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(書籍発売中!)逃げる魔法使い 〜寿命を削って魔法を使っていただけなのに、なんだか周囲の様子が変です〜  作者: うちうち
IF ~もし魔法使いちゃんが世界樹で長命種であることを告白しなかったら~

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【2期】4話 「銀環の村」

【逃げる魔法使い2期】第4話「銀環の村」実況&感想スレ


1:風の名無しさん

 勇者が行くのめっちゃ拒否ってて草


5:風の名無しさん

 いい口実になるのに

 チャンスだろ


9:風の名無しさん

 寿命を伸ばす方法とかじゃなくて

 普通に渡したいんだろ


14:風の名無しさん

 甘酸っぱいなぁ!!


18:風の名無しさん

 そもそも

 夫婦で持つと長生きできる指輪ってなんだよ


23:風の名無しさん

 2人の愛の結晶です

 愛ですよ


28:風の名無しさん

 勇×魔過激派

 本日も元気に起床


32:風の名無しさん

 王女様が煽ってて笑う

「私が立候補してもいいけど?」


51:風の名無しさん

 王女様

 絶対楽しんでる


66:風の名無しさん

 健やかな長寿

 夫婦

 対で持つ

 勇者くん聞いてる???


72:風の名無しさん

「来たくないなら来なくていいわ」

「私たちだけで行くからあなたは待ってなさい」


77:風の名無しさん

 煽りおる


83:風の名無しさん

「行かないなんて言ってないだろ!!!」

 お、おう

 せやな






133:風の名無しさん

 「私は神殿を離れられません。村までの道と、話を聞くべき家なら記しておきます」

 そうだよね

 神殿の代表者だもんね


144:風の名無しさん

 でもちゃんと地図書いてくれるの優しい


150:風の名無しさん

 お、さらに補足

 「子授かりの祈りでも知られています」

 !?


156:風の名無しさん

 子宝wwwww


161:風の名無しさん

 勇者の顔wwww


166:風の名無しさん

 王女様、扇で口元隠してる

 完全におもしろがってるだろ


172:風の名無しさん

 魔法使いちゃん

 「にぎやかな家族って楽しそうですよね〜」

 やめたげてよぉ!


178:風の名無しさん

 無垢な一言が常に致命傷になる男


190:風の名無しさん

 結局行くのかwww


202:風の名無しさん

 でも普通に寿命伸ばす方法候補の一つだから反対できないのが酷い







208:風の名無しさん

 出発!


236:風の名無しさん

 道がのどかでいい

 今のところ勇者の心以外は平和


241:風の名無しさん

 魔法使いちゃん

 「結婚指輪って、ずっとつけてる人も多いです」

 ちゃんと知ってるな


253:風の名無しさん

「ええ。願掛けでもあるし、毎日一緒にいる証みたいなものでもあるわ」

 綺麗な説明

 王宮でたぶんそうとう場数踏んでるんやろうなぁ


259:風の名無しさん

「じゃあ、毎日見るたびに、元気でいてほしいなって思えるんですね」

 その解釈はすごくこの子


265:風の名無しさん

 勇者が静かに息を吸って吐いてる

 ギリギリで耐えてる

 このままなら何とか……


289:風の名無しさん

 「大家族って、きっと毎日にぎやかで楽しいですよね〜」


295:風の名無しさん

 無邪気な顔でとどめを刺すな

 







301:風の名無しさん

 道ばたに花輪編んでる子どもたち

 村近いかな


307:風の名無しさん

 お、門が見えてきた


313:風の名無しさん

 門柱に銀の意匠あるな


324:風の名無しさん

 村の名前出た

「銀環の村」


336:風の名無しさん

 軒先に小さな銀の輪が飾ってあるのすごくいいな

 生活に根づいてる感じする


342:風の名無しさん

 こういうディテール好き


348:風の名無しさん

 礼拝堂ある

 工房も多い

 あと家族連れめっちゃいる


360:風の名無しさん

 「夫婦円満」「家内安全」「無病息災」「子宝」

 勇者、帰れる?


366:風の名無しさん

 帰る頃には灰になってそう


378:風の名無しさん

 剣士が子どもにぶつかられそうなのをさりげなく避けさせた

 こういうの好き


396:風の名無しさん

「ようこそ銀環の村へ」

「お隣の方は奥様で?」

 きたああああああ


402:風の名無しさん

 勇者の残り残機あといくつ?


408:風の名無しさん

 王女様が吹いたwww


414:風の名無しさん

 剣士視線を逸らす

 温情か


420:風の名無しさん

「寿命が長くなる方法を探しに来ました〜!」

「???」

 魔法使いちゃんが空気を一刀両断してて草


426:風の名無しさん

 強い





* * * * * * * * * * * *





 白巫女さんがくれた地図に記されていたのは、村の中央から少し外れたところにある、小さな工房だった。


 軒先には、磨かれた銀の輪がいくつも吊るされていて、風が吹くたびに、触れ合って澄んだ音を鳴らしている。









「はいはい、聞いてますよ」


 中から出てきたのは、小柄なおばあさんだった。背は少し曲がっているけれど、目だけはやけに鋭い。銀糸みたいな髪を後ろでまとめていて、指先には細かな金属の粉がきらきらとついている。







 工房の中は、思ったよりもずっと素朴だった。壁には細かな工具がずらりと掛けられていて、奥には炉がある。棚には布に包まれた小箱がいくつも。


 テーブルの上には、仕上げ前らしい銀の指輪が並んでいる。どれも二つで一組のようだった。片方には細い蔓草、もう片方にはそれを受けるような小さな花。ぴたりと同じではないのに、並ぶと不思議なくらい馴染んでいる。


「全部二つずつなんですね」


 私が言うと、おばあさんは当たり前みたいに頷いた。


「そりゃそうさ。この村の指輪は、最初から一人分じゃないからね」


 そう言って、おばあさんは棚から小さな箱を一つ下ろしてきた。蓋を開けると、古びた布の上に、少し黒ずんだ銀の指輪が二つ並んでいる。何でも聞いてみると、村の指輪の大元がこれで、他はすべてこれのレプリカとのことだった。





 王女様は、古い指輪へ目を落とした。


「率直に聞くわ。寿命が延びる、という伝承はどこから?」


 おばあさんは、古い箱の中の指輪を指先でそっと撫でた。


「この指輪を作ったのは、ずっと昔の魔術師夫婦だったそうでね」

「魔術師夫婦?」

「そう。で、そのどちらかが先に逝ったあとも、残された方を見守った、なんて話が残ってるのさ」


 私は首を傾げた。


「見守る?」

「夢に出てきたとか、旅先で指輪が熱を持ったとか、危ない時だけ妙に重くなったとかね。まあ、昔話だから、どこまで本当かは分からないけど」


 その瞬間。

 指輪を見つめていた王女様の空気が、少しだけ変わった。


「……妙ね」


 王女様は銀の輪を光に傾け、内側をじっと見つめる。


「何がですか?」


 私が聞くと、王女様は視線を上げないまま答えた。


「変というより、呪文が重すぎるの」

「重い?」

「祝福具としては、という意味よ」


 指先が、指輪の内側を静かになぞる。


「無病息災や夫婦円満を願う祝福具なら、もっと軽くていい。毎日身につけるものだもの。良くできたものでも、せいぜい家一つを清めて守る程度で十分よ」


 そこで王女様は、一度だけ息を止めるみたいに黙った。


「でも、これは違う。複雑さが異常よ」


 勇者が横から覗き込む。


「そんなにすごいのか?」

「城ひとつを包む結界を、年単位で眠らせず保つ時みたいな重さがある、と言ったら伝わるかしら」


 私は思わず古い指輪を見た。

 小さい。どう見ても、ただの銀の輪だ。


「昔話の方も妙で、術の重さも妙に深い。なのに、今この村で言われている使い方はずいぶん穏やかでしょう」


 少しだけ間を置いてから、王女様は言った。


「……少なくとも、今の使い方が本来の目的ではないわね」








 するとその時、おばあさんが思い出したように言った。


「そういや、昔の作法書なら少しだけ残ってるよ。ところどころ欠けてるし、今じゃ読める者もほとんどいないけどね」


 王女様の目が、はっきりと上がった。


「見せてもらえるかしら?」










 おばあさんは棚の奥から、布にくるまれた本を両手で抱えて戻ってきた。


 分厚い。とにかく分厚い。革表紙は端が擦り切れ、金具は黒くくすんでいる。机に置かれた瞬間、どすん、と鈍い音がした。


「……多いですね」


 思わずそう言うと、おばあさんが鼻で笑った。


「少しだけって言ったろう。昔の人間は、余計なことまで書き残すのが好きだったのさ」


 王女様が身を乗り出す。完全に魔術師の顔だった。


「……古い呪文ね」

「読めるのか?」






 王女様は頁をめくるでもなく、まず最初の見開きをじっと見た。そして、歌うように読み上げる。




――昼の名残、夜の底

  ほどける縁を縛し

  沈むしるしを引き止めよ――




 しかし、そこでピタリと止まる。


「……駄目ね。記述が乱雑すぎる」

「無理なんですか?」


 私が聞くと、王女様は眉を寄せたまま頷いた。


「たとえば、料理の本を開いたと思ったら、途中から薬の本になって、その余白に孫の愚痴が書いてあって、最後に別の人が『たぶんこういう意味』って勝手に書き足してる感じ」


「最悪だな」


 勇者が真顔で言う。


 私はちょっとだけ分かる気がした。読み物というより、台所の端にずっと置いてあった家の帳面みたいなものなのだろう。


 おばあさんは「だろうねえ」と呑気に頷いた。


「昔も、読み解こうとして何か月も泊まっていった学者がいたよ。最後はみんな目をしょぼしょぼさせて帰っていったけどね」









 おばあさんが作法書をぱたんと閉じる。


「言っとくけど、持ち出しは駄目だよ。破れたら二度と直せないからね」

「分かっているわ」


 王女様は名残惜しそうに、でもきっぱりと手を引いた。


「十分よ。見せてもらえただけでも収穫だわ」

「十分か?」


 勇者が聞く。


「十分、ではないけれど……時間が掛かる。一応の選択肢として、覚えておきましょ」


 王女様はそう言って、机の上の古い指輪へもう一度目を落とした。


 おばあさんが私を見つめて口を開く。


「まあ、普通の指輪なら表にいくつか出してあるから、お嬢ちゃん、試しにつけてみたらどうだい? そっちも無病息災の効果はあるよ」






 その瞬間、勇者と王女様の間の空気が、なぜかかすかにピリついた気がした。







 

 表の売り場に出ると、若い女性の店員さんが、ニコニコしながら私に寄ってきた。そして、後ろの3人をちらりと見て、そっと尋ねてくる。


「それで、どなたが対になる方なんです?」


 勇者の肩がぴくっと揺れる。

 王女様の目が細くなる。

 剣士は相変わらずだ。


「それを今から決めるところなんです」

「まあまあまあ」


 その人は、面白いものを見るみたいに私たちを見回した。


「でしたら、先に相性見をしておくといいですよ。この村じゃ、指輪をはめる前に小さなおみくじを引くんです」








 店員さんは笑いながら、小さな木箱を差し出した。


「ではどうぞ。決まらない時は、先に相を見た方が早いですから」


 覗き込んでみると、木箱の中には、小さく折られた札が何枚も積み重なって入っていた。


「一人ずつ引けばいいんですか?」

「ええ。指輪をはめてもらうあなたが、木箱を持ってください」

「面白そうですね」


 私が言うと、王女様がくすっと笑った。


「ええ。本当に面白くなってきたわ。つまり、これであの子と一番相性が良いのが誰か、分かるってわけね」


 勇者と王女様の目線がバチバチとぶつかった気がした。家庭円満の村に来ているはずなのに、なんだか空気が物騒である。






 最初に引いたのは勇者だった。

 木札を開いた勇者は、一瞬だけ黙った。「はずれ」とでも書いてあったのだろうか。


「何だった?」


 私が覗き込むと、そこには、『末永き縁』と書かれていた。

 下に小さく『一度結べば、長く絶えにくい相』ともある。


「おや、いいですねえ。これは滅多に出ないんですよ」


 店員さんが嬉しそうに言う。

 勇者は、なぜか返事をしなかった。あんまり嬉しくなさそうである。








 次に王女様が引いた。

 札を開いた王女様は、ふむ、と少しだけ目を細めた。


『並翼の相』

『どちらか一方では届かぬ先へ、並んでよく届く相』


 王女様は、それを見て満足そうに笑った。


「まあ。悪くないわね」






 最後に剣士が引いた。


『静定の相』

『騒がず、乱れず、長く傍らに留まる相』


「……おおー」


 と、私は思わず声を漏らした。

 すごく分かる。

 剣士自身がそのまま札になったみたいだった。








 結果。

 全員よかった。


「……決まりませんね」


 私が率直に言うと、王女様が笑って、勇者が頭を抱えた。


「こういう時、普通一人くらい微妙な結果が出るだろ!」




 私は三人を見比べた。


 勇者は長く続く。

 王女様は並んで高く届く。

 剣士さんは静かに留まる。


 うん。全部いい。


「じゃあ」


 私は自然に言った。


「全員と試せばいいんじゃない?」







 しばらく、沈黙があった。













 最初は勇者だった。


「……手、出せ」


「うん」


 私が素直に左手を出すと、勇者は一瞬だけ固まった。

 それから、やたら慎重に指輪を持ち上げる。


 ……遅い。カタツムリもかくやと言わんばかりの、のろのろとした動き。


 でも、いざはめるとなると、指先は妙に丁寧だった。

 雑じゃない。むしろ丁寧すぎるくらい。


「……………………」

「だ、大丈夫?」

「うるさい、今ちょっと集中してる」

「指輪はめるだけだよね?」

「分かってるって!」


 声だけ大きい。

 村の子どもたちが、離れたところで面白そうに見ていた。小さな女の子たちがひそひそ囁き合ってるのも見える。やめてあげてほしい。




 結局、勇者は時間をかけて、でもちゃんと真っ直ぐにはめた。

 指輪をはめるのは遅かったのに、そのあと一歩下がるのは、やたら速かった。


 それを見て、王女様は肩を震わせていた。









「次は私ね」


 王女様は、涼しい顔で前に出た。



 ……しかし。

 私が手を差し出した瞬間、王女様はぴたりと止まった。


「……王女様?」


 呼ぶと、王女様はパチパチと瞬きをした。

 それから、何でもないことみたいに私の手を取ろうとして――指先が少し外れ、取り損ねた。


「…………あら?」



 しばらく、誰も何も言わなかった。








 王女様は、自分でも信じられないみたいな顔で、私の手を見ていた。

 耳が、みるみる赤くなる。


「お、王女様……?」

「……ち、違うわ。こんなはずじゃ……。ち、ちょっと待ちなさい」


 声が硬い。

 いや、硬いというより、完全に裏返っていた。


 王女様はやり直すみたいに、今度こそ私の手を取った。

 でも、そのまま、また止まる。


 指輪はもう反対の手にある。

 私の指もそこにある。

 なのに、そこから先へ進めない。


 



 王女様は私の指を見つめたまま、震える手で、ようやく指輪を近づけた。

 でも、今度は角度が合っていない。

 一回で入らない。


 かつ、と小さく爪が当たる。

 王女様の肩がびくっと揺れた。

 耳どころか、首まで赤い。




 やり直して、今度こそ指輪が入る。


 でも、王女様はそこで完全に静止した。まるで空からいきなり石化呪文が降り注いで、王女様に直撃したみたいだった。


「あの……?」


 私が恐る恐る声をかけると、王女様はびくっとした。


 それからようやく、慌てたようにぱっと手を放す。











 向こうで、今度は勇者が、肩を震わせていた。


「マジか……お前……今さっきまで散々――」

「黙りなさい!」











 私は王女様と自分の手元を見比べる。


「……緊張したんですか?」

「してないわ」


 間髪入れずに返ってきた。

 ……うんわかった。王女様は緊張していない。








 最後に、剣士。


「お願いします」


 私が手を出すと、剣士は何も言わずにその手を取った。そして、なんとその場にそっとひざまずいた。


 体温が少しだけ高い。

 でも手つきは落ち着いていて、勇者みたいに止まったりしない。王女様みたいに何度も失敗する感じでもない。最短距離で、無駄なく、すっと指輪をはめる。



 たぶん、いちばん自然だった。

 だから、最初は気づかなかった。


 指輪が収まっても、剣士がそのまま手を離さなかったことに。





 私は少し待ってから、遠慮がちに口を開く。目が合った。じっと、こちらを見ている。


「あの……?」


 その声で、剣士は、すっと手を引いた。


 何だろう。


 でも、本人はもういつも通りの顔に戻っていた。


「どうかしました?」


 私が聞くと、剣士は短く答えた。


「問題ない」


 勇者がじとっとした目で見た。


「……本当にか?」

「何も問題ない」


 王女様は何も言わなかったけれど、「ふーん?」と言いながら、ちょっとだけ目を細めていた。







 私は自分の手元を見下ろした。

 三人とも、はめ方が少しずつ違った。


 勇者はやたら丁寧で、王女様はちょっと慌てて、剣士は落ち着いていた。


「面白いね」


 私が言うと、勇者が疲れた声で返した。


「何がだよ……」

「3人とも全然違ったから」

「そりゃ違うだろ」


 王女様がいつも通り、くすっと笑う。しかしその耳はまだ真っ赤だった。


「勇者はずいぶん分かりやすかったわ」

「え? そっちこそ耳真っ赤ですけど?」






 私は指輪をそっと外しながら、今日の調査結果を頭の中でまとめる。


 なるほど。

 相性は三人とも悪くない。

 ただ、全員ちょっとずつ変である。


 ……でも、それはそれで面白いから、いいのかもしれない。










 そして、夕暮れが近づき、村を出ようと出口に向かっている途中。


 風が吹いて、また銀の輪が鳴った。


 私は振り返った。あちこちの軒先で、銀の輪が夕日に光っている。







「夫婦って、仲良しで元気で長生きなんですね。大変そうだけど、ちょっといいかもって思いました」


 隣で、勇者がなぜか変な顔をした。

 王女様は吹き出しているし、剣士は相変わらず静か。







「ま、あんま参考にはならなかったけどな。でも面白いもん見たからいいわー」

「……うるっさいわねぇ……あなただって大概だったわよ? あんなんじゃ本番が思いやられるわ。しっかりしなさいな」




 私は、前を行く、真っ赤な耳をした2人を見ながら、ふむ、と頷いた。非常に仲が良さそうである。にしても、「本番」……? これは、ひょっとして。






「勇者と王女様に……春が来た……?」









「お前の思ってるようなことは絶対起こってない。いいか。繰り返す。お前の思ってるそれは妄想だ。今すぐ忘れろ」


「ただいまの発言につきまして、王家は明確に遺憾の意を表明します」




 勇者と王女様から同時に否定され、私は思いついた仮説をひっこめた。

 どうやら違ったらしい。残念。

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