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その16
予期していたことではあったけど、3学期が始まって最初の学級会で席替えが提案された。心の準備はしていたので平静を装うことができたが、隣の葉月さんの様子が気になって仕方なかった。
くじ引きの結果、僕は奇跡的に1個後ろの席にずれただけだった。今まで東村静子が座っていた席だ。東村静子は、真ん中の一番後ろの席になった。
そして、葉月さんは、廊下側の一番前の席だった。
「大分席離れちゃうけど、またあれ、起きるかな?」
席移動をする前、引き出しの中のものを取り出しながら、葉月さんは言った。
「たぶん。だって、あんなに遠い距離でも起きたんだよ」
「シャーペンとか、予備のあるものならいいけだ、できるなら教科書とかノートとか、それがないと困っちゃうようなのら取らないでね。今までみたいに授業中に返してもらったりとかできないから」
「うん、努力してみる」
僕が言うと、葉月さんはくすっと笑った。
予感は的中し、席が替わってからも葉月さんの持ち物の瞬間移動は起き続けた。席が離れて、前よりも頻度が多くなったくらいだった。ただ、移動が起きるものは、葉月さんが望んだ通り、シャーペンとか、ボールペンとか、なくてもそこまで困らないものばかりだった。それらのものは、休み時間にトイレに行くついでに返した。




