さんじゅう
「いらっしゃい
あら、ハンナちゃん」
「こんにちは」
案内する人が知らない訳にはいかないのでちゃんと1回来てるんです。
「そっちの男の子はお友達かな?それとも彼氏?」
か、彼氏なんて恐れ多い!
「私と彼女は友人ですよ」
私が慌てて違う、と言うよりも早く王子様が訂正したので、私もそれに乗っかる。
「そ、そうですよ!
それに、彼にはかわいい恋人がいますから!」
正しくは婚約者だけど、そんなものがいるなんていったら貴族だと公言しているようなもの。だからまぁ、恋人でいいでしょう。
「あらあら、そうだったの、ごめんなさいね。それじゃあ今日は?」
店員さんの質問に、王子様が間髪入れずに返事をする。
「今日は私の恋人へのプレゼントを作るためにこのお店に来ました。彼女にはここまでの案内を頼んだのですよ。」
そういう王子様の言葉を肯定するように、私はコクコクと何度も頷いた。
「1週間後に恋人と取りに来る予定なのですが、それまでに完成するものは何がありますか?」
そして、今度は王子様が店員さんに質問する。
1週間後、この世界では10日後。それくらいあればできるものはいくつかあるんじゃないかな?
「10日ね。恋人に渡すものだし、アクセサリーの類がいいなな?」
アクセサリーか。お揃いとか、ペアのデザインだったら最高かも。隙を見て言ってみようかな。いや、でもこれは王子様が百合に贈るものだし、困ってたら言うくらいにしよう。
「そうですね、はい。そういったもので」
「そうなると…」
王子様と店員さんで大まかに決めつつ、私もたまに意見を言いながら、最終的に指輪を贈ることになった。
一緒に鎖も送り、普段、特に学校ではネックレスとして持ち歩き、それ以外の時は指輪として使ってもらう。指輪だと勉強する時は邪魔になるからね。
さらに言うなら、指輪は王子様と百合で色違いのお揃いにした。デザインは王子様が考えていたけど、私は見ていないので、今のところ知っているのは王子様と店員さんのみ。百合が知る前に私が知っているのは何となくダメな気がしてね。
指輪の色は、王子様の分は金の鎖に黒の指輪で、百合の分は銀の鎖に青の指輪。お互いの髪と目の色だね。王子様の髪色は白銀色が正しいけど。
お読みいただきありがとうございます(*ˊᵕˋ*)
本作の悪役令嬢、ユリア・リッセン視点の作品を書き始めました。シリーズでまとめてありますのでよろしければお読みください(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)
次の更新予定は未定です。すみません_○/|_ 土下座




