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絵描きの才能はあってもカメラマンの才能はありません。

「私達はそろそろ教室に戻りますね」


 買い出し当番も決まり、用事は済んだとばかりに皆さんは去っていった。

 私もテスト結果は見終わったし教室に戻ればいいのだが、まだ用事が残っている。


「優美さん、合宿お疲れ様ですわ」

「ありがとうございます。ユリア様、頼まれていた写真の件ですが…」


 そう、合宿での役員の方々のお写真を渡さないといけない。写真はきちんとデジカメで撮ってあるので画質はバッチリ。

 個人的には良い出来栄えだと思うけど、まあ、隣にカメラの名人いるからなあ。


「私の分と桃華が撮った中で役員メンバーが映っている写真が入ってます」

「ありがとう、本当に助かるわ。桃華さんもありがとうね」

「いえ!優美ちゃんの写真を結構撮ってたので役員の皆さんの写真はあまりないのですが…」

「謝らなくていいって!優美の写真を撮る方が本業なんだし、そっちも楽しみにしてるんだから」


 いえ、菊乃先輩、それは楽しみにしなくていいです。無関心で全然いいんで期待しないでくださいこちらが緊張するので!!


「その甲斐あってか割といい写真撮れたんですよー!!」

 とウキウキしながら桃華は写真をスクロールしていく。

 どれどれ、とファンクラブ会長さん達が見てて頭を抱えたくなる。


 全部きちんとチェックして許可はしているものばかりだけど、枚数多すぎて確認した際には卒倒するかと思った。

 三日目だけで自分のピン50枚とか撮りすぎだから!しかも消してその量だったから実際の量は相当多かった。確実にあんなにはいらなかったよね!!

 写真のフィルム海に沈めたくなった私の気持ちも察して欲しい!!その写真のスキルを他に有効活用した方がいいと思うんだ!!


「写真販売を楽しみにしててくださいね!」

 …って言いたいけど桃華のキラキラした笑顔を見たら、何も言えなくなるんだよなあ。


 ふっと笑うのをこらえてもう流石にいいだろうとカメラを取り上げに行く。そうは言ったって恥ずかしいものは恥ずかしいんだから!!




「すみません、劇のポスター案作ってみたんで見てもらってもいいですか?」


 毎回の仕事が割り振られる前、少し時間をもらったので紙を見せて確認してもらう。

 ドレスを着た女性、これはもちろん姫のことだが、彼女のシルエットと白いハンカチ、背景には桜を散らせてある。左上に日時等を入れるつもりなので、紙の絵は色鉛筆でざっと描いたものだ。


「へー、なかなかなもんだね」

「流石だなー」

「私はこれで全然構いませんよ」


 ほっ、批判が入らなくてよかった。手直しはともかく構成の練り直しは本当に面倒だからこの案のままでいいのなら私的には万々歳だ。


「じゃあ、またポスター完成したら持ってきますね」

 そして仕事の割り振りを聞きながらポスターの段取りを考えていた。




 次の日。

 朝学校に着き靴を履き替えようと下駄箱を開けると、一枚の紙が入っていた。


 なんだろう、と思って確認すると、

「朝来たらすぐ演劇部の部室に来てください、お話ししたいことがあります」

 とだけ書かれていた。


 少し時間はあったので急いで向かうと、部室の前には誰もおらず、ノックしても何も返事がなかった。


 どういうことだろう、と扉に手をかけると、閉まっていると思っていた扉は何故か開いていた。


「ん?失礼しまーす」


 人がいる気配はないんだけどな、と思いつつ中を見て思わず目を見開いてしまった。


「何これ……なんでこんなに………」



 中にあった衣装は無惨にも破かれ、小道具も不自然な絵の具の跡があった。



「と、とにかく鈴乃ちゃんに知らせないと!!」

 取り敢えず急いで誰かに知らせることしか頭になかった私は、この状況を陰で見ている人達に気付かなかった。


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