46話 不穏
「誰が何に使ってるんだ?」
押し黙っている俺たちを尻目に、ゼートが尋ねる。
「問題はそこだ」
誰が、何の目的で、地脈魔法陣から魔力を抽出しているのか。
「結論としては何も確信を持てることはない。だが候補となる存在はいる」
「元々、師匠が研究していた頃から魔法陣から魔力を抽出しようとする連中はいたらしい。『オロロキルの使徒』と名乗っていたそうだ」
「オロロキルというと、邪神オロロキルですか」
「そうだろうな」」
シャルロットが確認を入れる。
邪神は第2次人神大戦で戦神スタリオンに滅ぼされた神だったかな?
「師匠と彼らの出会いは、地脈に現地調査に赴いた際のことだ」
「戦闘になったのか?」
「いや、師匠は隠れて戦闘を避けたそうだ」
情報収集を優先したのか。
「その後も何度か遭遇し、ついに接触を試みた際に『オロロキルの使徒』と名乗ったんだ」
「そいつらは何者なんだ?」
「邪神の復活を目的としているのではないか、と書かれているな。しばらく活動は止まっていたようだ」
フォリアが紙片をひらひらと揺らす。
つまり、『オロロキルの使徒』が怪しいということだな。
「だが、確認しなければならないことがある」
「なんだ?」
「そもそもフォリアは、なぜ今も地脈が悪用されていると考えたんだ?」
「最近見つかった地脈魔法陣をここの資料に照らし合わせた結果だ」
「俺の魔法陣ではないやつだな?」
「ああ、記述の意味がわからなかった部分を解読すると、地脈の安定化ではなく魔力の抽出に一部書き換えられていたようだ」
ふむ。
「後はお前のことだ。最近、お前の本体は力が入らないのだろう?」
「うん」
「それは魔力欠乏が悪化したせいだろう」
「前にそれは違うって言ってなかったか?」
「お前の魔力回復量が多すぎる、という仮定でやはり辻褄が合うんだ」
「仮定でいいのか?」
「一旦それで話を進める。どうせ今度お前の魔法陣を一度見にいくつもりだしな。外れているとも思えんが」
「そうか」
あまりピンときていないが、俺が全て理解している必要もないか。
専門家がそうだと言ってるなら、もうそれでいい。
事態はどうも急を要しているようだし、バカの考えやすむに似たり、大人しく結論を受け入れてしまおう。
「話を戻して、地脈魔法陣が悪用されている可能性が著しい高いため、私は各地の地脈魔法陣を調査して回ることにした。協力してくれ」
4人で顔を見合わせ、肯定の意を返す。
「まずはフロル公国第二の都市ケソンにある地底湖だ」




