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迷惑異世界のんびり道中記~ちびっ子勇者とともに~  作者: 沢野 りお
安住の地を求める勇者とぬいぐるみ

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勇者仲間 ⑨

ダンジョンアタックの翌日。


今日は一日、冒険者稼業はお休みです。兄は、ダンジョンに泊りがけで行くときのために、朝から宿の厨房を借りて大量の作り置きを調理中。姉と私の懇願を受けてたぶんスイーツも用意してくれていることだろう。


姉は、私が高いカラーシープの毛糸を買い渋るので、お小遣い稼ぎとばかりに冒険者ギルドでのお手伝いに出かけてます。まあ……冒険者ギルドってお偉いさんは荒っぽい冒険者たちにも対応できるように元冒険者が多いし、書類仕事が苦手な人ばかりなので、姉のように書類仕事が得意な人はありがたがられる。私たちも冒険者ギルドで姉が大人しく仕事していてくれれば安心だしね。


小次郎は冒険者ギルドが開いている初心者用の訓練に参加している。剣や槍、投げナイフなど元冒険者が実戦に使える技術を教えてくれるから、人気が高いと聞いています。


あれ? 私や兄も参加したほうがいいかな?

いやいや、私にはブランがいるから大丈夫! 私自身の戦闘能力は必要ない!


では、私は今日、なにをしているかというと……。

お裁縫をしています!


「……編みぐるみ以外に『手芸創作』スキルが活かせることを探れって……ただ、繕い物をさせるためじゃないの?」


そう、私たちがダンジョンアタックしたときの傷は姉のポンコツ治癒魔法で治せたけど、着ていた服までは直せない。穴が開いてしまったズボンとか、かぎ裂きができた袖とか、チクチク縫って直さないと。


確かに、以前難民キャンプ地で知り合った獣人のモーリッツさんから貰ったバッグを縫って直したら、収納魔法まで修繕できてマジックバッグとして復活したことがあったけど……ただの洋服の場合はどうかな?


「でも、この世界じゃ、気軽に洋服を買えないから大事にしないと」


既成品が少なく、平民はほぼ古着を愛用しているこの異世界。裕福な平民や貴族はオーダーメイドの服だけど、バカ高いのよっ。布代に人件費も手間賃も上乗せされるから! だから、買った古着を直して長く着ないとね。小次郎は体が大きくなるから、服を買うなら小次郎の分が優先!


私は、チクチクと誰もいない宿の部屋でお裁縫に集中するのだった。





























何気ない一日で終わるはずだったのに……。

まずは、冒険者ギルドでいらんことに気づいた姉から。


「それでね、冒険者ギルドには、冒険者さんたちが討伐する魔物を調べられる資料室があるの! ダンジョンがある場所やそのレベルとか、魔物分布図もあるんだけど、魔物図鑑があってね、それをみんなで見にいかない?」


「なんで?」


初心者用ダンジョンに出てくる魔物は、ほとんどがエンカウント済みでしょうが。今さら魔物図鑑で調べてどうするの?

しかし、姉はにっこりと笑顔で宣った。


「菊華ちゃんが作る編みぐるみの参考にするのよ~。とっても強い魔物を調べて編みぐるみで作ってもらえば、どんなダンジョンでも怖くないでしょう?」


「怖いわっ」


ダンジョンの怖さはそういうことではないのよ!


「でも図鑑を見るのはいいんじゃないか? 魔物の弱点や出没する場所とかの情報もあるだろうし」


兄の言うことにも一理ある。私たちがこの街に定住するならまだしも、他の街へ移動を考えているなら、その場所の魔物やダンジョンの情報を頭に入れておくことは、私たちの生存率を上げることに繋がるもの。


「……私はただ……かわいい魔物の編みぐるみがほしいんだけど……」


「お姉ちゃん……」


てへってかわいく笑ってもダメ! なに、そのかわいい魔物って、存在するの? 魔物はみんなグロくて気持ち悪いでしょ。


「あー、でもなぁ、魔物の編みぐるみは俺も賛成。昨日のダンジョンではブランもフォレスもちっこい姿で動いていたから、気が付く冒険者もいなかったみたいだが、誰かにブランたちを見られたときのことを考えて、編みぐるみ隊は魔物で揃えたい」


魔物の編みぐるみ隊って、なんかイヤなワードがきたーっ! それ作るのは私なんですけどーっ!


「ああ、ブランたちが見られても、菊華ちゃんがテイマーということにして誤魔化すんだね?」


ポンッと手を拳で叩いた小次郎よ、私にもわかるように説明してください。私がテイマーってなんですか?


この異世界では、動物を飼うという習慣はない。必要な家畜や移動用の馬などはいるが、ただ愛玩されるだけの動物は王侯貴族の気まぐれで飼われることはあっても、平民や冒険者が連れて歩くことはないと断言できる……らしい。


「それなのに、菊華みたいな女の子がブランと一緒にいたら変に目立つだろう?」


編みぐるみとしてバッグに飾っているだけならいいが、ブランは私のボディーガードであり貴重な攻撃力である。ダンジョンや魔物が出るところでは、犬のように連れ立って行動したい。犬じゃなくてオオカミらしいけど。


「で、その場合は、ブランをお前の従魔として周りに説明する。じゃないとお前のスキルがバレるだろう?」


兄の言う通り、私のスキルと小次郎の勇者はバレてはいけない。


「そうね……。ブランをペットとして紹介できないし、従魔だって言い切るしかないもんね」


「そうだろう? で、従魔はつまり魔物。他の編みぐるみもいざとなったらお前の従魔ということにするから、編みぐるみ隊は魔物で編成する必要がある」


そんな戦隊ものみたいな言い方をしても、魔物でしょ? なんか、モチベーションが上がらないんですけど……ちぇっ。


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