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スピンオフ、そして更なる高みを目指して――

 スピンオフ作品について触れる前に、なぜそれが必要になったかということについて書いておこうと思います。


 このエッセイを始めた後、予想より多くの反響、感想を頂きました。

 僕の感情を若干オーバーに書いていたこともあって、


「ブクマが外れることに影響を受けすぎ」


 というような声も多かったのですが、それは事実だと思います。


 ただ、大まかな作品ごとの根っこの部分では、実はブクマが外れても、批判的な感想を受け取っても、変えずに続けてきているんですね。


 たとえば、『身売りっ娘 俺がまとめて面倒見ますっ!』では、主人公は現代と過去をある程度自由に行き来できる、という以外は、ただの高校生です。特にチートな能力があるわけではありません。

 そのくせに、変な正義感というか、「黙って見ていられない」状況が発生してしまったときに、自分が苦境に陥りながらも、なんとかしようと奮闘します。


 そのたびに成長し、ヒロイン達からも信頼されていくようになるのですが、そのコンセプト上、その「黙って見ていられない」状況というものが発生してしまう訳です。


 すると、


「せっかく平和に暮らせるようになったのに、可哀想だ」


 とか、


「見るのが辛くなった」


 というような意見をいただきますし、『妖怪ブクマ外し』も出現してしまいます。


 しかし、そこは耐えます。

 ある程度試練が存在しないと、主人公も、ヒロイン達も成長しないのです。


『異世界結婚相談所』も、タイトルと中身の印象が異なる、という意見をよくもらいます。

 確かにタイトルだけを見ると、ファンタジーっぽい世界で恋愛関連の悩みを持っている相談者達を、特殊能力を持った主人公が奇想天外な方法で次々と解決し、恋愛を成就させていく、というストーリーを連想しがちです。


 しかし、その実態は冒険ものです。バトルも頻繁に発生します。

 一件の恋愛相談の解決の為に、数ヶ月単位で世界中、ときには時空を越えて旅を続けることになります。


 このことに、批判的な違和感を訴えるご意見を頂くことがあるわけですね。

 事実、ヒロインが復帰してからは、その方向に話を持って行こうかとも考えましたし、今もその葛藤は続いています。


 けれど、実際にはどういうわけか、まだ主人公とヒロインは冒険を続けています。

 それも、より強力な敵が存在する世界で。


 これは、そういう冒険やバトルの世界に憧れを持っている、僕の根っこの部分なのかもしれません。

 しかし、上でも書いたとおり、『結婚相談所』というタイトルの意義が薄れていることも事実です。


 その矛盾を解消するためと、僕自身が書いてみたい話がいくつかあったので、『Re:奇跡の結婚相談所』というスピンオフ作品の掲載を始めたのです(あまり更新できていませんが)。


 このスピンオフで『異世界』表記を使用していないのは、ちょっとした理由があるのですが、それはまた別の話です。


 このスピンオフはそれほど反響は大きくありませんでしたが、『身売りっ娘』のスピンオフを開始したときの反響はかなり大きなものでした。


 前述の通り、『身売りっ娘』は定期的に困難が立ちはだかる連続ストーリーとなっています。

 しかし、せっかく現代と過去を行き来できるのですから、もっと手軽に、現代の便利なアイテムを持ち込んで三百年前の人々を驚かせたい、と考えて掲載を開始したのが、『前田屋号店繁盛記』でした。


 これについては、主な登場人物が『身売りっ娘』でおなじみのヒロイン達だったこともあり、そこから多くの人がブックマークを登録してくださったので、そこそこ初期ブーストがかかった状態となりました。


 すると『前田屋号店繁盛記』は日間ランキングに入り、それを見た人が元の作品である『身売りっ娘』の方もブクマしてくれる、というスパイラルが発生し、『身売りっ娘』の方もまたプチブースト状態となったのでした。


 そして当時、いわゆる『飯テロ』ものが流行っていたこともあり、僕自身が書きたいと思っていたこともあって、江戸時代に現代の料理を持ち込む『天女の店のお品書き』の掲載も開始したのです。


 この作品についても、大きくではありませんが、初期ブーストがかかりました。


 それぞれ単にアイテム、料理を紹介するだけではなく、それにまつわるサブストーリーを書いて、基本的に一話完結型の作品としています。


 ここで気を付けたのは、『身売りっ娘』を読んでいなくても楽しめる作品を目指した、ということです。


 もしこれが、単に『身売りっ娘』の続編、という扱いならば、ここまで見てくれる人はいなかったのではないか、と考えています。そうすると、『身売りっ娘』を見ていない人は、全くついてこられない話となるからです。


 すると、


「殺伐とした本編より、こちらの方が好きです」


 という感想を結構頂きました。

 やはり、山あり、谷ありの展開よりも、ほっとするような話が続く方を好まれる方が結構いるのだな、と実感しました。


 そしてこれらスピンオフの作品があるおかげで、本編の方も、当初のコンセプトを維持したまま、連載を続ける事ができたのだと思っています。


 ただ、だからといって闇雲にスピンオフ作品を作ればいいのかと言えば、そんなことはないです。


「関連はあるが、コンセプトの異なる作品を掲載したい」


 とするならばそれは有益だと思いますが、安易なブースト狙い、ブクマ数増加狙いで実践したとしても、それは受け入れてもらえないと考えています。

 やはり、それなりの、場合によっては本編以上の内容を伴っていないと、成功することはないと考えています。


 ――以上、四回に渡って、実際の例を基に、『日間ブースト現象』と『妖怪ブクマ外し』について、思うところを述べさせていただきました。


 当初思っていたより長くなったのと、想像以上に多くの感想をいただきました。


 僕が「なろう小説」を書いている中で僕が経験し、考えて来た事柄ですが、僕自身、書籍化を果たしたわけでもなく、決して成功している訳ではないので、説得力がない部分も多々あったかと思います。


 しかし、僕だけではなく、多くのなろう作家さんにとって、『ブクマ』や『評価』によるポイントというのは、単なる数字ではなく、多くの意味を持っているものだと思います。


 書籍化の声がかかるボーダーは、三万ポイントだという見解があります。


「小説家になろう」に掲載している以上、それを一つの目標に掲げている人は多いことでしょう。とするならば、ポイントを気にするのは当然です。


 しかし、それ以上に、ポイントはそれをつけてくださる『読者』の存在する、生きた数字なのです。そこが、ゲームのスコアなどとは異なる点です。


「評価」はまだしも、「ブクマ」は、作品を読むことなく付けたり、外したりする方がいると分かっています。

 しかしそれでも、多くの作者は気にします。


 書籍化が遠のくからではありません。


「何が受け入れられなかったのだろうか」


 と悩んでしまうのです。


 ポイントが増えるのはもちろん嬉しいのですが、「減る」ことの方がはるかに気になります。そういう(さが)なのでしょう。


 でも、一喜一憂できるからこそ、楽しいのかもしれません。それだけ夢中になっている、ということなのですから。


 これからも、僕自身、『妖怪ブクマ外し』の脅威に怯えながら、試行錯誤し、再び『ブースト』の興奮が味わえる日が来ることを心待ちにして、『小説家になろう』での活動を続けていきたいと思っています。

※本文にも書きましたとおり、当初の計画より長くなってしまいましたが、今回にて完結とさせていただきます。想像以上に多くのご意見を頂き、感謝しております。


※このエッセイ自体につきましても、ブクマ登録や評価、感想などいただけましたら、これからの励みになり、また、今後の試行錯誤の粮にさせていただきたいと考えていますm(_ _)m。

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