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エイムの魔法植物学  作者: izumo_3D
ー亡霊の家編ー
25/59

出るようになったのです

エイムたちは相変わらず道を歩いていた。

ずっと歩き詰めで、さすがに二人には疲労の色が見える。


しばらくすると、エイムが声を上げた。

「あっ!見て!村が見えてきたよ!」


「本当か!やっとゆっくり休めるぜ~…」

シラセの疲れた表情に、安堵が浮かぶ。


二人は期待を胸に、村へと歩みを進めた。


その村は、シラセのいた村よりも少し大きいようだった。

民家がまとまって建っており、人々はせわしなく働いている。

ただ、人々はどこか浮かないような、不安そうな表情を浮かべているのが、二人には気がかりだった。


エイムは、道行く男に話しかけた。

「あ、あの、すみません。

私たち旅をしている者で、少しこの村で休ませていただけないかと思っていまして…

村長さんと、お話をしたいのですが…」


「ああ、そうなのかい。よくいらっしゃいましたね。

村長なら、奥の方の少し大きな家に居ると思うよ。

…しかし、あんたたちも来る時期が悪かったね…」

男は少しばつが悪そうに話す。


「え、それってどういう…ことですか?」


「あ、いやあ…詳しくは村長に聞いてくれるかな。

じゃ、私はこれで。」


「あ、はい…ありがとうございます…」


エイムとシラセは不思議そうに顔を見合わせた。

「なんだろうね…?」

「わからんが、とりあえず村長の家に向かおう。」


二人は村長の家を探して、村の奥に歩いていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


しばらく行くと、男の言葉通り、少し大きな家があった。


エイムは少し緊張しながら、ドアをノックする。


「あの、すみません!私たちは旅の者なのですが、少しこの村でお休みさせてもらえたらと思っていまして…

一度ご挨拶をさせていただけないでしょうか?」


しばらくすると、ギィ…と音を立てて、ドアが開き、中から白髪の小柄な男が出てきた。


「やあ、旅人とは久しぶりですな。

私は村長のヘルマンと申します。

ささ、どうぞお入りください。」


「ありがとうございます。」


エイムたちは家の中に入ると、テーブルにつくよう促された。

ヘルマンはにこやかな表情を浮かべながら、柔和な様子で話しかける。


「それにしてもずいぶんお若い旅人だ。

どちらまで旅をされているのですか?」


「はい、私たちは魔法都市フィオルナを目指して旅をしています。」


「ほう!フィオルナ!それではもしかして、あなた方は魔法が使えるのですか?」


「ええ、まあ…私は全然大したことはないですが…」


「いやいや、ご謙遜なさらずに!

この時代に珍しいことだ。神に祝福されたのでしょうね、さぞめでたい!」


「あはは、どうなんでしょう…」

エイムは少し困ったように笑う。

というのも、エイムの魔法の発現は、両親が病床に付したことがきっかけだった。

エイムとしては、それが神の祝福だと言われても、素直には喜べなかった。


「それで、村長。

恥ずかしい話なんですが、かれこれ10日以上は歩き詰めで、ちょうど休憩する宿がないかと探していたところだったんです。

この村で少しの間、滞在させていただいてもよろしいでしょうか?」


「おお、それはもちろん!

この村には宿屋もありますから、ぜひそちらでお休みになってください。」


「ありがとうございます!

それで…大変お話しずらいのですが…」


「はて?どうされました?」

村長は首をかしげて尋ねる。


「実は私たち、全然お金を持っていなくて…ですね…

何かお困りごとなどありませんか?

何かあるようでしたら、そちらを解決する代わりに、宿をお貸しいただけたらありがたいなぁ…なんて…あはは…」

エイムは後ろめたそうに話す。

横に座っているシラセも、苦笑いしながら目を伏していた。


「なんと、そんなことですか!

わが村にとっても久しぶりの旅のお方だ。

それにお二人ともとても若い!お金に苦労するのもよくわかります。

宿の御代なら私が立て替えますよ、はっはっは!」


「え、いいんですか!?ありがとうございます!

でも、さすがに申し訳なさすぎます!何かお困りごとなどありませんか?

私たちにできることなら、何でもします!」

エイムがこぶしを握り、力強く尋ねる。


「…ふむ。それでは…うーん…しかし…」

村長は打ち明けるのをひどく悩んでいる様子だ。


「何かあるんですね、ぜひ話してください!」

エイムが前のめりに問いかける。

その勢いに気圧され、村長はたまらず口を開いた。


「…実は、わが村の外れに一軒、家が建っているのですが…

しばらく前から…出るようになったのです…」


「出る…一体なにがですか!?」


「………亡霊です…」


「…亡…霊…!?」

エイムとシラセは、互いに顔を見合わせた。

言葉を交わさずとも、二人の表情が、雲行きの怪しさを物語っていた。

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