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 大天狗は強かった。

 剣術については、若干朧の方に分はあるかもしれない。

 しかし、天狗礫で注意を反らしたり、一瞬だけ隠れ蓑を使って視界から消えて背後から攻撃、風で吹っ飛ばす等、妖術を使用した戦い方上手い。剣士と魔法剣士の戦いみたいなものだろうか。

 トドメを刺そうとしても、邪魔される。

 春介が助けに行こうにも、少しでも花耶から離れる素振りを見せれば天狗礫が飛んでくる。花耶が殺られたら、二人とも風で押さえ込まれて手も足も出せずに斬り刻まれる。


(早くせねば……!)

 だが、長期戦はできない。

「……っ!」

 花耶の顔色に、疲労が濃く出る。

 花耶は祓穢。あまり妖力を使いすぎると、魂に負荷がかかる。

 そして今は、大天狗の風を抑え込んでいる上に隠れ蓑封じで天泣も使っている。

 時間をかけすぎたら、こちらがジリ貧になるのだ。


(⁉ まずい、風が強くなった‼)

 突然強くなる風。

 飛ばされるほどではないが、朧の体が煽られる。

【《虎落笛》!】

 振り下ろされる風を纏った刃。

 朧は膝をつくが、半身になりつつ刀で流す。

 時雨は斬り返される前に飛び退く。

 返す刃は時雨の髪を掠めただけで空を切る。


「!」

 慌てて花耶は、風調べにまわす妖力の量を増やす。

 大天狗の風が、強すぎるのだ。

 予想以上に、妖力の減りが速い。

「《快癒》」

 春介の回復も、雀の涙程度しか効果がない。


「《快癒》!」

「《痺雷針》!」

 不意に、花耶の疲労が軽くなった。

 さらに、聞き慣れた雷の音が響く。

【グァ⁉】

 大天狗は痺雷針を避けきれなかった。

 鎧のような黒い体に電光が走る。

 花耶が視線を向けると、千弦と愛梨がいた。

 無事な愛梨の姿を見て、安堵する。


 大天狗の隙を見逃さず、朧はトドメを刺そうとする。

【《天狗礫》!】

 しかし、大天狗もしぶとい。

 自分を中心とした周りに、大量の岩を飛ばした。


 朧は岩を躱す。


「《水鏡》‼」

 愛梨は自分と千弦を守るように水鏡を張る。


「くっ!」

 春介は確実に花耶だけは守れるよう立ち塞がり、盾を地面に刺すようにして固定。

「《快癒》……っ!」

 腕から嫌な音が聞こえても、自前の回復で耐える。


 しばらくの轟音の後、ようやっと横殴りの岩の雨がやんだ。

 水鏡はボロボロ、春介は腕も盾も限界に近い。


 体の痺れが取れたのか、大天狗は駆けた。

 その先には、花耶。


「しま――っ‼‼」

 岩を避けていて、距離が離れてしまっていた。

 朧では、追いつけない。


「《痺雷針》‼」

【《天狗礫》】

 千弦の痺雷針は、雨で濡れた岩に吸収される。


 春介は、ベキベキの腕を酷使して盾を上げる。

【《隠れ蓑》】

「⁉」

 接敵の直前、姿が消える。

 盾に手応えはない。

 反射的に春介は、花耶を覆いかぶさるように抱え込んだ。

 バキッ。

「ぐぅうっ⁉」

「春介⁉」

 何かが折れる音が響き、春介の呻きがこぼれる。

「……大丈夫……っ」

 春介は強がるものの、痛みを逃がすように呼気が荒い。踏ん張っているようだが、わずかに花耶に体重がかかっている。

 立っているのも辛いようだ。


 春介の肩越しに、白刃がひらめく。


「させるかぁあああああああああああああああああああああああああああいあああああッ‼‼」

 わずかな隙間に、赤い影が割り込んだ。


 ガキンッ。


 刀は、斧で止められた。

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