渾身
倒れたエイムに、飛び掛かるガルム。
シラセは手を伸ばし、駆け出そうとしていた。
「エイム!!逃げろ!!!」
その時、エイムが不敵な笑みを浮かべてつぶやいた。
「太陽の光が苦手なんだよね?なら…!!!」
エイムは、腕で何かを隠していた。
その手をどけて、姿を現したのは、ピーちゃんだった。
「これはどう!?ピーちゃん!!『太陽の力』全解放!!!」
「ピィィイイイイイ!!!」
ピーちゃんが叫び、羽をガルムに向ける。
するとその羽から、眩い光がガルムに向けて、フラッシュのように放たれた。
ピーちゃんは、自然の様々なエネルギーをため込める。
そしてこの一瞬で、これまでため込んでいた太陽のエネルギーを、前方に向けて全開放したのだった。
瞬間、前方の景色は色を失い、純白だけが張り付いたように視界を覆った。
「ギャアァァァァアアアァァアアアア!!!!!」
ガルムはものすごい叫び声を上げる。
「…っ!あいつ、わざと転んで隙を作ったのか…!!」
シラセが目を見張る。
目前で強烈な光を浴びたガルムは大きく仰け反り、その巨体がエイムの目の前で無防備に腹を晒していた。
「「今だッ!!」」
エイムは瞬時に立ち上がり、右足を持ち上げる。
右足が、緑の光を纏い始める。
その光が足を覆い、うねる。
そこには、爆発的なエネルギーが渦巻いている。
一瞬の造作だが、遠くから見ていたシラセにはまるでスローモーションのように見えていた。
「いけぇぇええええ!!!」
願いの全てを託すように、渾身の叫びが彼の口からほとばしった。
エイムが、決意の炎が宿る眼でガルムを睨みながら、叫ぶ。
「マナ!!インパクt」言いかけた、その瞬間だった。
エイムの言葉を遮るように、ガルムの腹が、唐突に裂けた。
ブチ…ブチブチ…と気味の悪い音を立てながら、糸を引いて、肉が二つに割れる。
そして。
中から出てきたのは、エイムの顔よりもはるかに大きい、ひとつの目玉だった。
目玉はギョロギョロとあたりを見回した後、エイムの顔をとらえた。
見たこともないような、おぞましい光景。それが眼前に、瞬時に、現れた。
「…え」
あまりの出来事に、エイムの思考が、体が、硬直する。
それはシラセも同様だった。
同時に、ガルムの両わき腹から二本の触手が肉を突き破り、血潮を撒き散らしながら飛び出した。
触手の先端は硬く鋭く尖り、猛獣の爪のように光っていた。
長くうねる触手は一瞬でエイムを向き、凶悪な速度で獲物を狩るように、その心臓を貫かんと、迫っていた。
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