寝んでいた時にも会った気がするが忘れた。肉を噛んでいると、やはり新顔は吾輩を触るでもなくただ見てくる。肉を食べ終わると、新顔は放っておいて竜のほうへ行った。今度は熱い息を吹きかけられたので、嫌になって背を向ける。
竜たちは、たまに数頭いなくなったと思ったらまた戻ってきていたり、いつの間にか増えていたり、いつの間にか減っていたりする。数が少ないと寒いから、どちらかといえば多いほうがいいには違いない。




