テスト結果は衝撃の内容でした。
合宿から家に戻ると、何故か家には俊君以外の姿が見えなかった。
「あれ?おとうさんとおかあさんは?」
「2人なら出かけてていないよ。なんでも近くのホテルの食事券が当たったとかでそっちに行ってるみたい」
ああ、そういえば合宿の前日に「スーパーで食事券が当たったのよ!」って嬉しそうにおかあさん話してたっけ。なるほど、期限もあるだろうし、空いてる日に行くのが適当だろう。
「俊君は行かなくて良かったの?」
「俺は部活の連中とご飯食べる約束してたから別に大丈夫。優美ご飯は?」
「ごめん、もう寝るね」
正直合宿で睡眠時間はきちんと確保できたとはいえ、ずっとキラキラエフェクトかかる方々と三日二晩ともにしたわけで、劇の稽古や生徒会の仕事も相まって疲れが大分来ていた。
明後日から学校だけど、夏休みの宿題は終わらせてるし、明日は生徒会もお休みだから家で寝てようかなあ…
そう思いつつ、意識は夢の中に吸い込まれ、ベッドに辿りついた時には私は意識を手放していた。
2日後。
「おはよう」
「あぁ、真純おはよう……」
「なんかすごい眠そうね」
いや私も想定していなかったのですがね、寝れるって思ってたのにね。
自然とため息が出るのを不思議そうに見られた。
いやあ、忘れてたんだよ、生徒会の劇のポスター案。
7月に任されてから全然考えていなかったから白紙も同然だった。
期限はまだにせよ、来週には課題テストもあるし生徒会の仕事やクラスの出し物の準備もあわただしくなってくるはずだ。
その前には、なんとか終わらせておかないと!ギリギリって計画頓挫しやすいからね!
と気付いたのが昨日の夜ごろ。まあそれまで丸1日ほどずっと眠りについてたから、逆に良く気付けたよ私……
というわけで夜遅くまでずっとポスター案を練っていたため今とても眠たい。あー、案却下されることも考えて今日皆さんに見せておくべきだよなあ。
「先生きたら起こしたげるわ」
「ありがと、親友」
そして2度目の眠り(といっても20分ほどだが)についたのだ。
まあ20分で睡魔が去ってくれるわけもないが、それでも結構スッキリした気分だ。これなら夜までは持ちそうだな。
「優美、テストの結果掲示されてるらしいけど見に行く?」
「あ、うん行きたい」
このテスト結果で買い出し当番が決まるから見に行かざるを得ないんだけど。
見に行ってみると、いつもより人だかりが多い?
しかも人数の割に円が大きいからなんだか遠巻きに見てる感じがするけど。
集団の方に着いて後ろから見ると、案の定一番前にいた人々と少し距離を置いて人が集まっている。そして、一番前にいたのは生徒会役員とファンクラブ会長さん達だった。
これはなんか変な空気だから一旦出直そうか、と前に出る前に回れ右をしようとしたが、残念ながら集団の反応の方が早く、不自然に私の前だけ道を開けられる。
いや、そんなことされたら、
「あ、優美ちゃん!」
桃華の良く通る声に反応し、集団の大半がこちらを向く。その中にはもちろん役員やファンクラブ会長も含まれるわけで、今更後戻りできなくなってしまった。
「来るの遅いよー」
「ごめん。それで順位は…」
3位のところに自分の名前を見つけてあっとなる。
1位から順に睡蓮君、桃華、私、金鳳君で並んでいた。いよっし!点数も満たしてるから取り敢えず50%の確率で買い出し当番ではなくなった。
思わず笑みがこぼれ、金鳳君にジト目で見られた。いや、ごめん。
そして、3年の先輩方のは…と辿ると、
「えっ…」
あ、しまった声に出てた。でも声に出るのも無理はないと思う。
なんせ、いつも不動の1位の下にある『橘怜』の2文字がなかったからだ。しかも2位でもなく、まさかの3位。点数もいつものに比べると大分悪い気がする。
1位と2位はそれぞれ副会長と柘植先輩だったが、それでも怜様が1位でないのが生徒達にもショックだったらしい。それでこの人だかりと謎の空間か。
「今回の買い出し当番は怜と翔汰に決定ですね」
「でも珍しいですね、翔汰に関しては篠宮さんと僅差ですし納得できますけど怜先輩がこんな点数なんて」
「数学で最初の方ミスってたんだよ!それが無かったら勝てたし!でも、怜先輩がこの点数は本当に珍しいね」
副会長、睡蓮君、金鳳君が次々言う中で、怜様はいつものクールな顔のままで集中できなかった、と呟いた。その目線はじっと表の自分の名前を向いている。
そのまま目線を逸らし、こちらを向くのかと思ったら、途中で止まり下の方へと向けた。
怜様のいつにない行動に私達もどう反応すればいいのか分からない。
怜様、どうかされたのだろうか。まさか、私に関することで…いやいやそれは自意識過剰だな、何か他に憂いを感じさせる何かがあったのだろう。話されないということは、まさか家族のこととか?いやそもそも怜様はそういうのをべらべらとお話しにはならないか。うーん…
私は怜様をじっと見つめていたため、他の役員達が怜様ではなく、私の方を見て顔を見合わせているとは気づかなかった。




