エピローグ バルトレーンの恋心
「あ〜良かった良かった〜。ほらボルク、僕の言った通りになったでしょ?」
リーグレットとの話し合いが終わったバルトレーンは自室へ戻り、ソファに深く腰掛けるとボルクにそう言った。
ボルクはというと、ため息を吐きつつ彼の前にコーヒーを置いた。
「よもやあなたのストーカー行為を許容される女性がいらっしゃったとは……世の中広いですね……」
「なんだい僕が今までずっと彼女をつけまわしていたような言い草は……」
「事実でしょう。殿下が9歳の頃からずっとマキア・リスタルテの事を帝国情報部に探らせていたことは」
「だって同年代の魔導師だよ? 最初は利用出来れば……ってぐらいだったけど調べれば調べるほど彼女の魅力が増していったんだからそれぐらいするよね〜」
「はぁ……これが未来の帝国を率いる者とは……従者として頭の痛い話ですよ……」
「なんとでもいいたまえ。結果彼女は僕らの学校へ留学することになったんだからね。これも僕の愛の賜物だよ」
バルトレーンはカップを持ちながら窓際へ向かい外にいる学生たちを眺める。
「にしても愚かな国だ……。彼女の実力に気づけもせず。暴力を振るうだなんて……サリュース・リリベルタの扱いだってそうだ。彼女も磨けば国の上位に食い込むほどの魔法使いになれる素質があると言うのに、退学に追い込もうとするだなんて……実に勿体無い……」
「だから留学生として招いて我が国の戦力にしようと考えておられるので?」
「そだよ。それ以外にサリュース・リリベルタの価値がないしね」
ボルクはまた息を吐く。
今までバルトレーンに支えてきたが、他人に対する扱いがいつもこのように村家督かでしか判断できないのだ。
好意を抱いた相手には熱烈だと言うのに……他は冷めすぎているというか……。
だからボルクはそんな人を理解していないバルトレーンに物申す。
「価値が無いことはないでしょう。サリュース・リリベルタ嬢はあなたの愛するマキア・リスタルテのご友人なのですよ? あなたが彼女を存外に扱う事実をマキア様に知られでもしたら一瞬にして嫌われてしまうのは必須では?」
「はっ!? そ、そうだ、そうだよ!」
「殿下……もう少し人間というものを勉強なされた方がよろしいかと……」
「必要ないよ。僕が知りたいのはマキア・リスタルテのことだけで十分さ。あぁ。楽しみだなぁ……一緒に登校する日が……」
窓の外……空を見つめるバルトレーンの頬は朱色に染まっていた。
それは恋の火がついたようでいて、ボルクには同時に狂気を孕んだ顔のようにも見えるのだった。
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