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台本が完成しました。

「台本完成しました!!」


 朝、可愛らしい鈴のような声で駆け寄って来たのは、お名前も顔も可愛らしい、近頃お馴染みの鈴乃ちゃんだ。

 隣には体育祭で一緒にいた同じく美少女の凜ちゃんもいる。


 ちなみに、今まで美少女美少女だけ言って一切容姿について触れなかったので、皆様の想像を華やかにするために解説しますと、桃華ははつらつとした感じで可愛らしいかついじらしい、まあ要は女子の理想完全形であるのに対し、鈴乃ちゃんはよりいじらしいに傾く。

 それで言うと、金鳳君ファンクラブ会長の撫子先輩や志穂のお姉様の芹那先輩を思い浮かべると思うが、確かに3人は似た系統の可愛らしさだ。この3人が話してたら微笑ましいお花畑エフェクトがかかる気がする。

 まあ性格は芹那先輩は天然ゆるゆるさん、撫子先輩はしっかり頼れるさん、鈴乃ちゃんははつらつ元気さんだ。


 そして、凜ちゃんは、今まで皆様に紹介した美少女ではあまり近い系はいない………かなぁ。

 クールな見た目で鈴乃ちゃんとは対照的に見える。


 そういえばクールビューティーって噂を聞いたことがあるけど、あれ、でも体育祭の時ハスキーボイス普通に聞いたよね?


 まあ、それは置いておいて、説明は以上です。

 是非お役に立てれば!


「優美様、どうしたんですか?ぼーっとして」


「あ!ごめん!台本完成したんだよね!でもまだ3日しか経ってないけど」

「いや、生徒会の文化祭の劇の台本が作れるなんて聞いて嬉しくて、勢いが止まらなくって。演劇部の人達も凜ちゃんも手伝ってくれたおかげで早くできたんです!」


 あ、これみかんです。優美ちゃんがお好きだと聞いたので、と挟みつつ鈴乃ちゃんは夏みかんと台本のコピーを私にくれた。


「『ハンカチのしるし』って言ったらたしか悲恋物の」

「はいっ、誰もが知ってる童話です!」


『ハンカチのしるし』というのはこの世界独自の童話らしく、正直前世では1度も聞いたことがなかった。


 ただ、この話は悲恋ながら人気があり、前世でいう人魚姫程の知名度だ。


 ある国のお姫様と皇子様が愛し合うながらも別れを告げなければならなくなり、別れの際にハンカチを渡す、といった話だった。


 正直私はこの話は好きじゃない。

 まあ、そもそも悲恋物が好きじゃないが、この話は見てて胸が苦しくなる。


 まあでも好きな人は好きなんだから私が口を出すようなことじゃないけど。


「なるべく皆が知ってる物がよくて、かつ男女の融通が利きそうなのがこれしか思いつかなくて。でも頑張ってクライマックスいい感じにしてみたので是非!!!」

「なるほど、それでこの話なのか」


 試しにパラパラと台本をめくってみたが、結構本格的な感じになっている。

 ちなみに、配役は7人ぴったり。ナレーションはなかったかぁ………


「少し読んだだけだけどとても面白そう。今日生徒会の役員の人達にも見せてみるね。本当ありがとう」

「いえ!逆に書かせて頂いて光栄です!むしろ私が感謝すべきというか、」

「高崎さんも手伝ってくれたみたいでありがとう」

「いや、私何もしてないので!完成できて良かったです」


 うわー、学年でもモテる女子2人に喜ばれるのは見てて眼福だよね、ほんと私の周り美男美女多くて目薬いらずだなー、たまに頭が痛くなることがあるけど。


「何かお礼を………」

 みかんももらったしなー、何かお返しはしないと頼りっぱなしって居心地悪いし。何がいいかなー、と考えてると、なら、とおずおず鈴乃ちゃんが切り出した。


「あのっ、是非名前で呼んで頂けませんか」


「名前?鈴乃ちゃんと凜ちゃんでいいかな?」


 そう言うと目の前で2人がキャーっとアイドルファン並に声をあげた。


「そもそも敬語使わなくていいし、名前に「様」も付けなくていいよ。同級生だし私達」

「そ、そんなことまで………っありがとうございますありがとうございます」

「やったね鈴乃ちゃん!」

「うん!嬉しい!!!」


 そんな、当たり前のことでこんなに喜んで貰えるとは思ってなかったからびっくりした。


 てか、いつから私アイドルみたいにのしあげられてるんだっけ、あれ、正しい反応の人少なすぎない?なんでヒロインクラスにキャーキャー言われるモブに………

 まあいっか!悪い気はしないし!


 思わず楽観視した私はそのままチャイムまで泣き出してしまった2人を慰めていた。




 ちなみに、後日凜ちゃんにクールビューティーはいずこに?と尋ねると、

「私好きな人とか親しい人の前ではちゃんと話せるんですけど、それ以外の人の前で話すの苦手で」

 と話していた。


 それを隣で聞いた桃華が

「凜ちゃんタイプって攻略の時に1番萌えるよね」

 とこそっと呟いていたのはあれはどういう意味だったんだろう?

遂に開き直った優美。アイドルとしてのファンへの対応スキルが作者も驚きの上昇です。←

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