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これが私の”演説”です。

 深呼吸をし、目を閉じると浮かぶのは生徒会役員の皆。そして、私の最愛だった人。




『自分のしたいことしてたら後悔しないだろうっていうのも一理あるけどさ。人間さ、後悔せずに生きるなんて無理なんだと思うんだ。模範的な行動してたって後悔なんて星の数ほどする。だったらさ、後悔したっていいから自分のしたいことしたいって思うんだよね。そしたら後悔したってジメジメした後悔じゃなくてスッキリした後悔な気がして。......やっぱ俺おかしいね』

 私の記憶の中の彼は苦笑いしていた。あの時私はなんて答えたんだっけ。たしか、




「次は生徒会書記に立候補している2年1組篠宮優美さんです。お願いします」

「はい」

 先日完成した原稿を握りしめ私は演説台に向かった。

 ステージから見下ろしたところには様々な表情の聴衆(生徒)がいる。寝ている、または寝そうになっている者、友と密かに話す者、興味深そうにこちらを見る者、半ば睨むようにしている者。

 私は原稿を取り出して広げた。息を吸う。息を吐く。

「此の度生徒会書記に立候補致しました篠宮優美と申します。」


(副会長、すみません)

 私は軽い礼とともに原稿の紙を少し横にずらした。これは私から役員の皆への意思表示。私は原稿を丸無視して話すという。きっと今頃役員の皆は驚いているだろう。でも、私は、自分の言葉が言いたいんです。


「私が今回立候補した理由ですが、最初私が生徒会に仮として加入した際、私はあまり生徒会の一員としていることにノリ気ではありませんでした。廊下や教室で皆さんからの視線を感じる度に何故自分が生徒会でいるのか、その意味を見いだせませんでした。辞めたいとも何度も思いました。

でも、仕事の時役員の皆さんが頼ってくれた。私の仕事がこの学校の一部として動いていると感じられた。それがとても、嬉しかったんです。どれだけ仕事が大変でも放り出そうとは思わなかった。

その時に役員として他の役員を支えたいと思いました。自分に出来ることなんて限られているし、他の役員に比べると劣っている部分もたくさんあるけど、その分努力をしていこうと思います。

 私は、別に清き一票をお願いします、とは言いません。そんなので票が集まると思える程自惚れてませんし、信頼を得てるなんて思ってません。

だから、私はこれから自分が役員としてちゃんとやれるように努めていきます、ので、見ていていただけませんか。私に機会をいただけませんか。

少しでも自分に期待をかけていただけるのならそれに見合う分を精一杯頑張りたいと思います。生徒会の役員に相応しいと生徒の皆さん全員に思われるようになりたいです。

だから、どうか票を私に入れてください。お願いします。」


 ふぅ、と述べ終えると、そこにはぽかんとしている人達しかいなくて、慌てて礼をしてその場を去った。

 やっちゃった、やっちまったよ私。日本語として成立していないところもあったし、ほぼノンストップで言いたいことを言いたいだけ言っちゃった。

「最悪………」

 変な奴として認識されているだろうなあ、とか、あとで他の役員から心配されるだろうなあ、とか色んなことを思った。後悔も若干している。けど、なんだか心がスッキリした。




『なら私はこれからおかしな人間になるのかもしれませんね。だって、私は貴方のような生き方がしたいから。おかしさ上等です!』

 前世での彼とのやり取りを思い出し、私は思わず笑みをこぼした。

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