【巻き巻き】なんて包容力なんだ……【包み包み】
「はぁい皆の衆、ジョージの酒飲み配信のお時間でぇございます。おいスライム食わねぇか」
「ミナのシュー!」
「ぴぁー!」
『いえ、私は遠慮しておきます』
『注意喚起偉い』
『注意喚起かこれが……?』
そう、今回の配信は開幕から今日の酒のお供について明らかにしている。まぁそれ以前に配信予告のツイートでスライム料理にすることは言っているからね。
スライムの中でもゼリースライムは食材として有名な一方で、ペットとしてもかなり人気のモンスターだ。体をポヨポヨ弾ませながら移動する様は中々に愛嬌があるし、しっかり躾ければ生ゴミを溶かして処分してくれる事もできる。
そのためそんなゼリースライムを食材にすることに対して忌避感を持つ人が少なからず存在する。なのでね、こうして事前に言っておくことで配信を見ようとしたスライム愛好家の人たちが地雷を踏まないように配慮する必要があるのだ。
……まぁそのおかげでいつもよりも視聴者数が気持ち少ない気が……いや、あんまり変わらんか?
さて、挨拶もそこそこに料理を出していきますかね。――えーっと、これは……まだだけど最初に出しておいていいか。
「ほい、まずはこれね」
『ん?スライムのゼリーの中にキャベツか?』
『蒸し焼き的なやつ?』
「正解ー。これはイャナ肉をキャベツで包んでさらにその上にファイヤースライムのゼリーを包んだものだ。現在絶賛加熱中」
ファイヤースライムのゼリーはお湯で戻すと長時間、ゼリー体をその温度で保つことが可能なのだ。それを利用してキャベツを加熱してそれにより発生した蒸気でイャナ肉をしっとりと蒸し焼きにするという寸法だ。視聴者に言った通り、配信の少し前に仕込んだから完成までもう少しかかるんだよね。
「視聴者諸君にはこの包み蒸しの出来上がるさまを楽しんでもらうとして――よし、これだな」
「ハルマキ!」
「ぴぁ!」
『お、生と揚げどっちもあるのか』
『なんか発光してるのない?』
次に出した料理は、スライムとファイヤースライムのゼリー体を薄く伸ばし乾燥させたもので具材を巻いたスライム春巻きだ。ファイヤースライムの方は揚げ焼きにし、スライムの方は生春巻き風にしてみました。
『生春巻きはアイススライムとかじゃないの?冷たくていい感じじゃない?』
「アイススライムも考えたけど冷たすぎるからちょっとなぁ……スライム位が丁度いいのよ」
『ねぇ、なんで発光は誰もツッコまないの?』
「ジョージ早く食べよ!」
「ぴぁ!」
おっと、オーロラとロゼから催促が飛んできてしまった。まぁ一番最初はまだ出来ていない料理の紹介をしていたし焦らしてしまったようだ。……うん、そうだな。このままだと一頻りスライム料理を紹介しきってから食べることになりそうだ。それはいかんな、オーロラたちも待ちくたびれてしまうってもんだ。
えーっと、この後は食べながら料理は紹介するとして……ファーストドリンクのビールは準備OKだな。ではでは――
「「乾杯!」」「ぴぁー!」
軽くビールを呷り、早速料理に手を出していく。
まずはスライムの生春巻きから食べていこうか。春巻きは揚げも焼きも中の具材を見えやすいように半分にカットしているので、食べたいものを見つけやすい。そう、俺の好物を――
口に入れ、もちもちとしたスライム皮を噛みしめるとまるで爆弾のように広がる大葉とみょうがのさっぱりとした風味。これだけでも絶頂ものだと言うのにその後のマドウダイの切り身より感じられる甘みよ……前言撤回します。マドウダイが入ってたらカットしなくても中身は分かってたわ。
そんでこれにキンッキンに冷えたビールが合うんだわ!
「っかぁー!うめぇ!」
『綺麗な声から垣間見えるおっさん感よ』
『脳バグる』
『だから発光してるの何!?』
『ヒント:マドウダイ』
「ジョージ、ワタシこれスキ!」
「ぴぁー!」
ほほう、オーロラは揚げ焼きの方の王道春巻きが刺さったか。ロゼはチーズにベーコン、黒胡椒とジャンキーな春巻きか。ファイヤースライムのおかげで揚げて時間が経過しても温度は保たれた状態になっているのも良い点だ。それによってチーズも固まらずトロトロのままだしな。
次の料理はアイススライムの核の刺身だ。
前回はスライムとファイヤースライムの核の刺身を食べたな。スライムが蒲鉾っぽくてファイヤースライムが生レバーという感じだったが……アイススライムは全く異なる。
「ん、んー?ルイベっぽい……か?」
「シャリシャリしてるねー」
うん、どこか海を感じさせられる風味にシャリシャリとした食感。今まで食べたことのあるものの中ではルイベ漬けが近いかもしれない。わさび醤油にもよく合うし中々悪くないんじゃないでしょうか……今度自分でルイベ漬け作ろう。俺は人知れずそう心に決めた。
ここで一旦包み蒸しの方を確認……お、中々良いのではないでしょうか。そろそろ完成かな?
とじゃあここらへんで本日のメイン料理の方も取りに行きましょうかね、アレはギリギリまで鍋の中で温めておきたかったからね。それじゃ、キッチンに取りに行きまーす。




